
旧神戸市住吉幼稚園
江嵜企画代表・Ken
神戸市立住吉幼稚園が95年の歴史に幕を下ろし、今年3月末に閉園となった。毎年春になると新しい園児を迎え、元気な声を出して園の庭を走り回る姿を自宅マンションの窓から見て元気をもらっていた。
見納めと思っていたところ、最近、朝10時になると子供の声が聞こえるようになった。しかし、ものの20分か30分そこらで姿も声も消えてしまう。
しかと確かめたわけではない。おそらく旧住吉幼稚園の東隅に一昨年出来た住吉保育園の園児ではないかと勝手に想像している。
恐れずに言えば、上記保育園の庭は、通りから見て、園児が可哀そうに思えるくらい狭い。旧住吉幼稚園園児が広い庭を嬉々として駆け回っていたイメージが焼き付いているから余計狭く感じてしまうのかもしれない。
滑り台も上り棒もブランコも使われていない。土管も放置されたままだ。子供は土管の穴の中を出たり入ったりするのが特に好きだ。
仕切りもないはずの旧住吉幼稚園の庭の一角をまるで定規で計ったような一点を動いている。いや、動かされているようにさえ感じる。
子供は飛んだり跳ねたりするのが特に嬉しい。誤解を恐れずいえばケージの中から解放されたひと時を嬉々として飛び跳ね、動き回る園児の姿に強く絵心を刺激されてスケッチした。
同じ建物でも窓を閉じ、人が顔を出さなくなると生きた感じがしない。人が住んでいてこそ生きた家であり建て物である。人の手が入らないと気のせいか雑草がみるみる茂って来ていることが遠目からでもよくわかる。
旧住吉幼稚園の屋根越しに東西に走っているJR神戸線が見える。背後に阿弥陀寺の屋根が見える。住吉神社、JR住吉駅、コープこうべCOOPの建物などと続く。
旧住吉幼稚園の跡地に何が建つか考えたくもないが現実を受け入れなければならい時がいずれ来るだろうから心の準備だけはしておきたいと思っている次第である。(了)