メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

わが青春の角川映画vol.3

2007-01-14 18:26:39 | 映画
『セーラー服と機関銃』(1981)
監督:相米慎二 原作:赤川次郎
出演:薬師丸ひろ子, 渡瀬恒彦, 柄本明, 三國連太郎 ほか

涙じゃないのよ 浮気な雨に
 ちょっぴりこの頬 濡らしただけさ

機関銃をぶっぱなしてつぶやく「快感・・・」てシーンは今だにネタに
されるくらい有名な今作も、セリフを覚えるほど当時何度も観た角川作品のひとつ。
でも、いま改めて観るとかなりVシネでしょ!
これを青少年に見せていいのかってくらいに、ヤクザだの、ヘロインだの、男と女だのw
実際、当時は見ていても理解できないシーンがいくつもあったし。

赤川次郎が原作だってことも驚いた。そいえばめさ流行ってたな。
読んだのは『三毛猫ホームズ』シリーズくらいの記憶しかないけど(内容ももう覚えてない
調べてみるとけっこー角川映画と縁深いんだね。

たった一人の血縁だと思ってた父親を突然の事故で亡くしたときも、
めだか組の組長になって、組員をひとりずつなぶり殺されたときも、
このヒロイン・星泉は意外とあっさりしている。
気のいい組員たちが好演しててイイんだよね。
あと、裏表のある刑事役の柄本明も若かったし!

同タイトルで薬師丸ひろ子が歌った曲も大ヒットした。来生たかおの作で
いまでも聴けば切なくなる名曲。実家にシングルレコードがあったな


こうして観るとタイムリーで見てたときの自分と対面するようで、
なんだか気恥ずかしいような、切ないようなフシギな気分になる。
まるでその時の自分をそれぞれの映画の中にそのまま閉じ込めてきて、
その扉を開けてしまったみたいな。

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『放浪記』(1962)

2007-01-14 14:13:25 | 映画
『放浪記』(1962)
監督:成瀬巳喜男
出演:高峰秀子 、田中絹代 、宝田明 、加東大介 、小林桂樹 、草笛光子ほか

まだまだつづく成瀬巳喜男監督作品シリーズ。
森光子の超ロングラン舞台で知られる今作は、林芙美子の自伝的小説を元に
しているらしい。いまでは珍しくない女性のエッセイ・体験記も当時は衝撃的題材
だったのかしら?

親の行商を手伝って各地を転々としていた子ども時代、当時は珍しい
女学校を出ての上京、しかし生活は一向に楽にならず、
セルロイド人形の色塗り、カフェー勤め、牛飯屋の女給と職を変えながらの
苦しいその日暮らし。でも、みんな精一杯生計を立てていた時代。

簿記などの専門職の給料が30円で「いい暮らし」と喜んで、女給は7円
その中でやりくりして田舎の親らに仕送りして支えていたんだから
すごいなぁ・・・

高峰秀子の七変化な女優魂にはほとんど感服してしまう。唄も上手い!
加東大介はまた人の良さげな結婚を迫る男役なのが可笑しいw
母親役の往年の大女優・田中絹代の名演も柱を支えている。

面食いで尽くし型のヒロインは、ヒモみたいな男にひっかかっては
捨てられてしまうことの繰り返しで、罵倒され、蹴られて、別れてもなお
「この人にはわたしが必要だ」と元の木阿弥に戻ってしまう。
ひとりでも立派に生きていけるバイタリティ・ド根性にあふれているにも関わらず。
女流作家にありがちな特異体質のひとつなのか。フシギだ。

どんな状況に追い込まれても、その場を取り繕った無用な気遣いよりも、
正直なその時々の心の内を素直に吐き出せるということはとても素晴らしいと思う。
あとで「あんなこと言わなきゃよかった」と後悔したとしても、どのみち
言わずに溜めたことは、いつかなんらかの形で出口を求めて現れるものだし、
言葉にしなければ何も伝わらないのだから。

理想論ばかり言ってみても、生活してゆくうえでは、もっと生々しいリアルな
部分もさらけ出す必要が出てくる。
お互いにさらけ出したあとでも対等な関係が築けてこそ成熟した関係なのだろう。

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