メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『犬と私の10の約束』

2008-12-20 20:29:53 | 映画
『犬と私の10の約束』(2008)
監督:本木克英
出演:田中麗奈、加瀬亮、福田麻由子、池脇千鶴、布施明 ほか


TVスポットCMで観た時、ああ、これは観なきゃって思ったけど、決して劇場で観ちゃいけない部類だってことも分かってた。
以前、わんこ好きの友だち4人で『いぬのえいが』を観た時、みんなで顔が変わるくらい泣いて困ったからだ。
派遣先のランチアワーで立ち寄った本屋で本を手にした時も、10の約束事のうち2つも読まないうちに
涙がにじんできたので、慌てて本を閉じたわけで。DVD化されたことだし、やっと観た。

で、ひさびさ本気で泣いた。顔が歪んだまんま、しばらく戻らなかった(自宅でよかった
映画に感動したとゆうよりは、わんこの、いや動物たちの正直な愛情に感動したんだ。
動物を題材にした映画は、特にわんこみたいなある程度ヒトとコミュニケーションが交わせて、
表情豊かな場合、その普段の自然な動きが抑制されて、カメラから外れた場所から指示を出してる
ドッグトレーナーの言う事に反応して動いてる緊張感が伝わってきて、その影響か周りの俳優たちも
どこか不自然な感じになってるのが常で、まあよく言えば全体的に絵本みたいな印象になってる。
映像の平坦な色遣いや、娘が育って、お嫁に行くまでってゆうストーリーの流れも含めて。

母が突然倒れて入院。庭に迷い込んできたわんこを飼うまでが意外と長かったな。
飼うにあたって母親は「犬を飼うための十戒」を娘に教える。
何気ない晴れて家族と過ごす休日に夫に「あかりをよろしくお願いしますね」と言い残すシーンも泣ける。
でも、トヨエツみたいなカッコいいお父さん、あり得ないよねw
子役から田中麗奈に替わった後の親子シーンはまるで恋人同士みたいに見えるし。

田中麗奈が不自然なオカッパ頭で、いつもモデルみたいなカワイイ洋服を着ているのが気になる(開業医が裕福だからか?
あかりの彼氏役の加瀬亮は『グーグーだって猫である』にも出てたな(なんだか若さがないオッサン顔だよね?
布施明の夫婦も仮面夫婦みたいに演技が硬くてぎこちないし
唯一、旭山動物園の飼育員・ピエール瀧の面白さで現実に引き戻される/爆

特典は予告編(劇場版・TVスポット用)だけとシンプル。主題歌はBOAが歌ってる。
ちなみにソックスとあっちむいてホイをしてるわんこの中に、ポチたまのネロくんも共演してて、
番組内でも収録風景を紹介してた。ちょっとしたシーンなんだけど、何度も撮り直してて
ほんと動物を映画に撮るのは大変な作業だよねぇ/苦笑

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『犬、最愛のパートナー』

2008-12-20 14:47:23 | 
今週読んだ本。

『さるの こしかけ』作:宮沢賢治 絵:さいとうよしみ
「小猿は緑の草の上を列(なら)んでだんだんゆるやかに、三べんばかり廻ってから、楢夫のそばへやって来ました。大将が鼻をちぢめて云いました。
「ああひどかった。あなたもお疲れでしょう。もう大丈夫です。これからはこんな切ないことはありません。」

欧米文学のほうが好きなので、日本人作家はほとんど読まなかったが、そんな中でも一番好きなのは宮沢賢治
『銀河鉄道の夜』が一番だけど、もちろんどれを読んでも素晴らしいものばかり。
何が好きかってこの独特な言葉の選び方。
昔の作家だから古い漢字の使い方もそうだし、地元の岩手県花巻の方言もあるし、なにより賢治によって創られた
まったく純粋で、篤い信仰からくる慈悲が伝わる言葉を一語一句噛みしめて読むと
ココロの芯からあったまって涙が出そうになる

少年・楢夫が庭の木に生えたキノコを見てたら小猿が現れて、木の中の世界に案内される
不思議の国のアリスのような、ガリバーのようなまるで夢を見ているようなストーリーだった。


『すいせん月の四日』宮沢賢治 作 堀川理万子 絵
吹雪をおこす雪ばんご(おばあさん)と雪童子がやって来て、さっきまで太陽が照っていた丘がみるみる大雪に包まれる。
カリメラ(カルメ焼き)のことを真剣に考えながら歩いていた子どもが足をとられて蹲って泣いている。
雪ばんごは「水仙月の四日なんだから、ひとりやふたり死んだって構わないんだよ」と言うが、
雪童子は優しくその子に「すぐ通り過ぎるからじっとしていれば大丈夫だよ」と囁くけれども、
子どもの耳にはただ冷たい風が鳴っているだけにしか聞こえない。
やがて吹雪は去り、雪童子と連れの狼たちも別の地へと向かい、子どもを探して親がやってくる。
子どもが過ごした吹雪の一夜の様子が鮮やかに切り取られた素晴らしい一遍。

雪童子がどうしてカシオペアがよく光ると吹雪になるのかと話すセリフもステキ。
「それはね、電気菓子(わたあめのこと)とおなじだよ。そら、ぐるぐるぐるまわっているだろう。ザラメがみんな、ふわふわのお菓子になるねえ、だから火がよく燃えればいいんだよ。」


『犬、最愛のパートナー』ジョーン・ワイナー・ブラウン/著 J・T・ウィリアムズ/絵 大西央士/訳
飼い主と犬本人の感覚との合間をいったりきたりして書かれている文体が新鮮だった。
ワイナー自身が飼っていたポインターをモデルにして書いたとのこと。
旦那さんも10年前にサイモンと同じ心臓病で亡くなっているらしい。
狩猟犬としての誇りを本能として持ちながらも、都会で暮らすサイモンは近所の鳩を追って片足を上げるのが精一杯。
それでも高い塀の上を歩いたりして近所の英雄になり、楽しい人生を謳歌していたが突然、心臓の病になった。。

「サイモンは自分が病気になったことで注目の的になっているのが恥ずかしかった。かといって、自分のことを考えていたわけではない。犬は決してそんなことはしない。彼らはどんなにひどい仕打ちでもがまんするだろう。いや、そう、がまんするのだ。犬は、たたかれても、悲しそうにこちらを見ながら、いやな思いをさせ、怒らせたことをわびるだろう。」
そう、犬って、いやほとんどの動物ってそんな風なんだ。シンプルで、純粋で。
ヒトの勝手な行動にも選択権はないし、与えつづけてくれるばかりの愛情。出し惜しみもない。

こないだ会社で読んだ記事に、医療の研究に使われてるマウスが何かの症状が現れるよう「作成」されて、
彼らの尾をちょっとばかり「切断」して、どれだけの時間出血したかという棒グラフが載っていた。
血が止まりずらい症状な為に、「交配」されて「妊娠」させられた雌マウスは、出産の際に出血多量で死んだ例も数件載っていた。
誰がネズミは実験に使って殺してもいいって決めたんだろう。
いま、わたしが便利に飲んでるクスリは全部、こんな動物実験が繰り返された結果なんだろうか。


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『ダイヤルMを廻せ!』

2008-12-20 14:09:39 | 映画
『ダイヤルMを廻せ!』~DIAL M FOR MURDER(1954)アメリカ
製作:監督:アルフレッド・ヒッチコック 原作:脚本:フレデリック・ノット
出演:レイ・ミランド、グレース・ケリー、ロバート・カミングス、ジョン・ウィリアムズ、アンソニー・ドウスン ほか

Dial M for Murder Trailer

story
元テニスプレーヤーのトニーは、妻マーゴの不倫を知り、殺す完全犯罪計画を立てる。
ふと出会った同級生の素行の悪さを徹底的に調べ上げ、彼を利用して、ある夜パーティに出かけてアリバイを作り、
一人家に残ったマーゴの背後から忍び寄る男。しかし、殺人は失敗、男は逆にマーゴが刺したハサミで死んでしまう。
通報した警察が来るまでの数分間で証拠をすり替え、ラブレターをネタに脅迫していた男を妻が殺したシナリオに変える。
死刑が明日に決まったマーゴを守ろうと必死な恋人マーク(推理小説家)はトニーに罪をかぶるよう提案するが。。


計画してからそれを完璧に仕上げるまで1年間もかかってるところがコワイ
「完全犯罪なんて小説の中だけのこと。実際やろうとすれば何かしら計画が狂ってくるものだ」なんて会話が
殺人の行われるまさに数時間前に何気なく交わされるあたり伏線の敷き方が絶妙。
しかも、自分で計画した犯罪を妻の不倫相手がその通りに推理したり、通り一遍の調査をしてるかに見える警部が
いろいろと試行錯誤して証拠を検証していたりする二転三転がスリリング。
ただ、有罪になるまでの裁判シーンがまったく省略されて、グレースの表情のみなのが素っ気ない。
真犯人がバレた時の冷静さも知的犯罪者ゆえか。真実が明らかにされても切なさが残るラスト。


この時グレースは新人だったらしいが堂々とした演技、そしてどこから見ても完璧な美貌
ヒッチコックが本当に愛していた女優だってどこかで読んだ記憶があるんだけど。
「最初、この映画は3D(立体映画)で作られたが・・・」て書いてあるのにビックリ!
金曜に「3Dで映画を製作する時代が再びやってきてる」って記事を読んだばかりでとっても興奮してたので。

懐かしの映画館―近松座
このサイトすごいなあ!ヒッチコック映画も主要な作品がすべて揃ってる。

追。
毎回楽しみなヒッチコックの登場シーン。今回は同窓会での写真で、ちゃっかり
トニーと同じテーブルに座って写ってた。さり気なさすぎて笑えるw


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