後頭骨の検査と調整
病院で検査をしても頭痛の原因が分からず、辛い日々を送っているという方が来られました。
仕事はパソコンを使うらしいのですが、多い時は1日8時間もパソコンに向かっていると言います。
そのような場合の多くが心臓が原因になるのですが、鍼灸診察をしてみると、「肝」に異変がありました。
つまり、肝(筋肉を主る)⇒心包(心臓の筋肉)⇒脳(血流不足)⇒頭痛発症、の流れと解釈しました。
それで、主に「肝」を整える治療をすることにしましたが、スカルセラピー(頭蓋四肢療法)で頭蓋を触っていると、前頭骨と後頭骨に違和感を感じたので、前頭骨と後頭骨も調整しましたら、かなり楽になったようで、「辛い顔」から「明るい顔」に変わっていました。
そして、翌週も予約を入れて来たのですが、話によると、3日ほどは何にもなくて快適な生活を送ったと言います。
しかし、じわじわ~っと頭痛の予感がしてきたそうで、治療の日が待ち遠しかったようです。
その日(2回目の治療日)の治療も、スカルセラピー(頭蓋四肢療法)から始めたのですが、やはり前頭骨と後頭骨に違和感があるので、前頭骨と後頭骨から調整しました。
すると、やはり顔の相が変わるのです。
そして、帰り際に、「怖いから、暫くは毎週来るようにします」と言って、予約を入れて帰られたそうです。
つまり、3週連続で治療に来ることになるわけです。
この方のように、前頭骨と後頭骨に異変のある人は少なくありません。
たとえば、肝臓や胆嚢に異変がある人は、左の前頭骨が前に突き出していて、右の後頭骨が極端に言うと凹んでいます。
それは『人体惑星試論奥義書』を読んでもらうとわかるのですが、人体惑星試論では左脳が肝と連携しているからです。
ですから、肝・胆に異変のある人は、左の側頭骨も膨れていることが多いので、腰痛の場合だと、側頭骨を調整することで治ることも多いのです。
特に、子どもの場合は、頭蓋骨が柔らかいので、軽く手を当てるだけで腰から足の症状が簡単に消えてしまうことがあります。
何年か前に、頭蓋JAA(頭蓋関節調整鍼)の研究をしているときもそうでしたが、頭蓋の臨床に集中していると、いろんなことが見つかってきます。
たとえば、下腿や足首の異変は、後頭骨を整えると治ってしまうし、顔の捻れを整えると、「歩きやすくなった」という方もいます。
これは独自の研究になると思いますが、頭蓋のどの部分と体のどの部分が関係しているのかを考えながら治療しているからだと思います。
今までは、「腸骨は側頭骨と連動する」とだけしか考えなかったのですが、この独自の研究で、「腸骨と頬骨」の関係や「頬骨と上腕二頭筋」の関係も、頬骨を動かす事で、腸骨や上腕二頭筋の異変も整ってくるのです。
つまり、頬骨を動かして腸骨や上腕二頭筋の歪みを矯正することができるわけです。
調整と言っても、赤ちゃんの頬を押すぐらいの力で治療しますので、「治療らしい治療はしてもらってない!」と思う方もいると思います。(^_^;)
が、しかし、視力が上がったり、耳(側頭骨)の前後のズレを調整したら、頸椎の動きが良くなったり、手の震えが止まったりと、血圧が下がったりと、治療日には毎日のように発見のようなものがあります。
ただ言える事は、現在「頭蓋骨療法」で教えられているのは、私の知る限り「全体を整える」ということが強調され、「この病気にはこの部の矯正を、この部の矯正は頭蓋の◯◯骨や◯◯縫合を」というのは、あまりないように思われます。
ですから、クラニオ(頭蓋療法)は学びにくいし、患者さんへの説明も「一次呼吸と二次呼吸があり~~~」とわかるようなわからないような説明になってくるわけです。
しかしそれでは馴染みにくいと思うので、私たちは「診断から治療」という馴染みやすいパターンに組み立て直しているわけです。