細君と「花子とアン」総集編(前編)をみたのだが、結構おもしろかった。文学関係の話なんで、「あまちゃん」みたく楽しめるか不安だったが、結構これはこれで面白いなあ。というか、「蛇にピアス」の吉高由里子を村岡花子として主演に持ってくるところが、既にびっくりしたのであるが、それはわたくしの偏見であるからアレとして。そもそも柳原白蓮を親友として描いているところが勇気があるというか、本気でやるつもりなのであろうか、日本の伯爵家や成金の妾問題を。宮崎滔天とか新人会とか近衛文麿の日中和平工作とか、とかを。しかし、よく考えりゃ、省略の仕方はいろいろとあり得るであろう。むしろ、わたくしが試みて欲しいのは、白蓮の二番目の夫である、炭鉱王・伊藤伝右衛門を主人公にすることである。こちらの方が、我々にとっては非常に未知への挑戦である。日本の階級問題や労働問題のためには、本当は避けて通ることの出来ないことなのではあるまいか。そういえば三番目の夫の宮崎龍介は、中野正剛の東方会に接近したことがあったはずである。村岡花子の戦争協力問題とかより、こっちの方がやっかいな問題のようにわたくしには思われる。いずれにせよ、村岡と柳原を持ってきた時点で、庶民の哀感とか女の悲劇とかいう抽象的な次元とは別のものを描かざるをえないことは確かなのである。アジア主義と社会主義、皇族と革命、これらのからまりあいを描こうとすれば、「あまちゃん」みたくナショナルな記号的な処理をしにくいであろう。
……それはともかく、ハリセンボンの近藤春菜さんはすごいな。天才だな、本当に。