9月25日
第14回 都民の健康づくり運動
東京栄養士薬膳研究会主催の特別講演会が開催されました。
コロナ禍の影響で2回開催が見送られ3年ぶりとなりました。
今回の講師は川越厚先生です。
病院での勤務を経て、在宅ホスピスケア活動を始められました。
在宅ホスピス研究所パリアン代表
森の診療所にて在宅医療を担当
日本ホスピス協会顧問をされています。
演題は『ホスピスケアにおける食のあり方』
自分は、この数年でとても関心があるのが、在宅医療、終末医療、緩和ケアなのです。
『医』は科学的根拠に基づく医療、回復と治療をめざすものでした。
今では、ずっと広い内容になっています。
患者の治療だけでないのです。
誕生から、老い、病、死へと連なるすべての
「いのちの危機」を回避し緩和する哲学的意味合いを含むようになったという、歴史からの
お話からご講演は始まりました。
私は東京の矢島助産院に非常勤として働いていますが、それは元院長、助産師矢島床子さんとの出会いがあったからです。
3人めの子を自宅で床子さんにとりあげてもらいました。
上のふたりは病院出産でした。
その違いは心底驚くものでした。
自宅での出産は、毎日の生活の続きにありました。主人公は産む私でした。(病院ではそのような感じはありませんでした。)
床子さんは大きく豊かな存在で、こちらを全肯定して、寄り添ってくれました。
幸せなお産でした。
思えば、自分も自宅でお産婆さん(とかつては呼ばれていました)にとりあげられているのです。
助産院にいますと、出産というのは大変な事業だと感じます。医療が必要になることもあります。
けれど、日々の生活のなかで、ヒトの普通の営みであるというのも確かなことです。
誕生も死も、かつては暮らしの中に地続きなものとしてあったような気がします。
2017年に開かれたシンポジウム
『家で生まれて家で死ぬ』は矢島床子さん、在宅医療をされている新田先生など4人の方が
登壇されたものですが、書籍化されています。
床子さんは助産師として誕生の場面にいるだけでなく、お身内の在宅での看取りも経験しています。
義父の看取り、夫の看取りを経験した方と看取りの支えをした医療者との、生まれること、
死ぬことのシンポジウムは心を揺さぶるものでした。
数年前に講演会でお話を伺った山崎章郎先生の本です。
聖ヨハネ会桜町病院ホスピス科部長を経て、在宅診療養支援診療所、ケアタウン小平クリニックを開設されています。
山崎先生は病院ではできないことがあると、在宅医療へと転換されています。
今回の講演会の川越先生のお話にもありました。
患者という当事者だけではない、その家族へのケアもあります。
生きている時だけではない、死が終わりではない、そのあともケアがあります。
介入ではなく、共感、寄り添い、癒しもとても大切です。
そのためには、やはり専門的知識と学びが必要なのです。
こんなことを考えるようになったのは、いつも妊産婦さんに「寄り添う」ということを
何よりも大切にして助産師道を極めた床子さんの側で働けたからだと思っています。