メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『おはようスーちゃん』 ジョーン・G.ロビンソン/作・絵 アリス館

2021-03-15 15:48:18 | 
「絵本・児童書」カテゴリー内に追加します


これも『ちいさなしろくまくんのおはなし』と同様
ちょうどいいサイズのハードカバーで
味わい深い色使いとタッチのイラストがとても可愛い

お話が『いやいやえん』っぽいかもって感じて
訳者の説明書きを読んだら『いやいやえん』の人だった!

しかも、作者は『思い出のマーニー』
スゴイ組み合わせ


ジョーン・ G・ ロビンソン
1910年イギリス生まれ
作家、イラストレーターのリチャード・ G・ ロビンソンと結婚、二児をもうける
クリスマスカードや挿絵を描いているうちに
話も書きたくなり作家になる

後に再婚
後期の作品はジョージ・G・トーマスの名前で出版している
代表作に『テディ・ロビンソン』シリーズ(福音館書店)などがある


訳者 中川李枝子
1935年 札幌市生まれ
保母として働く傍ら、児童文学グループ「いたどり」の同人として創作活動を続けた
1962年に発表した『いやいやえん』は厚生大臣賞 、NHK 児童文学奨励賞などを受賞
その他『ぐりとぐら』など多数


グッド・オールド・タイムズな時代
映画『トゥルーマン・ショー』並みにいい人しか出てこない

美人なママ、ハンサムなパパ
可愛くていい子のスーちゃん
親切な隣のおばさん、八百屋さん
駅員さん、靴屋のブロンドさん、、、

日常の何気ない話に心から笑って癒やされる
時々挟む挿絵も可愛いけれども
読んでいるとその光景が目に浮かぶ

青く晴れた空、緑の芝生が揃った庭
隣合った家々、上品で手入れの行き届いた家具やお皿
手焼きのパイと温かい紅茶

こんな家庭にいたら、きっとまっすぐ素直に育つだろう

ガサガサしたカウンターカルチャーとか一切ない王道な世界
それを甘酸っぱく思い出す人もいれば
窮屈だった人もいるかもしれないけど


【内容抜粋メモ】

1スーちゃんの砂場
すーちゃんはお気に入りの人形たちをおもちゃの乳母車に乗せてお散歩する

一番のお気に入りはお人形のセモリナ
柔らかいうさぎの毛(!?)で出来ていて
抱っこするととても気持ちがいい

「今日はセモリナのお誕生日にしましょう
 バースデーケーキを作らなきゃ」と思いつく

ママの大事にしていた植木鉢をひっくり返すと大きなケーキに早変わり
それを見てびっくりするママ

ママが花を引き抜いた拍子に
ケーキは粉々になり、すーちゃんは泣いてしまう

ママ:砂を買って、パパに砂場を作ってもらいましょう

パパが夕方に庭に深い穴を掘って砂場を作ってくれる
茶色い土のケーキではなく金色の砂のケーキを作って大喜びのスーちゃん

お父さん、ハンサムすぎ!





2おるすばん
ママがおばあちゃんの所へ新しいカーテンをつけに行くので
スーちゃんとパパはお留守番

キッチンを覗くとちゃんとお茶の用意がしてあって
サンドイッチとケーキがのっている

蛇口が故障しているのを見て
新しいのに付け替えてママをびっくり大喜びさせようと言うパパ

すーちゃんもママをびっくり大喜びさせたい

パパ:
庭に咲いている黄色いデイジーをつんで
花瓶に挿してテーブルに置いたらどうかな

パパは門のペンキも塗り替えることにする
すーちゃんは「ペンキ塗りたて」の注意書きを書く

パパはペンキ塗りで手が離せないため
すーちゃんがサンドイッチを口まで運んであげる

お隣のバートンさんがやってきて
ママの大好きなラズベリーを持ってくる

パパ:ママの最後のびっくり大喜びはすーちゃんのお風呂だ

パジャマの上にカーディガンとズボンを着せる


ママが帰ってきて、新しい蛇口
ピカピカの門、テーブルの上のラズベリー
綺麗な花を見て

ママ:
こんなにたくさんいっぺんに
嬉しいビックリは生まれて初めて と喜ぶ

すーちゃんをお風呂に入れなくちゃ
と服を脱がすと、もうお風呂に入ったあとだとわかる

ママ:私もびっくりのお土産があるのよ

バッグからアイスクリームの箱を出す
パパとすーちゃんはびっくり大喜び

(ずっと冷蔵庫にも入れずに持ち歩いて溶けてなきゃいいけどww



3スーちゃんとトム
ママがタルトを焼いていると八百屋のグリンさんがやってくる

すーちゃんに買い物を頼む
人参とリンゴとすーちゃんの好きな桃

グリンさんは荷車を引いた馬のトムと一緒にいる
すーちゃんは一生懸命考えて
ニンジンとリンゴを買うが桃は忘れてしまう

トムに人参をあげるとあっという間に食べてしまう
人参もりんごも全部あげてしまうすーちゃん

グリンさんはすーちゃんをトムに乗せてくれる
トムはぽっくりぽっくり歩き出す





すーちゃん:
乗せてくれてありがとう
もし欲しいものがあったらグリンさんに言ってね
そしたらグリンさんが私に教えてくれる
それを私が持っていたら必ずトムにあげるからね

グリンさん:
帰りもここを通るが、その頃にはトムは喉がカラカラだ
もしバケツ一杯の水をもらえれば大喜びだ

トムが人参もりんごも食べてしまったことを知り
驚いてかごに入れてくれる

ママのところに持っていくと
桃を買い忘れたことに気づく

2人でお使いに行き
門の前に置いたバケツの水が空っぽになっていて
中にはお礼の桃が一個入っている

すーちゃん:
トムって賢い
トムは私が欲しかったもののこと知ってたのよ
毎日トムにお水をやりましょう
馬のお友達がいるなんて素敵!

(子どもって自然とシェアするよね
 誰かから飴をもらったら、必ず周りの人にもあげようとしてくれる
 こういうシンプルで純粋な心に触れると泣きそうになるんだ



4ママのたんじょう日
もうすぐママの誕生日

すーちゃん:
何を買ってあげようかな?
ママへのプレゼントは香水!

郵便箱の形をしたブリキの貯金箱には
ボタン1個と輪ゴムだけww

すーちゃん:ママの香水を作ろう!

庭の特別にいいにおいの花びらをつんで瓶に入れ
水を入れてスプーンで何べんもかき混ぜて
庭の隅の物置の後ろに隠す

すーちゃんはクリスマスやお誕生日にもらったカードを全部大切にしまっている
ママには誕生日カードをあげることに決める

「今日あなたは三つ おめでとう」って書いてある
すごいステキなリサイクル!

「ママ お誕生日おめでとう
 私が見つけた一番素敵なカードです
 ママ大好き」


雨が2日ほど続いて、ママの誕生日の前の日
瓶を開けてみると恐ろしく嫌な臭いがしてがっかりする(苦笑

お隣のバートンさんが気づいて
「ラベンダーの匂い袋はどう?」と提案

色とりどりの端切れで可愛らしい袋を作り
中に庭で摘んだラベンダーをたくさん入れる





すーちゃん:
ありがとう、おばさん
香水よりももっと素敵!

でもパパが何ももらえなくてかわいそう


今度はクリスマスカードに

「パパへ
 お誕生日でなくても悲しまないでね
 パパ大好き」と書く


眠っているパパとママの枕元に
カードとプレゼントを置くと、ママが起きて

すーちゃん:
ママ 早く開けてみて
嬉しいかどうか私に教えてちょうだい

ママはプレゼントが最高に気に入って
「私は世界で一番幸せ者」と言いました



5スーちゃん 歯をぬく
ある日すーちゃんは歯が痛くなり
ママと一緒に歯医者のトレント先生に診てもらう

ペダルを踏むと上がったり下がったりする素晴らしい椅子に座る
「これは抜いたほうがいいですね」と言われる






すーちゃん:私、歯を抜きたくない

ママ:
どうやって抜くか知らないからよ
教えてあげましょう

さっきの椅子に座って
先生があなたの鼻に奇妙な匂いのガスを嗅がせます

するとあなたは眠くなってきます
眠くなるガスだからよ(大丈夫かな、それ/苦笑

あとは帰りにアイスクリームを食べるだけ


すっかり嬉しくなったスーちゃんは歯医者さんごっこを始める
セモリナに眠くなるガスを嗅がせる





(なんだかシュール
 でも子どもはこうして疑似体験することで
 実際の不安を軽減したり、大人の世界を学んでいくんだよね


すーちゃんはママと歯医者に行く
ママが言っていた通り
眠っている間に歯を抜いてもらい
小さい包みを渡される

歯医者さん:
今夜枕の下に入れて寝てごらん
明日の朝、銀貨に変わっているかもしれないよ



帰る途中、2人は喫茶店でアイスクリームを食べる





扉部分に丁寧に描かれたその場面のイラストがある
私も小さい頃、母親の買い物に連れて行かれて
その帰りデパートのレストランで
銀皿に乗った丸いバニラアイスを食べるのが楽しみだったことを思い出した


翌朝起きると歯は本当に6ペンス銀貨に変わっていました



6スーちゃんとポーターさん
毎週金曜日はママと出かけるお買い物
汽車に乗って大きい店まで行くのをとても楽しみにしている

駅員のポーターさんはすーちゃんを「キャンディちゃん」と呼んでいる
初めて会った時、手に持っていたキャンディーを落として泣いていると
ポーターさんがキャンディーを投げてくれたことから

金曜日
汽車を待つあいだホームを散歩する
ホームの外れに小さい花壇があり
マリーゴールドと金蓮花、忘れな草が咲いている

すーちゃん:つんでもいい?

ママ:
いけません たぶん駅の庭でしょう
それにしては草ぼうぼうでお花がかわいそう

二人はすっかり草を抜いて花壇が綺麗になる






貨物列車がやってきて
茶色と白のまだらの牛をいっぱいのせた貨車が3両も続く

すーちゃん:牛もお出かけするのね

(いや、そのままレストラン行きかもよ/涙


最後の大きな一本の草を抜いて急いで車両に乗る

ポーターさん:面白い花束を持っているね


二人は買い物を終えてエレベーターで喫茶店に行くと
テーブルにマリーゴールドとわすれな草が差してある

すーちゃん:このお花買ってもらえる?

ママ:
この花はテーブルの飾りで売り物ではないの
それより種を買って庭にまきましょう

帰りの改札口でポータさんから
マリーゴールドと金蓮花、わすれな草の花束をもらう
庭の草を抜いてくれたお礼

すーちゃん:
金曜日はいつも駅のお庭の草取りをしよう
私、駅のお花のお世話係になるわ




7やねうらのせいり
おばあちゃんが埃よけにするシーツが欲しいと言って
すーちゃんとママはやねうらを整頓する

ブルーの陶器が出てきて
ママ:お揃いの水差しが割れてしまったから捨てましょう
すーちゃん:お砂場の池にする

ママ:ピンクのランプシェードも捨てましょう
すーちゃんはおしゃれな帽子に見立てる
それに合わせてカーテンをドレスのように着て
シンデレラになった気持ちになる





すーちゃんが赤ちゃんの時に乗っていた乳母車が出てくる
ママ:古ぼけてるわ 捨てましょう
(ママ、リサイクルのことも考えておくれ・・・/切願

ママが子供の頃に使っていたおもちゃの乳母車が出てきて
パパに修理してもらって使うことにする


二人でおばあちゃんの家に行く
バスから降りると、綺麗に赤く塗った小さい車を引っ張っているお兄ちゃん
弟はそれに乗って車のついた木馬を引っ張っている





木馬が落ちているのを拾ったすーちゃんは
慌てて追いかけて兄弟に渡す

ママ:こんな素敵なカート見たことないわ

兄:
僕たちが家で作ったの
この道を行くなら乗せてあげるよ

すーちゃんはセモリナと一緒にカートに乗る

すーちゃん:あんまり素敵でシンデレラがパーティーに行く馬車みたい

ママ:こんなに立派な物を作るなんてずいぶん頭がいいのね

兄:
最初はパパが手伝ってくれた
黄色いドアの家の前でゴミに出してあった乳母車を二人で見つけたんだ

ママが捨てた乳母車だと知ってビックリする二人

すーちゃん:古い乳母車をシンデレラの馬車にする人がいるなんて知らなかったわ



8スーちゃん いぬをみつける
ある日スーちゃんは3ペンスで
風船とアイスクリーム、どちらを買うか迷い
アイスクリームに決める

通りの角にあるお店には、新聞、タバコ、お菓子も売っている

アイスクリームをもらってひとくち舐めようとした時
赤い首輪をつけた子犬が走ってきて、撫でようと屈んだ瞬間
アイスクリームの塊が落ちてしまい
子犬があっという間に食べてしまう(ありがちww





どこまでもすーちゃんを追いかけてくるので

すーちゃん:
誰の犬? お家はどこ?
うちの子犬ならいいのにね
私ならブラニーと呼ぶわ
私のうちの子になる?

ママ:うちでは飼えないわ 飼い主がいるはずよ

ブラニーには大変ないたずらっ子で悪さの限りをやり尽くす
でもボールのように丸くなって眠る姿は
可愛らしくて本気で叱る気になれない

画用紙に「迷い犬預かっています」と書いて門に張り紙を出す


翌朝も積み木の箱をひっくり返したりやり放題のブラニー

郵便屋さんがクスクス笑いながら
「お隣の張り紙を見ましたか?」

パパと見に行くとバートンさんの門にも張り紙があって
「迷い犬探しています」と書いてある

犬を連れて行くと

バートンさん:
ティンカーを見つけてくださったのね
おとといこの子犬を買って
目を離したすきにいなくなって
とても心配していたの

すーちゃん:
ティンカーっていうの?
私はブラニーて呼んじゃった
それじゃあブラニー・ティンカーはどう?
ウチの犬でなくてガッカリしたけど
お隣さんで良かった



9スーちゃん くつを買う
ある日すーちゃんはママと靴を買いに行く
お店の中に赤い手綱のついた大きいゆり木馬があり目を奪われる

ブロンドの女性店員さんがメジャーですーちゃんの足の寸法を測る
(昔はみんなオーダーメイドだったのか?驚

少し離れたところに同じ年頃の女の子が
ママと座って茶色の編み上げ靴を買うのを見て
すーちゃんも同じ靴を買ってもらう






その後、すぐ木馬のところに走っていくと
男の子が乗っていて
さっきの女の子がお人形を抱いて順番を待っている

お人形の名前を教え合う2人
サラちゃんのお人形の名前はブライアローズ

サラちゃんが木馬に乗っている間、すーちゃんはブライアを抱いて
スーちゃんが木馬に乗っている間
サラちゃんはセモリナを抱いていました






サラ:私の家に来ない?
すーちゃん:うん、行く サラちゃんも私の家に来てね

サラ:うん、行く 私ドールハウスを持ってるの


帰り道、ママにサラちゃんのことを話すと
住所を聞き忘れてがっかりする

その上間違えてサラちゃんの人形を持っていることに気づき靴屋さんに戻る

「娘が人形を間違えてごめんなさい
 お店に預けるのでよろしくお願いします」

ママは手紙を書いて、最後に名前と住所を書いて渡す

その後、家にサラちゃんとママがやってくる

サラちゃんママ:
私たち隣の通りにおりますの
引っ越してきたばかりでご近所のお付き合いがなくて
すーちゃんが遊びに来てくださるとありがたいのですけれど

二人はとっくに仲良しのお友達

ママ:今日はお買い物にセモリナを連れて行ってよかったわね

サラちゃんママ:ブライアローズを連れて行ってよかったわね

すーちゃんとサラちゃんは声をそろえて
「本当に良かった!」と叫びました

(小学校の頃、親友と出会ったのも
 最初はこういうたあいもないことがきっかけだったのかもしれないな
 その子もリカちゃんのドールハウスと人形をたくさん持っていて
 可愛い白い犬もいて羨ましかった
 毎日、学校帰りに遊びに行って、暗くなるまで遊んだっけ



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