帝曰:「來,禹!降水儆予,成允成功,惟汝賢。克勤于邦,克儉于家,不自滿假,惟汝賢。汝惟不矜,天下莫與汝爭能。汝惟不伐,天下莫與汝爭功。予懋乃德,嘉乃丕績,天之歷數在汝躬,汝終陟元后。人心惟危,道心惟微,惟精惟一,允執厥中。無稽之言勿聽,弗詢之謀勿庸。可愛非君?可畏非民?眾非元后,何戴?后非眾,罔與守邦?欽哉!慎乃有位,敬修其可願,四海困窮,天祿永終。惟口出好興戎,朕言不再。」
「無稽之言勿聽,弗詢之謀勿庸」、根拠のねえ意見は聞いてはならず、みなに詢っていない謀はやってはならぬ、こんな基本的なことは民主主義以前のことであったが、これが民主主義の基本となることによって、逆に、民主主義にたいする疲労が感じられるようになると、根拠のないことの方がむしろ真実みがあり、独断の方が新鮮に思えてくるという逆転が起こる。これは、現代の話ではあるが、むかしだって仁政の後や同じ政権の疲労の後に起こったことに違いない。いかに、新鮮みがなかろうと、保守的である必要がある局面があったのであろう。居心地のよい状態のおいて我々は現状の正しさを認識する程、死んだ気さえしてくるものである。
我々の現代は物に溢れた天国なのだ。つまり我々は文字どおりには死んでいるとみてよい。天国からは墜落し生き返る必要がある。