ダリア&キキョウ
江嵜企画代表・Ken
花のスケッチは朝一番に限る。阪神御影駅発、朝5時過ぎの日曜日の電車だったが
結構の人が乗っていた。この日の天気予報は雨。今にも雨が降り出しそうだったので
急いだ。幸い目の前でキキョウが、早く描いてよと、云わんばかりに、ダリアをバッ
クにポーズをとってくれていた。
よく見ると虫が一匹、キキョウの花をムシャムシャやっているではないか。結構な
大きさの穴を既に開けていた。この日の神戸の日の出時間は5時35分だったから、
日が昇る前から虫君はひと仕事終えていたのかもしれない。
キキョウは5月末に今年第一号をスケッチしている。結構開花期は長い。8月はじ
めに二度咲をはじめたな、と気づいていたが、猛暑続きでスケッチする気持ちのゆと
りがなかったことを白状する。
スケッチしていると路地一つ隔てたところにあるスーパーに勤めるいつものご婦人
が「お早うございます!!}と明るい声をかけてきた。「お早うございます!!」と
返す。この日は、日々出没する猫の話になった。猫に餌をやる人が絶えないからだ。
ご本人は動物愛護精神を発揮していると思い込んでおられるのであろう。猫の落し
物の処理や餌の掃除をする人のことは眼中にないと思われる。たばこのポイ捨てもな
くならない。結構厄介なのは、たばこケースを開けたあと飛ばすシールを拾うこと
だ。
横道にそれた。夢中に花をスケッチしていると別世界に入ることができるので感謝
している。キキョウはそろそろシーズンオフに入るが、ダリアの方は次々つぼみを伸
ばしていた。まだしばらく目を楽しませてくれそうだ。
小1時間たったころ予想通り、ポツ、ポツ来た。店じまいして帰路に付いた。
(了)