思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

金泰昌ー「徹底的に市民として哲学する立場を大事にする」

2007-06-22 | 恋知(哲学)

金泰昌・武田康弘の「恋知対話」2-4です。


武田様 2007年6月21日
金泰昌

 わたくしも学者だけが公共哲学の中心的役割を担うということには、懐疑的です。公共する主体が学者だけとは話しにもなりません。公共する哲学の主体は一人ひとりの市民であると考えます。しかし学者も市民という位相をもっていますし、それを何よりも重視する学者もおりますので学者と言うだけで一括批判するのはどうでしょうか。今日の反哲学的な日本の知的風土の中で哲学的良識をもちつづけながら、誠実に哲学しつづける学者=生涯学習者=哲学実践者もいらっしゃるわけです。わたくしは哲学する市民を何よりも重視する立場ですが、哲学する学者・官僚・政治家・企業人もあってほしいと思っております。

 わたくしは過去の一時期、政治哲学と国際関係哲学の専門学者でありました。しかし現在は一切の大学所属なしの、一私人・市民として哲学するだけです。ですからわたくしがかんがえている哲学=公共する哲学は私人=市民の立場から他者と共に考え、語りあう哲学です。相異なる多様な専門分野の学者=哲学研究者たちもそれぞれの専門分野の枠から脱出して一人ひとりの私人=市民の立場から考え、語りあうという前提条件の相互了解に基づいて発題・質疑・総合討論・発展協議というプロセスを共に体験してきたのです。

 わたくし自身は哲学する市民の一人として自分を位置付け・意味付けしているつもりです。わたくしの過去の経歴には学者であった時期もありましたが、現在はあらゆる側面から、学者業界=学会から公認された学者とは言えないですし、そのように言われてもいません。あえて言わせていただけば、在野の好学者=野人学習者です。ですから市民の・市民による・市民のための・市民と共にする哲学としての「公共する哲学」を強調してきたのです。

 徹底的に市民として哲学する立場を大事にしているからこそ、白樺教育館の存在とその活動に敬意をはらうのです。そして武田さんを尊敬するのです。わたくしも哲学を大学の独占から解放して、生活世界の公共財に転換していくことが緊急課題であると思っています。哲学を民主化するということが今日の哲学の課題ではありませんか。

より民主的な哲学とは誰もがその気さえあれば哲学することが可能な哲学でしょう。しかし世界中の人々が皆、哲学するようになるのが本当に望ましいことでしょうか。世界中の人々が皆、政治するというのはあまりよいことではないような気がします。何だか急に世界がおかしくなるのではないかと不安になります。政治する人間は数が少ないほうがよいのではないかという気がします。しかし哲学するというのはちがうと考えます。哲学するということは、自分の頭で考え、自分の心で実感し、自分の意志で決定し、自分の身体をもって実践し、自分の人格をかけて責任を負うということです。他者と共に対話し、共働し、そこから新しい次元=地平=世界を拓いて行くというのは普通の私人たち=生活者たち=市民たちの日常生活の中でもいつでもどこでも現実的に必要なことですから、それを出来る限りうまく上手にして行くというのは望ましいことと言えるのでありませんか。ですから世界中の人々が皆、専門哲学者になるのはむしろ、恐ろしいことになるかも知れませんが、哲学すること=公共哲学することはすべての人々にしてもらいたいことだと思うのですが、武田さんはどうお考えでしょうか。勿論、今すぐすべての人々に100%期待するということではありませんし、そうするべきであると強要するということでもありません。しかし、哲学する市民がより多く育まれることを希望するという意味です。本当の意味で哲学する市民が主導する社会が善良な社会ではないかと思いますが、如何でしょうか。わたくしは哲学が切り拓く世界に対して希望をもちたいのです。



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嘘・偽りを押し付けるインチキ国家が美しい国の正体ー沖縄戦の歴史の改ざん

2007-06-22 | 社会思想

以下の記事を読めば分かりますが、安倍内閣の進める「美しい国」つくりとは、ウヨク的な国家主義思想で、歴史の事実を消去していく恐ろしい国・おぞましい国つくりでしかないことは明白です。反論の余地はないでしょう。

こういうデタラメを見てみぬふりをするのは、市民として、人間としての義務違反だと思います。まともな市民は、きちんと批判し、責任と義務を果たそうではありませんか。

独我論的な思想、独裁的な国家運営には、断固としてノーを言いましょう。黙っていれば、戦前と同じく、恐ろしい結果になるでしょう。


【沖縄タイムス】より、

 県議会(仲里利信議長)は二十二日午前、本会議を開き、高校歴史教科書の沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」の記述から軍の関与を削除した文部科学省の教科書検定の撤回、記述の回復を求める意見書案を全会一致で可決した。本会議終了後、県議会代表らが上京し、文部科学省などに要請行動を展開する。
 午前十時に開会した本会議は冒頭で、同意見書案を全会一致で可決した文教厚生委員会の前島明男委員長が文案を読み上げ、提案理由を説明した。その後、全会一致で可決した。

 意見書は「沖縄戦における『集団自決』が、日本軍による関与なしには起こりえなかったことは紛れもない事実」と指摘。

 「今回の削除・修正は体験者による数多くの証言を否定しようとするものだ」とし、「一般県民を含む多くの尊い生命を失い、筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられた県民にとって、到底容認できない」として、検定意見の撤回、記述の回復を求めている。

 同問題に対する意見書案をめぐり、野党側は定例会冒頭での採決を与党側に要請した。

 だが、県議会最大会派の自民党内に反対意見が表面化。同党内の意見調整が続いていたが、賛成で意見がまとまった。

 与野党で意見書案の文案を調整し、文教厚生委員会が十九日、全会一致で可決。「慰霊の日」前日の二十二日の本会議採決を要請していた。

 県内では二十一日までに、四十一市町村のうち、三十七の議会が教科書検定意見に反対する意見書を可決している。


 ◇ ◇ ◇ 

県民の総意 国へ


 高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から「軍命」を削除した文部科学省の教科書検定問題で、県議会は二十二日午前、全会一致で意見書を可決し、県民の強い意志を示した。県議会の要請団は早速、意見書を携え上京した。検定意見の撤回と記述の回復を求めてきた県民の運動に大きな弾みがつくことになる。

 傍聴席に駆けつけ、意見書が可決される様子をじっと見守っていた高教組の松田寛委員長は「慰霊の日の前に可決されたことをまず評価したい」と語り「文科省へ要請に向かう皆さんには、県民の声を背に県議会として記述の復活をしっかりと申し入れてほしい」と話した。

 元高校教諭の宮里尚安さん(65)は「六十年余りたった沖縄戦から『軍命』を削るのは許せない。議員団は強く要請し、ぜひ撤回させてほしい」と期待を込めた。

 「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」事務局長の山口剛史琉大准教授は可決の知らせに「明日来県する安倍首相にも、県民の意志をきちんと示せる効果がある」と評価。加えて「せっかく一致点を見たのだから、歴史認識を正しく伝える役割を発揮してほしい」と要望した。

 県議会文教厚生委員会メンバーら七人は二十二日午前、要請行動のため那覇空港から上京した。文科省では、布村幸彦審議官が対応することが固まっている。

 伊吹文明文科相への面談を求めていた前島明男委員長(公明)は出発前、「県民代表として大臣に会いたかったが、国会開会中でもある。記述の削除に憤りを持ち、強く検定撤回を訴えたい」と話した。

 共に上京する比嘉京子県議(社大)は「歴史の事実は一つで、変えられない。県民の意志をしっかりと示したい」と力強く語った。

 自民の伊波常洋政調会長は「教科書問題は、与野党を超えて可決された画期的なこと。意見書の通りに抗議を含め県民の意志を伝えていきたい」とした。

 要請行動ではこのほか内閣府沖縄担当部局や県関係国会議員に面会し、同日中に帰任する。


意見書全文

 去る3月30日、文部科学省は、平成20年度から使用される高等学校教科書の検定結果を公表したが、沖縄戦における「集団自決」の記述について、「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である」との検定意見を付し、日本軍による命令・強制・誘導等の表現を削除・修正させている。

 その理由として同省は、「日本軍の命令があったか明らかではない」ことや、「最近の研究成果で軍命はなかったという説がある」ことなどを挙げているが、沖縄戦における「集団自決」が、日本軍による関与なしに起こり得なかったことは紛れもない事実であり、今回の削除・修正は体験者による数多くの証言を否定しようとするものである。

 また、去る大戦で国内唯一の地上戦を体験し、一般県民を含む多くのとうとい生命を失い、筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられた県民にとって、今回の削除・修正は到底容認できるものではない。

 よって、本県議会は、沖縄戦の実相を正しく伝えるとともに、悲惨な戦争を再び起こさないようにするためにも、今回の検定意見が撤回され、同記述の回復が速やかに行われるよう強く要請する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成19年6月22日

 沖縄県議会

 衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 



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