メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

白い馬

2007-08-30 21:04:07 | lyrics
少女は5才のとき 人形を与えられ
グラウンドを白馬のように
駆け回ることをあきらめた
肉体はふくらみ 血は流れ
精神は体の中に閉じ込められ
彼女は全然満足じゃなかった


少女は18のとき
ファッション雑誌を真似て着飾った
彼女の行くところ
男たちのぶしつけな視線がそそがれ
親もテレビも口をそろえてこう言った
「さっさといい男を手に入れな」
意思とは無関係に
肉体は合図を送りつづける
「これを犯し、征服しなさい」
彼女は全然満足じゃなかった


少女は20歳になり
翻訳家になる夢をあきらめて
ステキな王子さまと
ステキな結婚式を挙げた
「きみはボクが一生守り、養ってあげるよ」
毎朝、夫の背を見送るとき
彼女は指輪を眺めて夕暮れを待った


少女は女になり、子どもを産んだ
テレビは相変わらず「子を抱く母」の
映像を讃えて、彼女は信じた
どこへ行っても
5kgの子どもを抱えて 買い物に出かける
彼女の姿を見つけることができる


子どもは大人になり、母を忘れて家から去った
バッグに低俗な芸能誌を持ち歩き
時間を費やす理由を探して
床にひとかたまりの塵を見つけた
もう若くも魅力もなくなった鏡をのぞいて
彼女はつぶやく

私はいままで誰だったのかしら
いつからボールを蹴らなくなったのかしら
風と一体になって
グラウンドを駆け回り
息を荒らげ
シャツを汗でびっしょり濡らすのさえいとわない
手足を無造作に伸ばして
一歩跳び超えようとする
私の危険と自由と責任を
一体誰が
さえぎったのか
自分と現実を真っ直ぐ見つめる眼をふさぎ
周囲すべてのもの
自分自身に対してさえ
無感動で無関心になっていった


目覚めるなら
今、目覚めなければならない
巨大な不安の渦巻く暗闇のなかで
どれだけ長いあいだ重い鎖を引きずって
無感覚に耐えてきたのか
気づかなければならない
私が「女」である前に
1個の自由な意識であることを
何人にも縛られ
定義されることのない
1人の尊厳ある人間であることを
今こそ総決算するときが来た
1度きりの生きるチャンスに
今まで何を賭け
意味のある何がどれだけ
手元に残っているのかを


人生のあらゆる輝きが消えるころ
ようやく女は思い出す
人形を与えられた5才の少女と
これからなお続く 数十年という空虚な時間を






フェミニズム的考え方に1番かぶれていた頃のシリーズ。
参政権の獲得なんてどうでもいい。
ほんとうの解放とは、自分の中にあるあらゆる制限からの解放なんだ。

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手の中の大都市

2007-08-07 21:37:43 | lyrics
どこかの裏通りでjazzが流れ
真っ赤なヒップがスイングしている
永遠に続きそうな週末を
バカ騒ぎしている
安いバーでジョーがまた
カードでひどくすっている


Dandy Dennieは白い船に乗って
マストを高く引き上げ
プライドとは何かを説いている
それは鼻の高さではなく
雨ガエルのへそに
似ていると


手の中の大都市
その水平線に浮かぶ無数の星屑

足の下で波打つ呼吸
その響振はずんずん先へと
広がっていく



サニーは覚えたての口笛を吹き
明け方の十番街に軽いstepを踏む


誰がルーシーの冷たい両足を
温めただろう
ウェインは彼女をきつく抱きしめ
粉々にくだいた
一滴の雨粒に
溶け合うまで



テーブルについて
スープが届くまで
考えるべきことはたくさんあったはずなのに
ランス坊やは一枚の銅貨を拾って
有頂天


ジョニーは使えなくなった
拳をもう一度見つめ
混線中の受話器をおいて
すれたふしでtelephone boxの
ガラスをたたいた


反射するネオンの数だけ
女たちのくちびるが光り輝き
ソウル・グループのリズムと
夜の魔法をまとって
奇声をあげている


手の中の大都市
その水平線に浮かぶ無数の星屑

足の下で波打つ呼吸
その響振はずんずん先へと
広がっていく


ずんずんずんずん広がっていく











(過去作。アメリカっぽさを出そうとした一遍w)


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不完全な時間

2007-08-06 19:56:49 | lyrics
わたしがいつまでも
大切に抱えていたものは
イヴの晩 マッチ売りの少女が
凍える街角で見たのと同じ
暖かな幻


わたしがいつまでも
つかめないでいるものは
宙を漂う過去からの
幾千億ものメッセージ


あなたは今年の夏休みの計画を
なんども繰り返し
話して聞かせる

黄緑色の雲はゆっくり
空を流れてゆく
彩とりどりの屋根の前には
タンポポが一面に
咲いている

Light up a tiny candle in my heart
It'll make me feel better more than ever
Need me, Hold me, and Catch me
With your strong arms
Blue ashes in the Blue flames
Hmm....Missing time


すぐにのこらず忘れてしまうために
ひとびとは無数の約束を交わす
逆行するけだるい空気を吸って
生きつづけるplastic humanity

引き留めておきたいと
強く願うひとほど
遠くに存在しているもの
占いはそんな弱みにつけこんだ
うまくできたイカサマ
最悪の状況下でも
これだけは心から信じきれるから不思議

怨念と悔恨の永遠の呪縛から
覚めやらぬシェイクスピアの
登場人物たち
そしてここにもどうやら
居心地のいい場所はあり得ない

Light up a tiny candle in my heart
It'll save me up from bottomless swamp
Need me, Hold me and Catch me
With your strong arms
Hmm....Missing time

You said, "Everybody is queer around here,
And "you and I are one of them, too."
Need me, Hold me and Catch me
With your strong arms
Blue ashes in the Blue flames
hmm....Missing time











(過去作。文法の誤りにはご一報をw)
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待つ女

2007-08-04 01:47:45 | lyrics
女は幸せを待っている
女は運命を待っている
女は好運を待っている
女は男を待っている

全てをもつ男をつかまえて
彼がもつ富も特権も
すべて彼女の手に入るように

揺籠の中でなにももたない両手を
空中に振りまわす赤児のように
辛抱強く
いつまでも いつまでも

待つから時が過ぎるのか
過ぎ去る時が彼女を待たせるのか
待つのに慣れ
待つのに飽き
待つ女は未来を忘れ
自分を失くす


地面に向かって真直ぐのびている
2本の足を見せてごらん 女よ
その体を支えるには
あまりに細いとおもうのか
心の底に巣食っている不安定さに比べれば
10cmのヒールで歩くなんてなんでもない

指のそろった両手を
差し出してごらん 女よ
欲しいものを掴み取るには
あまりに小さすぎるとおもうのか
3cmにものびた赤い爪では
確かな感触はひとつ残らず
はがれたマニキュアの空疎なあいまを
するりするりと逃げてゆく


彼女はすべてを待っている
いつかかなたのむこうから
誰だか分からぬ誰かから
きっとかならず彼女のもとへ
たくさんの贈り物が届くと信じて
「運命の日」がやって来るまで
待つ女は待ち続ける


彼女は未発見の才能を待っている
彼らが彼女を見つけてくれる
永遠につかまらないかくれんぼう
母のやわらかな腕に抱かれて
乳をもっととせがむ赤児のように
くちばしを真っ赤にひらいて
ミミズをもっととねだるツバメのヒナのように
彼女が必要とするものは全部
誰かがすぐ戸口まで運んでくれると信じて

与えられ 与えられても
彼女は自分を失くしてしまったから
女は待っている
女は待っている
女は待っている







(過去作)
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まま

2007-07-05 23:03:00 | lyrics
まま、ままならない
コロが僕のいうこときいてくれない
”それはあなたが かれのシッポをかんだから
さあさ おねんねネ”


まま、ままならない
健クンが僕のいうこときいてくれない
”それはあなたが 彼のミニカーとったから
さあさ おねんねネ”


まま、ままならない
父さんは僕のことばかりしかる
”それはあなたが 教科書全部焼いたから
さあさ おねんねネ”


まま、ままならない
おじさんも僕をにらんでる
”それはあなたが おうちを全部焼いたから
さあさ おねんねネ”


まま、ままならない
誰もいないね
ここには誰もいないね
”そうよ あなたがみんなを刺したから
明日はあなたの成人式
きっと明日はいいことあるでしょう”

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ONE FINE MORNING

2007-06-03 09:24:56 | lyrics
ひとはみな自分のスペースをもっている
自分のリズムをもっている
自分のバランスをもっている
ひとり輪を描いて 舞っている
乾いた喉をうるおせば
ポケットの中身はカラッポ
なにもない
なにもない


ブルースが肩をわしづかみ
ブルースが腹の奥底から産まれ出る
頭の上から へその下へ
今日 大層なお告げが届いたのさ
外の世界で何が起ころうと
もうこれ以上
俺とは関係ない
俺とは関係ない


こんな美しい朝に(君は気付くだろう)
こんな美しい朝に(君が夢だったことに)
こんな美しい朝に(英雄が時に心細く)
こんな美しい朝に(ヒロインは小さな女の子だったということに)
君が本当はどんな人間なのかが見える
こんな美しい朝には


UFOがキノコ雲の上を 音もなく過ぎてゆく
これは第3次世界大戦の始まりかい?
暗黒の幕があがってしまえば
どんなディスガイズもはがれてしまう
天から降りてくる声を聴きながら
さよならをいう前に
まだやり残したことがありすぎる


こんな美しい朝は(決して信用してはいけない)
こんな美しい朝は(決して頼りにならない)
こんな美しい朝は(絶対あてにはできない)
君が住んでいる世界が見えてくる
こんな美しい朝には






過去作。
ステキな朝つながりってことでw

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2007-05-22 23:55:55 | lyrics
今は空っぽとなった私の体に
あの人のくちびるが帰ってくるまで
ひとのくちびるはなぜ互いに
もとめあおうとするのだろう
心の救いを欲しながら
狂おしくも
私は考えつづける

パンツひとつで踊ろう

パンツひとつで踊ろう

今夜
二人で













過去作
今日はスカパラ@ゼップ
すべて曝け出して全身でぶつかってくる彼らに
頭をカラっぽにして全力で踊らなかったら嘘になる。
サイコーのサイコーのサイコーの夜。
詳細は後日。

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夕闇の迷路

2007-04-30 21:29:55 | lyrics
郷愁をおびたオレンジ色に
包まれた土曜の夜の迷路に
入ってゆく
ホラ、jazz のルーズな
スイングに合わせて
ダンスホールの隅では
film がカラカラ回っている
たった2人の間にもちゃんと
小宇宙がなりたっている

柔らかい扉がゆっくり開くとき
土曜の夜が
一生続くといいのに

預金口座を覘いてこなくちゃ
腰の太いラバが落ち着いて
座っているかもしれない


寂寥を伝える冷たい秋の風がすき
絶望を照らす暖かい春の日差しがすき
でも今夜もルーは大量のチョコレートを
かじってしまった
あれだけ止められていたのに


陽の世界の妖精が
陰の世界の天使に
あいさつをする
「打つ手は揃えた」と

1月最後の日曜の午下がりは
パンケーキを3枚焼いて
J.D.サリンジャーを棚にあげた

不健康なシステムに
組み込まれて
だれもかれも私が書いた文字の上に
腰を下ろして
手も足も出やしない



神はもう
天に召されただろうか
ホラ、魂の救われる音が
聴こえないかい?

Open your mouth wide,
Open your eyes wild,
Here's SATCHMO SMILE!!!

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Dawn

2007-04-22 05:22:45 | lyrics
The dawn is breaking
The dawn is breaking, dear

The morning comes
The morning comes

Wake up
Wake up and then
Why don't you comfort me?


I'm in pain
I'm in pain, so
Why don't you wake up and comfort me?


I like night
I like night when everyone sleeps
So calmly, so tight

Darkness in everywhere
Everything seems getting better and better

but Mailman gets up so early
Yes, he does
and Mockingbirds get up so early
Yes, they do

Nothing can change in the night time
Nothing've changed since we've met
Oh, isn't that true, my love?


The dawn is breaking
The morning comes, dear

Wake up
Wake up and then
Why don't you comfort me?














(過去作。文法の誤りはご一報くださいw

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End of Road

2007-04-20 03:11:22 | lyrics
ムスタールは煙草のけむりがすすむ方向へ
歩いていった
水の止まった噴水をすぎて

あくる日彼は子猫のあとを
追っていった
子供のいない公園を通って

そしてまたあくる日は雪で覆われた
足跡をたどっていった
夜通し歩いてとうとうひとつの足跡も
見つけることはできなかった

そしてある日、道の終わりにたどりつき
そこから先にもう歩く道はなかった


そこで彼はあるはずのない
黒い架空の階段を昇りはじめた
さざ雨の降る夜に向かって
気がつくとあとからだれか
尾けていた
振り向けば大勢の人々が
その階段を昇ってくるのがみえた

そらへの階段も昇りつめてしまったムスタールは
次にじゃがいもの根をたどって土の中へと
もぐっていった
さびついた鉄骨に頭を思い切り
ぶつけた

それから彼は海底にもぐってみた
200年前の海図を唯一たよりにして


遂に宇宙へ飛び出したとき
その計り知れぬ広大さにムスタールは
迷ってしまった

SOS...
SOS...
青い星を見失って彼は
ゆらゆら宙をただよいながら
青い涙を流した

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