★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

いま立ち止ったら 悲しみにおぼれてしまう

2017-05-08 23:51:55 | 漫画など


すすまなきゃ、とは、ナウシカ姫の言葉である。ナウシカのこういうところは、彼女がただの「弱者に寄り添う系」ではないことを示している。しかし、進んだ結果どうなったかは、賛否あるところだ。だいたい、現世では「(絶望せず、)前だけを向け」と言う輩は、前も後ろも区別が付かないファシストか、神秘的な跳躍が必要だと思ってしまったマルクス主義者か、運動会での教師だけである。ナウシカが戦争機械のようなやつだったことを忘れてはならぬ。

そういえば、イスラムの人が大統領になる結末を持つ、ウェルベックの『服従』は当時のテロ事件のあれもあって面白かった記憶があるが、今考えてみると、どうみてもグローバル人材の小型巨神兵みたいなマクロンが勝利するという現実の結末の方が、あとの反動も含めて恐ろしい気がしてきた。この作者、どうも「オラオラ」的な展開が好きな感じがするのであって、もしかしたら、うちの国で言えば、永遠に霊のあの方に近いのではあるまいか?我々の国では、本質的な問題が、あまりにも阿呆の相貌を持って現れるので気をつけなければならない。