★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

三十三世紀後には

2014-08-28 23:53:47 | 文学


 太陽の光線が、煤煙のために妨げられて、市庁舎の窓まで届かないものだから、池上市長と関助役は昼間も電気燈をつけて執務せねばならぬということは、三十三世紀後にはとても考えられたことではないが、事実はまったくそうであるから仕方がない。中央公会堂のすぐ裏に立つ市庁舎には、昼間に電燈があかあかと灯っているのである。

――賀川豊彦「空中征服」