2013年初版 柴田元幸/訳 タダジュン/カバー装画
最近知った作家の「ニューヨーク3部作」が気になって借りてみた
ゴーリーで知った柴田元幸さんの翻訳で
タダジュンさんの表紙画
間違い電話って小説の導入部として入りやすいし
読みやすい文量だけれども、いわゆる探偵小説とは全然違った
作中に著者と同名の作家が出てくるのもフシギだし
作家はどこに行ったのか?
そして、ノートを見つけた第三者は誰?
都会に長年暮らしていると、自分がなくなっていく感覚は分かる気がする
美しいものの記憶だけが残ったというのは死後の世界か?
【内容抜粋メモ】
登場人物
ダニエル・クイン 作家ウィリアム・ウィルソン 妻子は亡くなっている 散歩好き
ピーター・スティルマン
ヴァージニア 妻
ピーター 父
ポール・オースター 作家
クインはウィリアム・ウィルソンという名前で
マックス・ワーク探偵が活躍する小説を書いている
出版社とはエージェントを通してやりとりし
そのエージェントとも郵便でのやりとりだけ
真夜中に間違い電話がかかる
相手はポール・オースター探偵事務所にかけたと言う
3度目にかかってきた時、オースターだとウソをつく
「私は殺されようとしている あなたに護ってほしい」
*
ピーター・スティルマンは幼い頃に母を亡くし
同名の父により9年間も幽閉されていた
火事により発見され、父は裁判にかけられ、病院に入った
妻ヴァージニアはピーターの言語療法士をしていた
父に命を狙われているから見張ってほしいと依頼される
ポール・オースターについては看護師サーヴェドラの夫マイケルが
昔警官をしていて知った
クインは現金化されることのないポール・オースター宛ての小切手をもらう
帰り際、ヴァージニアは情熱的なキスをする
ピーターのような事例はいくつかある
人間の真の「自然言語」を発見しようとした実験や
カスパー・ハウザーなど
*
クインは安食堂で赤いノートを買い、事件についてメモする
図書館で父親の書いた本を読む
内容はアメリカを第二のエデンの園と信じられていたこと
アダムは言葉に命を吹き込んだ
バベルの塔について これ以降、旧約聖書はヘブライ人の記録
ヘンリー・ダークというボストンの聖職者が書いた『新バベル』について
そこに出てくる1960年は父が息子を閉じ込めた年と一致する
*
駅でスティルマンが出てくるのを待つ間
隣に座る女が自分の書いた小説を読んでいるのに気づいて話す
もらった写真より年老いたスティルマンを見つけるが
その後ろにうりふたつの顔を見つけて狼狽し
第一のスティルマンを尾行すると安いホテルに入った
その日から、スティルマンを尾行する日々が始まる
彼は毎日街を歩いては、ゴミのようなモノを拾っている
2週間が過ぎて、赤いのートのメモからスティルマンの足取りを線に表すと
“THE TOWER OF BABEL”(バベルの塔)となることに気づく
クインと名乗って話しかけると、大きな発見のためのデータを集めていると話す
スティルマン:私がNYに来たのは、どこよりも浅ましい場所だからです
次に会った時、もう誰か忘れているので、ヘンリー・ダークと名乗ると
本で書いたヘンリー・ダークは架空の人物だと明かす
次に会った時はピーター・スティルマンと名乗ると、息子だと思い込む
スティルマン:覚えておけよ 子どもは大いなる恵みだぞ
*
急にスティルマンがホテルから出てこなくなり
受付に聞くと、昨夜チェックアウトしたとのこと
ヴァージニアに話し、2時間おきに電話で連絡すると約束する
*
そもそも間違い電話のもとになったポール・オースターに会うと
探偵ではなく作家だった
『ドン・キホーテ』についての論評を書いている
事件について話し、小切手を現金化して渡すと約束する
美しい妻シリと息子ダニエルを紹介され
自分も妻子を失っていなかったら、こんな家庭が築けたのにと思って沈む
*
スティルマン家に電話すると、いつでも話し中
父は見失ったけれども、スティルマン家を見張れば護れると思い、家の前で張る
食事も睡眠も最低限にして、預金300ドルが尽きるまで何か月も張っていて
クインはすっかり浮浪者のようになる
とうとう無一文になり、いったん家に帰ろうとして
ポール・オースターから小切手の金を受け取ろうと電話すると
不渡り小切手だったと言われる
ポール・オースター:スティルマンは二月前にブルックリン橋から飛び降りたよ
スティルマン家に電話すると、もう使われていないという録音が流れる
*
帰宅すると、様変わりしていて、女が住んでいる
作家が住んでいたが、姿を消して、家賃を滞納していたから引っ越してきた
仕方なく、スティルマン家に行くと中に入れる
家具はないが、食事が毎日届けられるため
最低限食べて寝る日々の中、クインは自分に対する興味すらなくす
“世界の無限の優しさ、一人ひとりの優しさを思い出した
今ではもうすべての美しさ以外はどうでもよかった”
赤いノートも書くところがなくなる
*
アフリカ旅行から帰った“私”は、友人のオースターに電話して
クインと事件について聞き、どうしてもっと積極的に助けてやらなかったのかと責める
2人でスティルマン家に行ってみると、赤いノートだけが転がっている
それを拾って立ち去る
“彼がどこへ消えたにせよ、私は彼の幸運を祈っている”
■訳者あとがき
妻シリと出会い、人生が一変した
彼女に出会えなければ、自分がどうなっていたかを思い描こうとして
ポール・オースターは本書を書いた
17の出版社に断られたが、今では世界中で百万単位の読者に読まれている
最近知った作家の「ニューヨーク3部作」が気になって借りてみた
ゴーリーで知った柴田元幸さんの翻訳で
タダジュンさんの表紙画
間違い電話って小説の導入部として入りやすいし
読みやすい文量だけれども、いわゆる探偵小説とは全然違った
作中に著者と同名の作家が出てくるのもフシギだし
作家はどこに行ったのか?
そして、ノートを見つけた第三者は誰?
都会に長年暮らしていると、自分がなくなっていく感覚は分かる気がする
美しいものの記憶だけが残ったというのは死後の世界か?
【内容抜粋メモ】
登場人物
ダニエル・クイン 作家ウィリアム・ウィルソン 妻子は亡くなっている 散歩好き
ピーター・スティルマン
ヴァージニア 妻
ピーター 父
ポール・オースター 作家
クインはウィリアム・ウィルソンという名前で
マックス・ワーク探偵が活躍する小説を書いている
出版社とはエージェントを通してやりとりし
そのエージェントとも郵便でのやりとりだけ
真夜中に間違い電話がかかる
相手はポール・オースター探偵事務所にかけたと言う
3度目にかかってきた時、オースターだとウソをつく
「私は殺されようとしている あなたに護ってほしい」
*
ピーター・スティルマンは幼い頃に母を亡くし
同名の父により9年間も幽閉されていた
火事により発見され、父は裁判にかけられ、病院に入った
妻ヴァージニアはピーターの言語療法士をしていた
父に命を狙われているから見張ってほしいと依頼される
ポール・オースターについては看護師サーヴェドラの夫マイケルが
昔警官をしていて知った
クインは現金化されることのないポール・オースター宛ての小切手をもらう
帰り際、ヴァージニアは情熱的なキスをする
ピーターのような事例はいくつかある
人間の真の「自然言語」を発見しようとした実験や
カスパー・ハウザーなど
*
クインは安食堂で赤いノートを買い、事件についてメモする
図書館で父親の書いた本を読む
内容はアメリカを第二のエデンの園と信じられていたこと
アダムは言葉に命を吹き込んだ
バベルの塔について これ以降、旧約聖書はヘブライ人の記録
ヘンリー・ダークというボストンの聖職者が書いた『新バベル』について
そこに出てくる1960年は父が息子を閉じ込めた年と一致する
*
駅でスティルマンが出てくるのを待つ間
隣に座る女が自分の書いた小説を読んでいるのに気づいて話す
もらった写真より年老いたスティルマンを見つけるが
その後ろにうりふたつの顔を見つけて狼狽し
第一のスティルマンを尾行すると安いホテルに入った
その日から、スティルマンを尾行する日々が始まる
彼は毎日街を歩いては、ゴミのようなモノを拾っている
2週間が過ぎて、赤いのートのメモからスティルマンの足取りを線に表すと
“THE TOWER OF BABEL”(バベルの塔)となることに気づく
クインと名乗って話しかけると、大きな発見のためのデータを集めていると話す
スティルマン:私がNYに来たのは、どこよりも浅ましい場所だからです
次に会った時、もう誰か忘れているので、ヘンリー・ダークと名乗ると
本で書いたヘンリー・ダークは架空の人物だと明かす
次に会った時はピーター・スティルマンと名乗ると、息子だと思い込む
スティルマン:覚えておけよ 子どもは大いなる恵みだぞ
*
急にスティルマンがホテルから出てこなくなり
受付に聞くと、昨夜チェックアウトしたとのこと
ヴァージニアに話し、2時間おきに電話で連絡すると約束する
*
そもそも間違い電話のもとになったポール・オースターに会うと
探偵ではなく作家だった
『ドン・キホーテ』についての論評を書いている
事件について話し、小切手を現金化して渡すと約束する
美しい妻シリと息子ダニエルを紹介され
自分も妻子を失っていなかったら、こんな家庭が築けたのにと思って沈む
*
スティルマン家に電話すると、いつでも話し中
父は見失ったけれども、スティルマン家を見張れば護れると思い、家の前で張る
食事も睡眠も最低限にして、預金300ドルが尽きるまで何か月も張っていて
クインはすっかり浮浪者のようになる
とうとう無一文になり、いったん家に帰ろうとして
ポール・オースターから小切手の金を受け取ろうと電話すると
不渡り小切手だったと言われる
ポール・オースター:スティルマンは二月前にブルックリン橋から飛び降りたよ
スティルマン家に電話すると、もう使われていないという録音が流れる
*
帰宅すると、様変わりしていて、女が住んでいる
作家が住んでいたが、姿を消して、家賃を滞納していたから引っ越してきた
仕方なく、スティルマン家に行くと中に入れる
家具はないが、食事が毎日届けられるため
最低限食べて寝る日々の中、クインは自分に対する興味すらなくす
“世界の無限の優しさ、一人ひとりの優しさを思い出した
今ではもうすべての美しさ以外はどうでもよかった”
赤いノートも書くところがなくなる
*
アフリカ旅行から帰った“私”は、友人のオースターに電話して
クインと事件について聞き、どうしてもっと積極的に助けてやらなかったのかと責める
2人でスティルマン家に行ってみると、赤いノートだけが転がっている
それを拾って立ち去る
“彼がどこへ消えたにせよ、私は彼の幸運を祈っている”
■訳者あとがき
妻シリと出会い、人生が一変した
彼女に出会えなければ、自分がどうなっていたかを思い描こうとして
ポール・オースターは本書を書いた
17の出版社に断られたが、今では世界中で百万単位の読者に読まれている