メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

サイバー攻撃、日本で多発@週刊ニュース深読み ほか

2017-05-22 13:03:54 | テレビ・動画配信
サイバー攻撃、日本で多発@週刊ニュース深読み

あなたも狙われている!?急増するサイバー攻撃@週刊 ニュース深読み

【ゲイリー・コバックス「オンライン追跡者を“逆に”追跡」】2.3 ON AIR@スーパープレゼンテーション


サイバー攻撃による被害は、現在、150か国、30万件以上に達している
イギリスでは、国営病院のコンピュータシステムがウイルスに感染する事態が起きた

「Wanna Cry」(泣きたいという意味のウイルス)


例:
パソコン内のデータを勝手に暗号化して金銭を要求
マイクロソフト社「WINDOWS」の欠陥をついて入り込む

 

欠陥のあるパソコンをネットにつないでいただけでウイルスが侵入
ウイルスを無差別にばら撒き、セキュリティの甘いパソコンに侵入したと考えられる

専門家:
対策により、12日から始まった『Wanna Cry』の拡散は落ち着いているということだが
同じ攻撃方法を模倣した攻撃も確認されている


<ウイルス侵入防ぐ対策法>

1.ウィンドウズが最新の状態かチェックする
コンパネの「ウィンドウズアップデート」で分かる

 

2.マイクロソフトは、XPなど古いOSにも修正ソフトを出しているので適用する

3.消えたら困るデータは、こまめにバックアップをとる
ウィンドウズには「バックアップの作成」という仕組みがある

 

(「バックアップが設定されていません」て出てきたけど、やり方がわからん
 外付けに必要なのは入れてるけど



闇サイト“ダークウェブ”@あさイチ
専門家ゲスト:土屋大洋さん(慶應義塾大学教授)
リポーター:田中逸人アナウンサー

イスラエルのセキュリティ会社 シャイ・アルベル社長:
 


「ダークウェブ」とは?
違法薬物や、免許証などが不正に取引されている
 

アルベル社長:
世界中のクレジットカード情報を扱っている闇の市場を特別にお見せしましょう
日本のクレジットカードもあります

 

日本のクレカの情報が8ドル(約1000円)で売られている



日本がターゲットのブームになっている

アルベル社長:
3ヶ月前に、膨大な日本のカード情報を見つけました
26万6000件のクレジットカードが売りに出されていた

つまり、20万件以上のカード情報が、すでに売られたことになる

はっきりした理由は分からないが、日本での情報流出はどんどん増えている
トレンドとして増加の一途であることを強く認識する必要がある
(金のニオイのするところにミツバチが集まるのでは?


注意:
「ダークウェブ」は、特殊な方法でしか見られない
一般人は見られないし、見れたとしても逆に情報が抜き取られる危険性があるので注意



個人情報の流出はどこから?


例:Bリーグでの被害額は600万円
 

被害に遭った女性(45歳)を取材:
ある時、突然、クレジットカードが使えなくなった

カード会社に問い合わせると
「深夜にオンラインで買い物をされていますか?
 4万円、3日後くらいに7万円の買い物をしています」

と身に覚えのないことを言われて驚いた

カード会社は、使い方がおかしいと判断し、一時的にカードの利用を停止していた

その後、スマホにBリーグからのメールが来た

 


報流出のからくり


1.ネットで買い物をする際、個人情報を登録する

2.個人情報は、ショップのコンピュータに保存される

3.同じソフトウェアがあらゆる所で使われていた→無料で、使い勝手がよいため、世界中に普及している

4.3月、ソフトウェアに欠陥が見つかった

5.「早く対策を!」とネットで呼びかけたため、闇サイト側もそれを見て、対策を打たれる前に情報を抜き取った


なぜ防げない?
ソフトウェアを作っている会社でも把握できない「脆弱性」がある
対策をとっても、新しい手法がどんどん考えられているので、気づいた時にはもう遅い
100%完全に安全なソフトウェアはない、という認識をもつこと


「オープンソース」
情報開示しているため、みんな安心して使えるメリットがある
これを閉じても、やはり100%安全ではない


なぜ日本が狙われている?
これまで日本のセキュリティは安全だといわれていた 理由は、日本語の壁があったから
今では、翻訳ツールが高性能になり、日本人が協力している可能性もある


個人でできる対策

「考えて使う」
100%の安全はないという認識をもつこと
「https」の“s”はセキュリティの意味 暗号化している
これがあるかチェックすることもひとつの手

(知らなかった! なるほど“s”がついてるアドレスある!


「明細をこまめにチェック」
カードを使ったら、明細と合っているか、毎月チェックする
早く気づいて、カード会社に問い合わせることができる
時間が経つほど調べづらくなる


「通知サービスを利用」




<FAX>



専門家:他にも大勢の被害者がいれば救済されることも多いが、1人だけだと難しいので、早く連絡すること




専門家:
ネットショッピングの登録には捨てアドがおすすめ
会社、自宅、スマホのアドレスは使わないようにする





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topics~誰でも使えるムロツヨシからの結婚お祝いVTR ほか

2017-05-22 12:37:08 | 日記
誰でも使えるムロツヨシからの結婚お祝いVTR

すごい適当/爆 ご馳走食べに来た他人みたいな

NHK1.5chなんてのもあるんだ/驚

『LIFE!』次回放送日決定!祝×5000
6月16日(金) 夜10:00~10:48

その前に『LIFE!が見たくなるSP』6/3 23:25~


バナナの仕入れ値が上がる@ZIP!


スーパー果物担当:(仕入れ値は)2、3年前の倍です

日本で売られているバナナの90%はフィリピンから輸入している
干ばつ+中国での需要が増えたのが原因ではと言われる



そんな中、品種改良された国産バナナ「岡山県産 もんげーバナナ」が注目されている
皮が薄くてカンタンに縦に割れ、皮ごと食べられるのが特徴/驚
しっとりと柔らかい皮と、粘り気のある甘い実

 

 



朝ドラでも、澄子が病院でバナナを食べていて、当時は病人しか食べられないほど貴重な高級品だったのが
今じゃ年中安く手に入るのが当たり前になった

その裏には、大国による大規模な森林伐採をして造られたプランテーション、
児童労働で安く大量に作られている背景があることを知らなければならない


なくならない飲酒運転 お酒を飲んだ後、アルコールが抜けるまでの時間は?


例1:ビール 中ジョッキ1杯には、約20gのアルコールが含まれる


教授:
20gのアルコールは、抜けるまで3時間かかると言われている
翌日の朝まで残っている人は相当いる
(個人差、その日の体調等によっても変わる

例2:日本酒 1合には、約20gのアルコールが含まれる


例2:様々なお酒を飲み合わせると?


教授:
たとえば夜7時から飲み始めたとしたら、翌日の昼1時まではアルコールが残る
日本酒3合以上飲んだ時は、翌日朝まで残っていると思ったほうがいいので
朝早い時間は運転できない

一般の人が思っているより、アルコールというのは残っている
その状態でクルマを運転するのは非常に危険なのでやめてほしい



受動禁煙めぐり厚労省vs自民党で攻防

厚労省は、2020年の東京オリンピックも見据えて、対策を徹底したい考え

喫煙OKのバーのマスターは「吸えなくすると、客足が遠のいてしまうのが心配」

『方舟』の店長は
「客に“全面禁煙になった”と言うと“良かった”という声をいただいている
 売り上げも、禁煙にしてから、先月(3月)は去年より少し上がっている」



電車内で痴漢を指摘されて逃走する人が増えている理由
 

<街の男性の声>

20代学生「とりあえず、その場から立ち去ろうとしますね」

20代学生「とどまっちゃいけないとネットに書いてあった そういう意見が多い」



「逃げたほうが勝ちだという雰囲気ができてしまっている
 刑事訴訟法では、“逃げる”という行為自体が、犯罪を犯したと推定されてしまうので
 やっていないのなら、絶対に逃げてはいけない


ポイント1:その場に留まること→時間が経つほど証拠集めが難しくなるため

弁護士:現場から離れることによって、証拠がなくなってしまいます

ポイント2:目撃者を募る

弁護士:
たとえば「片手にスマホを持っていて、片手はつり革につかまっていた」
という証言がとれれば、無実が証明される可能性がある

ポイント3:相手の会話を録音する


弁護士:
被害者がどういうことを最初に話したかがかなり重要になる
「今後のために録音させてください」とスマホで録音してください

その場で「証拠」を集めることが重要



この時期に増える山火事@あさイチ
乾燥+強風も影響して、広範囲に燃え広がるのが特徴
最悪の場合、近隣の住宅を巻き込んで、死傷者が大勢出る事件となってしまう

出火原因はヒトの不注意が99%
 


花火:山林に飛んでいき、火種となるケース
線香:火をつけた新聞紙が風で飛ばされて燃えうつるケース

2014年5月 兵庫県の大規模な山火事

東京ドーム15個分を燃やした 原因は、バーベキューの火の後始末

<バーベキューを安全に楽しむために>

終わった後の、まだ熱い炭をそのまま捨てていく人が多い


水を上からかけただけでは火種はまだ残っているので注意
その後、3分ほどで水をかける前に戻ってしまった

 

バケツの水に1個ずつ入れて、20秒ほどつける
「ジュー」という音が完全に消えたらOK

専門家:
炭はすごい熱量を持っているので、非常に危険だということを知ってほしい
一番大事なことは確実に消すこと

「火消しつぼ」
 

昔、囲炉裏のそばには必ずあった
フタをして空気を遮断することで炭の火が消える仕組み
中の炭はふたたび使えるから便利

専門家:
もし山火事を起こしてしまったら「刑事責任」にとわれることもある
山林の持ち主との賠償は「民事」となる


<FAX>



専門家:炭は土には還らない 上にあるものに燃えうつる可能性もある



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レオナルド・ダ・ヴィンチ 幻の戦争画大作@日曜美術館

2017-05-21 12:09:13 | アート&イベント
レオナルド・ダ・ヴィンチ 幻の戦争画大作@日曜美術館

出演:
樺山紘一さん(歴史学者 印刷博物館館長)
アレッサンドロ・ヴェッツォージさん(レオナルド・ダ・ヴィンチ理想博物館館長)
ジョヴァンニ・チプリアーニさん(フィレンツェ大学歴史学教授)等

 

「アンギアーリの戦い」(軍旗争奪場面)の下絵ではないかと言われる絵を見るために
世界中から多くの研究者たちが、フィレンツェに集まった。


レオナルドが壁画に取り組んだのは1503年
完成することなく消えた名作 いつ、どう描かれたのか調査が進められた

フィレンツェ国立修復研究所所長マルコさん:
調査の結果、技法や材料は16C前半に使われていたものに適合すると分かった

度重なる修復で、オリジナル箇所がいくつも削られている
直筆かどうかの結論も出なかった


アレッサンドロ・ヴェッツォージさん(レオナルド・ダ・ヴィンチ理想博物館館長):
この絵は謎を秘めていて、「アンギアーリの戦い」のもっとも重要な絵画的証拠でしょう

東京富士美術館で展示されたのか/驚 日本初公開



ルネサンスの都・フィレンツェ
 

市の庁舎ヴェッキオ宮殿では、政治や行政が行われてきた
この大広間の壁に描かれるはずだったのが大作「アンギアーリの戦い」



今は別の画家の戦争画が描かれている




1500年 50歳近くになったレオナルドがフィレンツェに戻った
「最後の晩餐」で高い名声を得て、円熟期を迎えていた

メディチ家は追放され、市民たちによる民主的な国造りを目指していた
議長に就任したピエロは、ヴェッキオ宮殿に民主的国家の象徴としての壁画をレオナルドに依頼した



テーマは約60年前、宿敵ミラノに勝利した「アンギアーリの戦い」
その横に発注したのは、当時注目された若手芸術家ミケランジェロ(28歳)
ライバル心を燃やした2人の天才の対決は大きな話題となった



レオナルドは教会の間で下絵を始めた 戦争画の大作は初めての挑戦


半年経っても作業は進まず、業を煮やした共和国政府が督促状を出した
「月々の報酬を支払っているのに、なぜ絵が完成しないのか?」催促と期限が言い渡された

さまざまな素描が残っている中、軍旗をめぐって両軍が争う場面もある
 

レオナルドの手記より
敗れた者の顔は青白く、悲痛なシワが寄せられている
号泣まじりの声をあげているような口



敵に武器を奪われながら、歯と爪で激しい復讐を試みる者も見えて差し支えない
死んだ馬の前には、多数の死体が累々と覆い重なって見えたに違いない




アレッサンドロ:
レオナルドは、戦争、戦闘に明確なコンセプトを持っていた
獣のような狂気 怒りの感情を大画面にぶつけた
フィレンツェ軍の勝利の様子ではなく、敗北者の憤怒に焦点を当てている



素描をもとに壁画の構造を考えてみる


戦争のむごたらしさを徹底的に表現しようとしていたレオナルドに対して
横に並ぶミケランジェロは何を描こうとしていたのか

「カッシナの戦い」


ピサとフィレンツェの戦いをテーマにした絵だが、
突然の敵の襲来に、水浴びしていた裸の兵士らが慌てふためく様を描こうとした
筋肉の動きが見事に表現されている



上に描かれているのは、レオナルドの描いた軍旗争奪のよう
その下に「カッシナの戦い」が描かれ、2つの絵が並んだ様を想像していたよう
尊敬する先輩の絵とかぶることを避けるためか、ライバルへの挑戦か?

専門家:
2人は事実ライバルでした 生い立ちも違い、絵のスタイルも性格も違っていた
レオナルドはミケランジェロに一目置いていた
もし、2人の絵が並んでいれば、「世界の学校」と言える





当時のイタリアの政情


ゲスト樺山紘一さん(歴史学者 印刷博物館館長):
15~16Cのイタリアは大変、政治的に混迷状態にあった
1つ1つの国が都市国家をつくり、軍備を持っていた

「アンギアーリの戦い」は1940年に起きたと考えられていた

1502年 レオナルドはチェーザレの下で軍事技士として働いていた
チェーザレは、野心に満ちた若き指導者 勇猛な戦いぶりで支配していた



彼はレオナルドを信頼に武器の設計を任せ、常に行動を共にしていた
この時、レオナルドは戦争の現実を目の当たりにしていた


ジョヴァンニ・チプリアーニさん(フィレンツェ大学歴史学教授):

レオナルドは戦争の道具に関して深い経験があった
兵士ではなく参謀として、戦いの作戦などを研究した
知能はずば抜け、しかも画家なので合戦の模様を詳細に想像でき
もっとも効果的な方法で表現した





実際の戦いにはどんな物語があったのか?

舞台となったアンギアーリの街
石造りの壁は中世の面影を残す この平原が戦場となった


戦いのジオラマ
 

その名を轟かせたニッコロ(赤い帽子の男性)は2000人の兵を従えた


両軍の一進一退の攻防が続いた後、連合軍が優勢となり、
散り散りとなったミラノ軍は次々と殺された



絵には激しく叫ぶニッコロ、その下には軍旗を守ろうとする息子、追撃する敵兵
ぶつかり合う馬などで激しさを特徴
特徴はニッコロを中心に描いていること


ジョヴァンニ:
ニッコロが負けたことは、政治的に大きな重みをもつ
フィレンツェは、ミラノ軍に勝っただけではなく、当時一番有名な指揮官を負かしたのが重要なポイント
宿敵を倒した歴史的叙事詩となるため


敵将を主人公にした戦争画はかつてなかった



以前の「アンギアーリの戦い」の絵


ここにも軍旗争奪の場面があるが祭りのような華やかさ
これまでは様式的、装飾的なものが多かった

 

対してレオナルドのリアルな戦争画は、ルネサンスという新しい幕開けになるはずだった


樺山:
これまでは互いの騎士が整列して戦う形式だったので、ほんわかとした雰囲気
レオナルドはもともと軍事技術家として思われていた
激しい殺し合いとして描かれていて、現実感が違う



人体解剖
「アンギアーリの戦い」を描いていた頃、レオナルドが夜毎通っていたのは病院の地下室
ここで人体解剖をしていた



人はどのように手足を動かせるのか、徹底的に見つめた
 


『絵画論』より解剖の必要性についての記述
裸体の人々の身ぶりを上手に描くためには、腱、筋肉、骨の構造を知るための解剖が画家には必要
いかなる筋肉などが運動の原因になっているのか、大きな動きを知るためだ

「最後の晩餐」の際も、街のさまざまな人間の表情をスケッチしている
老人と若者の顔の違い、個性的な顔の違い、表情を徹底的に観察、分析している







「最後の晩餐」は新しい実験だった
「アンギアーリの戦い」同様、登場人物の心の一瞬の動きを的確に、演劇的手法で描くよう試みている
キリストの発した言葉に、それぞれが様々な表情をする様子を見事に描いた

 

手記:
人物画は一瞬にして、その人が何を考え、何を言っているか分かるよう、
それぞれの働きにピッタリした動作をもつべきである


ドメニコ:

レオナルドは表情筋の解剖まで行った(それは死体で?
怒り、痛みの筋肉、これらが感情表現を作り出す


「アンギアーリの戦い」下絵では、ミラノ軍は激しく乱れた表情をしている一方、
フィレンツェ軍は勇猛果敢で有名で、感情が乱れることはなく統率されている
人相学、解剖学の研究によって、感情や動きがリアルに表現された



水の研究


同じ頃、レオナルドは、フィレンツェ近郊の地形を調査し、水の研究もしていた
アルノ川の流れを変えて、敵を混乱させる戦略のため(真田軍みたい

 

洪水の多いフィレンツェでは、怒濤のような水の流れを何度も見て、素描に描いている
ヒトの感情の高まりと共通点があると考えた

レオナルドにとって、水は命のエネルギーと重なっていた
水の渦はどうできるのか 「アンギアーリの戦い」の力を遮るシーンにも用いられ、渦のような表現となっている
レオナルドは、自然のあらゆる現象の中に、関連性、類似性を見つけ、絵に取り入れた



3Dによる研究
「アンギアーリの戦い」にはどのような動きが隠されているのか、3Dがつくられた


研究員:
旗竿を捻って、竿がテコになって、フィレンツェ軍の騎士のたちを馬から落とそうとしているのが分かる


棒を持った絵にも、川を飛び越える映像をつけてみた(3Dすげえ
素描を丹念に観ていくと、人間のいろんな動きの要素があり、感動的でした

 





東京藝術大学では、立体復元を試みた(さすがに上手い!
立体化することで、よりレオナルドの製作意図が正確になったという

 

 

 

北郷さん:

視点が増えるので全体像が見えてくる 絵は瞬間を切り取っていて、時間の前後関係を表現している
写真を切りとったのではなく、時間の流れを伝えようとしているのではないかと思う

さらに上から見ると、馬が右から左に回転するような動きが見える 水が渦巻く動きと似ている


動きへのこだわりは素描にも表れていて、試行錯誤がうかがえる



樺山:
たぶん、作品のために何十枚と素描を描いたと思われる
人間の動き、それが作品にどう表せるかを考えていたのでは

人体、自然、あらゆるものが動いていく 瞬間、瞬間を描きとめていく
画家としても、科学者としても、これが本来の任務だと考えたのでは



●「アンギアーリの戦い」に取り組んだのは「モナ・リザ」と同じ時期 画家としての円熟期
「モナ・リザ」を描くとともに、20mもの戦争画を描こうとしていた
レオナルドは静と動、2つの異なる世界に挑戦していた



「アンギアーリの戦い」が未完に終わった謎


レオナルド「マドリッド手稿」より:
私が最初のひと筆をおろそうとした時、天候が悪くなった
画稿が壊れ、水甕が壊れた 夕方まで土砂降りの雨が降り、夜のように暗かった



もう1つの理由:技法の失敗

バルビさんは技法の失敗を再現


古代ローマの技法を参考にした油彩技法で、カンタンに剥がれ落ちないよう工夫したやり方
絵の具を壁の漆喰にしみこませるため、火を入れた桶で焙っていた時、絵の具が流れ出した
(これは偶然ではないのでは? 敢えて未完の大作にさせて後世の人々にメッセージとなったのか

バルビ:
塗った絵の具の量が、漆喰に染み込む量の限界を超えるほど多かったから、熱により余分な絵の具が溶け出した

 



レオナルドの戦争画への試みは、後の画家に影響を与えた
 
ザッキアの模写はもっとも古いと言われる 甲冑、武器が詳細に描かれている

ラファエロは、下絵を観にわざわざフィレンツェまで来た
 


レオナルドが壁画制作を断念してから約50年後
ジョルジョが描いた戦争画にもどこかレオナルドの絵を彷彿とさせる場面もある
ジョルジョは、レオナルドの壁画について、“驚くほどの熟慮と、卓越さに富んでいる”と絶賛



レオナルドの挑戦は、後世の画家にとって貴重な美の遺産となった



井浦:

もし、という世界はないですが、もしも、「アンギアーリの戦い」が完成して、
ミケランジェロと並んでいたら・・・
(ミケランジェロはどうして止めたの? レオナルドが描けなかったから共倒れ?

樺山:
想像すると身震いがしますね
レオナルドは、絵画だけでなくほんとに謎の多い芸術家
今回、今作の謎が解けたら、あちこちの謎も解けるのではと考えました

井浦:研究、実験には終わりがないですね

樺山:
レオナルドがかけた謎というのは、ほとんどまだ解けていないのかもしれないので
天才とはそういう人のことを言うのかもしれないなという気がしてならない



レオナルドが生まれたヴィンチ村
 

旺盛な好奇心は、この豊かな自然の中で育まれた
(まだまだ地球上には、こんなに素晴らしい自然風景があるんだなあ これをずっと守らないと

レオナルドは、人間を見つめ、自然の本質を探ろうとして
ミラノ、ローマ、フランスに旅をつづけ、67歳の生涯を閉じた



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『絵本のある子育て No.34』

2017-05-20 13:09:23 | 
『絵本のある子育て No.31』

発行:こどもの本の童話館グループ


絵本が好きなため、この冊子を見かけるとつい手にとってしまう
つまる所、絵本の定期購読の宣伝のための冊子なんだけれども
その根底にある理念には共感するものがある

HPに冊子とほぼ同じ内容が載っているけれども、
私が読んでひっかかった部分を抜粋したいと思う



【内容抜粋メモ】


【特集1】絵本の秘密と魅力 川端強/文

すぐれた絵本を
絵本であればなんでもよい、というわけでは決してありません。


絵本の三つの要素―①絵 ②言葉 ③物語り

①絵
子どもは絵本を読んでもらいながら、いっしんに絵を見ています。
絵本の絵は、子どもに見つめられるに足る美術であってほしい。
そうすることで、美しいものへの感性を育てたいと思います。
子どもに媚びた漫画的な絵や、いわゆる〝かわいい絵〟が絵本の絵にふさわしいのではありません。


②言葉を育む
すぐれた絵本は、洗練された美しい日本語によってつづられています。
絵本を読んでもらっている子どもの言葉の発達が早く、表現も豊かなのは、そのためです。
言葉が豊かになることは考えや学びが豊かになることです。
人が人らしく生き、社会のなかで、人とかかわりを持って生きるうえで、どれほど大切なことでしょう。


③子どもの真の姿を描く
その物語りが、その年ごろの子どもの心の世界と真に響き合っていることが、
すぐれた絵本として、子どもに静かに支持されるための、なくてはならない要素です。

〝絵本作家〟と自称し、他称される人たちの、ただの思いつきやギャグや、
絵日記に過ぎないようなものを、絵本とかんちがいしてしまうのですね

3才と5才の心の成長には、ずいぶんと開きがあります。
その子の心の成長に応じていないと、ミスマッチということになりかねません。



読んであげてください
絵本とは、文字を読めるようになった子どもが自分で読む本ではなく、
子どもに読んであげることで生命のかよう本です。

①本と仲良しになる
本を読むということは、 本の言葉を頭のなかで瞬間的に絵(イメージ)に描き、それを連続させていくことです。
この「眼に見えないもの(絵)を見る力(想像力)」が、
今、絵本を楽しみ、将来、自分で本を読むために必要な力です。


②生きることを語る
およそ5才から7、8才という年令は、子どもが自分をとおして人間を見つめ、
小学校入学を契機に、社会との接点に立とうとする年ごろでもあります。

親として語り伝えておきたいと願うこと。
愛し、愛される、人間への洞察、正義と善、友情、一歩踏みだす勇気、
やさしさ、ユーモア、悲しみや喜びへの共感、支え合って生きる、自然、働くこと…。


聞く、話す、読む、書く、という言葉の力のなかで、最も早くに発達するのは、聞く力です。
聞くことができれば、ずいぶん深い内容を理解できますし、情感を深めていくことができます。


③愛し、愛される
絵本を読んでもらうことは、自分へ向けられる直接の愛の表現だと、子ども自身が知っているということです。
家庭で絵本を読んでもらってきている子どもたちの表情が穏やかで、
言動にも落ちつきがあるのは、彼らが言葉の愛に満たされているからです。

言葉をとおして心の世界を共有できたと感じられるとき、人と人は深く結びつくのですね。
自分を愛し、自分と同じように他の人を愛し、信頼することができます。

今の子どもたちの苦しみの多くは、無償の、ただ温かく抱きとめられるだけの愛に満たされていないからだと、私は思います。
親の気に入る「良い子」でいることで、その対価として愛情が与えられる、と子どもが感じているのだとしたら・・・。



心の土壌を耕すことから~早期教育
幼年期のお子さんのいる家庭には、月刊雑誌と教材のセットなどの勧誘が盛んに行われているようです。
幼稚園や保育園をとおして購入することのある、廉価の月刊絵本についても同じです。
絵本に数多く接することが大切なのではありません。
数は少なくとも、真に心に響く絵本に出会うこと

就学前の幼児教室や塾も盛んなようです。
この年令の子どもは〝お勉強〟をする時期ではありません。

子どもは今を生きる人です。
今を存分に、子どもらしく生きることが未来につながることを思っていましょう。


真に学ぶ力を
絵本は楽しむものです。


工夫と動機づけも
現在のように、子どもの周りに、子どもの関心をそそるものが多くあると、
子どもと絵本を近づけるにも、工夫と動機づけが必要です。


家庭に静かな時間を
スマートフォンで遊ばせ、テレビでもついていないと子どもとの間がもたない、ということもあるでしょう。
でも、子どもの前では、できるだけテレビを消してみませんか。

おしゃべり、お絵描き、折り紙やあやとり、散歩やお手伝い・・・
きっと、子どもとの新しい“出会い”があると思います。

すぐれた絵本の物語りには、先に生きた人々の、子育ての知恵が語りこまれています。
絵本のある子育てをとおして、親だけの孤立した子育てから、
多くの人々の経験や知恵とともにある子育てへと、提案したいと思います。


赤ちゃんと、絵本と、静かな時間。
赤ちゃんには、すでに、感じる力が備わっています。
この世界は、いったい、どんなところかを、耳をすまして知ろうとしているのです

赤ちゃんへの最高の贈りものは、祝福と静けさです。
人工の音から赤ちゃんを守りましょう。


テレビの害は、まずは音です。
家族がテレビを見る時は、音量を下げるか、イヤフォンを使うのをおすすめします。

スマートフォンやテレビに反応を示しているのは、その刺激的な映像に反応しているだけです。


この世界を品よく紹介する
生後6か月くらいから赤ちゃんは言葉に興味を持ちはじめます。
赤ちゃんのための絵本を選ぶのが、いちばん、むずかしいのです。


焦らないで、さりげなく
1才くらいでは、絵本を読んであげようとしても、
絵本に関心を示さなかったり、頁を次々と自分でめくったりすることがあります。

まだ無理に押しつけないようにしましょう。
絵本のなかの、今読んでいるところを、絵をとおして、自由にお話をしても差しつかえありません。




【特集2】テレビなど電子メディアと子ども 「『スマホに子守りをさせないで!』日本小児科医会」




「親と子の童話館ぶっくくらぶ」会員の声

神奈川県 「大きいさくらんぼコース」(およそ6~7才)
息子は、保育園のころから、機関車のキャラクターの絵本に夢中で、
読み聞かせをしようとしてもじっとしてくれず
しかし夫が入院し、息子は不安やさびしさを、
私と絵本を共有することで癒していたのかなと思いました。


福島県 「小さいくるみコース」(およそ3~4才)ほか
共働きでなかなか時間がなく、読み聞かせの時間がつくれないと思っていた私。
つくる気が足りなかったことに気づかされました。

子どもたちの見えるところに本を移動させると、
日課だった風呂あがりのテレビが読書にかわり、
自分の好きな本を1冊持って、ベッドで読む習慣になりました。


北海道・「大きいいちごコース」(およそ2~3才)
親のための本の『子どもと生きる・あまえ子育てのすすめ』『子どもへのまなざし』は、とても心に残りました。
たくさんあまえさせ、ぎゅーっと抱きしめ、
イヤイヤをするその向こうに隠れた気持ちをのぞく、心の余裕を持つことができました。




父親は、子どもに、絵本を読んであげて、親になる。
「絵本は母親が読んであげればいいし、それに、“あんなレベル”のものにはつき合えないよ」とお思いですか。

赤ちゃんや幼いひとにとって、母親の情愛はなくてはならないものです。
けれど、およそ5~6才くらいから、子どもは、自分をとおして人間を見つめ、
社会との接点に立ち、やがて、自分の力でこの社会を生きはじめようとします。

とはいえ、子どもが大きくなって、いざ、絵本を読んであげようとしても、
父親も子どもも、互いに照れくささを感じてしまいます
ですから、赤ちゃんや幼いころから、絵本とのしぜんなつながりをつくっていくことをおすすめします。


「子どもを愛する方法・父親を愛する方法」
子どもは、父親の胡坐にすっぽりと納まり、母親からの情愛と同じ快さを味わいながら、
同時に、父親は、子どもを愛する方法を見つけたことを知るでしょう。
このようにして築かれていく信頼と結びつきは、生涯、消えることはありません。


絵本は、祖父母と孫の心のかけ橋
おもちゃや、洋服は・・・では、絵本の贈りものはいかがでしょう

人生をより長く生きて、その光と影に出会ってきた人が知る
人生のふしぎさと喜び、人間の心の善悪、知恵、経験
それらを、あとに続く世代へ伝えていくよう手助けをすることです。



***


「想像力」は、創造力や、共感、寄り添う気持ちにもつながる

コピーしか作れない私のような者は、子どもの描く自由な絵を観るのが大好きだが、
子どもが描いた“キチンとした絵”―空は青く、花は赤い花弁が数枚、、、を観ると
自分の子ども時代を思い出して哀しくなる

私が就学前、庭でぬり絵を“キチンと”塗っている横で、
近所の女の子は“デタラメ”な色を塗っていて、
なぜ、そんな風にはみだしたり、空をいろんな色に塗っているのか理解できなかった

でも、今は逆に、
大人や周りを見て「空は青く塗らなければおかしい」と知った子どもの絵は、ぜんぶ同じでつまらない

周囲を敏感に察知し、“褒められたい”と思うあまりに、
本来もっている自由な色が強制され、統一化されてゆく

それを観た大人も「上手く描けたねーと褒めたり
空を赤く塗る子どもに「空はこんな色じゃないでしょ」と否定する

そうして、みんな似たようなつまらない大人になってゆき
集団からはみだした者を排除し、攻撃するようになる

そんな「想像力」の欠けた子どもと大人がどんどん増えている気がするんだ




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topics~真心ブラザーズ、9/13に新アルバムリリース&秋ツアーの日程発表 ほか

2017-05-20 13:08:23 | 日記
朝ドラ『ひよっこ』。

 

ついに女優のオーディションを受けて、落ちてしまった時子
向島電機・愛子から励まされるシーンはよかった

「力を出し切って落ちたなら落ち込むけど、緊張して力を出せなかったなら、次頑張ればいいじゃない!」


昔のNHKって、なんだか大学みたいな外観
徹子さんは、毎日ここへ通っていたのかな?

乙女寮の仲間・澄子が植木等さんのファンってイイね!



真心ブラザーズ、9/13に新アルバムリリース&秋ツアーの日程発表


“真心ブラザーズが、2017年9月13日(水)に新アルバム『FLOW ON THE CLOUD』をリリースする。
 また、それにともなう全国ツアーの詳細も発表された。”

待ってました~祝×5000
都内は2017年12月5日(火) 東京:赤坂BLITZ か、これはめっさ盛り上がること確実v
アー写もかっちょいい でも、もう年末の話って


イエモン、25周年アルバム 美輪さんが声で出演
 

イエモン吉井、美輪明宏と11年ぶり再会&コラボに「感無量」 ベスト盤映像公開
“THE YELLOW MONKEYが、デビュー25周年記念日にリリースする全曲新録ベストアルバム
『THE YELLOW MONKEY IS HERE. NEW BEST』(21日発売)のダイジェスト映像で、
 ボーカルの吉井和哉がかねてからリスペクトしていた美輪明宏とコラボレーション”

“美輪は「吉井君に会えて楽しかった。でもキャラクターは気味悪かった(笑)」
 と自身が演じたTYMは好みではなかった様子だが、
 吉井は「このキャラクターはイエローモンキーとファンとの誇るべき楽曲たちの『魂』を形にしたような存在。
 その声を美輪さんにやっていただき、僕らもファンもこの上ない喜びです」と大感激した。 ”

こないだ渋谷に行った時、このキャラクターが109の壁にデカデカとあってみんな注目してたな


木下グループ presents LOVE ON THE FLOOR 2017(6.16~6.25)


近所のドラッグストアには、ゆづくんの出るアイスショーチケットが当たる
キャンペーンがどおーーーんと宣伝されてた




Mutua Madrid Open 2017 ナダル、5回目の優勝


ラファエル・ナダル(スペイン)×ドミニク・ティエム(オーストリア)
7-6 6-4か、圧勝だな インスタで優勝場面の動画だけ観た
各選手が全仏に向けて、着々とベストコンディションを整えつつある中、
錦織の怪我が心配だ・・・


小林薫が批評家大賞の主演男優賞獲得、「傍観者にもドラマはある」

“松岡錠司が監督を務めた「続・深夜食堂」での演技が評価された小林。”


「日清どん兵衛」のCMに源くん



連続ドラマW『プラージュ ~訳ありばかりのシェアハウス~』(全5話)

8/15~ 毎週土曜夜10時


Orbi Yokohama(オービィ横浜)


こないだ長野の友だちが遊びに行ったと話していて、興味津々
巨大スクリーンのリアルな映像とかよさげだけど、
実際は、けっこう密室系で、入ったら出られないから気をつけてください、と案内していたとか
ムリかも・・・ でも、よさげ

アクセス:MARK IS みなとみらい 5F 神奈川県横浜市西区みなとみらい三丁目5番1号
「みなとみらい駅」か「桜木町駅」

月~木         9:00~21:00(最終入館 20:00)
金~日・祝・祝前日 9:00~22:00(最終入館 21:00)

入館料:大人800円


『The Journey to EUROPA by KLOKA ~木星の月・エウロパへの旅』
テンキュー宇宙ミュージアム@東京ドームシティ


期間:3/9 thu - 6/28 wed
営業時間:
平日11:00~21:00 (最終入館 20:00)
土日祝・特定日10:00~21:00 (最終入館 20:00)

いつのまにこんな施設が出来たんだろう?驚
宇宙人といっしょに写真撮りたい・・・


エドワード・ゴーリーの優雅な秘密@四日市市立博物館 2017年4月15日(土)~6月4日(日)(予定)

“その他、日本全国の美術館を約2年間にわたり巡回予定。最新情報は「MOE」誌上でも随時ご案内いたします。”

はしもとみおさんがインスタにアップしていた

都内にも来ないかなああああああああああ!!

「作家別」参照


新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館
5月18日(木)~5月31日(水)まで


“「街のどこもが美術館」をテーマとしたアートイベントで、
 池袋西口の活性化を目的に2006年から毎年開催されており、今回で12回目となります”

池袋モンパルナス@東京芸術劇場(2013)

4月、5月とイベントが目白押しでスゴイなあ



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ART of ROCK & GRAFFITI@Bunkamura ギャラリー(2017.5.18)

2017-05-19 12:12:37 | アート&イベント
ART of ROCK & GRAFFITI@Bunkamura ギャラリー(2017.5.18)
2017/5/18(木)~30(火)





《出品予定アーティスト》
バンクシー / シェパード・フェイリー / カウズ / ドルク / マーティン・ワトソン
ニック・ウォーカー / Mr.ブレインウォッシュ / ジェイミー・リード / リチャード・アヴェドン / ブライアン・ダフィ その他多数


【ブログ内関連記事】

DAVID BOWIE is@寺田倉庫G1ビル(2017.3.22 ネタバレ注意)
ドキュメンタリー映画『DAVID BOWIE is』@Bunkamura ル・シネマ(2017.4.6 ネタバレ注意
鋤田正義 写真展:SUKITA / M Blows up David Bowie & Iggy Pop@キヤノンホール S(品川)(2017.3.2)


クリニックの後に、今日から始まる個展に行ってきた

その前に腹ごしらえで、焼き魚定食美味しかったv



渋谷に着いてビックリ!!
今日は曇りマークだったのに、モーレツな豪雨!

出る時にさしていた日傘(雨兼用)をさしたら
前から弱くなっていた骨がバキッと折れて、させませんよ・・・

雨宿りがてら、日傘を探すか、と慣れない渋谷のデパートをいくつか周ったけれども
近くの店でみんな競って買っているビニール傘は1本1000円

ビニ傘って昔、100円くらいで売ってませんでしたっけ?
しかも、1回使って家に持ち帰っても、普段はかさばる長い傘を持ち歩かないから余ってしまう

結局、見つからないし、足も疲れてきたし、ラッシュアワーにひっかかりたくないし
またわざわざ渋谷まで来るのは難儀だが、出直すか・・・と外を見たら
すっかり止んでいる 1時間ほど過ぎて、雨雲が通り過ぎていた

なら、せっかく来たんだから行こうと、ちょっとムリして行ってみて大正解v

 





D.ボウイとピストルズのポスター目当てだったけれども、
今回、貴重なアーティストと出会うことが出来た

バンクシー

Banksy

かなり強烈な社会風刺の絵が多くて驚いたので、今回の個展の企画者の方にいろいろ伺ったら
バンクシーさんは、普段は道端の壁に描いたりしているから
その建物が取り壊しになると、壁に描かれた絵が数千万円で取引されるほどの人気だとか/驚

イギリスの作家だが、顔を出さない








企画者の方いわく、今回の展示も前回から4年も経ってしまった
これだけの作品を集めるのも大変だし、テーマがパンクなため、場所を借りるのも限られるそう

渋谷よりむしろ銀座のギャラリーのほうが、いろんな若いアーティストが自由にできるってビックリ
「F××K」とか思いきり描かれたピストルズの有名なポスターなんか見慣れた感があるけれども
日本のお客さんのほうがうるさくて、イギリスのほうがずっと寛容だというのもまたビックリ/驚×5000



マドンナのアップはウォーホルのマリリン風
2枚あって、大きいほうはなんと原画!
でも、私的にはシルクスクリーンのほうが色が強くて好み

企画者さん自身が、「かなり好みが偏っているのでw」と教えてくれたのは
ブラック・サバス(名前だけ知ってる)や、「ブラック・フラッグ」(なかなか音源も手に入らないとか?




ほかにも、ビートルズも多かった
ジョン&ヨーコのいい写真とサイン代わりのイラストもイイ
3Dの写真もあって、どこをどう流れて、ここにあるのか貴重すぎ

私が分かる範囲では、ほかにはカート・コバーン、ストーンズ、WHO、パティ・スミス・・・
どれも50万とか、100万とかすごいお値段
写真集も気になった

***


第16回かずこ展~風が吹くとき(2017/5/17(水)~5/23(火))

風が吹く

誰かの声が通りすぎるように

風を待つ

誰かの声を聞くように

風と行く

誰かといっしょにいるように

(かずこ)


<かずこ プロフィール>
通訳者として長年にわたり勤務したのち、武蔵野美術大学通信課程に入学。
卒業後、個展を中心に意欲的に作品を発表。Bunkamuraでは4回目の個展となる。

オフィ




こちらも感動したなあ!
ボウイのアドカードの横に、もう1枚、木の絵のカードを見た瞬間、私の好みだと直感した
1本の木、灯台、空を滑空する鷹(鷲か?)・・・どれも大好きなモチーフばかり

最初は明るい色の重なりに魅了され、中盤は夜空があり、後半は鉛筆のデッサン










砂漠のような場所であてもなく彷徨うような1人の姿が胸を打つ
でも、タイトルは「前へ」という意味合いの言葉が多い

そして、ガラス窓に向かってイーゼルにたてかけてあるのはアドカードの絵
なんとも言えない色の重なりの空が明るめなのが救い
黒い木、ヒト、地面を観ていると、なぜか胸を締め付けられるようで泣きそうになった

テーマの「風」とは、どんな風だろうか
いつか、宮崎駿さんが『風立ちぬ』の風は、穏やかな自然の風ではなく、
震災や、爆風に近い風を意味するとツイートで読んだことを思い出した


2回周って、近くに立っている女性の方がいたので、話したら作者の方!驚
またまたここでもつい長話をしてしまった

ムサビを出て、海外も周り、写真を撮って描いたものもある
数年経った記憶をたどって、住んでいる二子玉川の河川敷の風景などもいろいろ混ざっている
(高い建物もなく、自然も残っていそうだね

私「描き始めて10年でここまで描けるものですか!?」
かずこさん「とにかく“好き”と“つづけること”ですね」

なるほど


いろいろ絵の感想を話したら、一人の人物は
か「自分自身も入っているだろうし観た人それぞれでいいと思う」

私はきっと自分が反映して切なくなったのかもしれない
途方に暮れて、故郷に帰ろうとしている兵士にも見えた

かずこさん
「今回は“前へ”というポジティヴなイメージで描いたつもり
 いろいろあるだろうけれども、それでも前を向いて行けるよう、背中を押せる絵が描けたらと

この木の絵も、他の絵も、実は何度も何度ももとの絵の上に絵の具を重ねて描きなおしているそう
だから、こんな複雑な重なりの魅力的な色が出ているんだな

私「よく、どこで止めるかが難しいっていいますよね」

か「そうなんです もうちょっとって所で止めておかないと
  描いていると、こうなって(根をつめて)しまうから

  しばらく置いておくんです この絵は何度もそうして、結局1ヶ月放っておいた
  で、やっとこういう形になった感じ

  だから、よく観てもらうと、黒い木のところに少し下の青が見えているんです
  木とかは黒いけど、空は明るめにした そこで救われるように」

ほんとに試行錯誤して生まれるものなんだなあ


旦那さんが働いていて、自分の売れた絵の収入は、もっと良い画材にあてている
こちらも数万円以上の値ばかりだけれども、絵の下には、すでに売れた赤いシールがいくつも貼ってあった

私「売れる時は里親さんに渡すような気持ちでしょうね」

か「ほんとにそうです ギャラリーだと、買う人の顔が見れるのがイイ あ、この人なら大丈夫だなと思う」

SNSはやっておらず、HPに作品を載せているとのこと
ここで個展をやるのは1年に1度ほど あとは世田谷のほうで年2回ほど
京都出身なので、京都でもやっている

購入した方には、かずこさん自身が選んだフレームをつけてくれる
私は木が好きだけれども、

か「額は基本的にシンプルなものを選んでいます 絵の雰囲気を邪魔しないように
  この木の絵にはシルバーとか合うかも」


こんな絵が1枚、部屋にあったら、どれほど心が癒されるだろう
私も全部買いたいくらいだけれども、今生ではムリだな
まず、白い壁の広い部屋が必要だ

好きなことが仕事になるって素晴らしい
それには、それだけの好きの力と努力と継続力が必要なんだ

迷った末に行ってよかった 帰りはすっかり雨があがって明るい空だった
今日も佳き1日でした/感謝×5000





追。

渋谷駅構内で、大豆のベーグルが売られていたので買ってみたv

トライベッカ・ベーカリー
大豆パン チョコレート


普通のクランベリーのベーグルも美味しかったけど、大豆のはさらにアッサリ味で、これもありv



追2。

最近、ライヴ友さんと出かけた時に、秋田県の観光パンフレットに
超可愛い秋田犬さんがたくさん載ってるのがあってはしゃいだんだけれども
駅構内にそのポスターがずーーーーっと並んでいて、思わす写真を撮りまくった
光が反射して、色が飛んでいますが














究めつけは、大ちゃんのセクシーすぎる巨大ポスター!



最初、ミュージカルか演劇のポスターかと思った
ほんとに色気のある人だなあ この1枚の写真だけでも十分ドラマティック
クリスティ・ヤマグチさんとの共演て観てみたい!


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『産業士官候補生』眉村卓/著(角川文庫)

2017-05-18 19:41:51 | 
『産業士官候補生』眉村卓/著(角川文庫)
眉村卓/著 カバー/木村光佑(昭和53年初版)

「作家別」カテゴリーに追加しました。


[カバー裏のあらすじ]
小さな字でびっしりと書き込まれた百ページものカタログを前に男は言った。
「諸君、明日テストをするから、それを全部覚えておくように…」

ここにいるのは、社会をコントロールできるエリート育成のために、
全国から集められた知能指数百五十を超す若者ばかりであった。
気が狂うほどの精神的、肉体的訓練をこなしてゆく彼らには、人間的な幸福は不用なのだろうか…。

人間不在の現代産業文明に鋭くメスを入れる、眉村卓の社会SF集。全九編収録。

***

面白いなあ
これだけの作品を量産していたって天才だ

“「EXPO'87」(1968)のスピンオフ作品”とウィキに書いてあったけれども
それを読む前にこちらを読んでしまった

どうやら、それぞれ短篇として読みきりではあるけれども
裏工作をしてでもなんでもやる「パイオニア・サービス」という会社の
エキスパートばかりが集まった「無任所要員」に関するストーリーとしてつながっているのが何篇かある

今回は、いろんな高速の未来の乗り物や、機械などの名前がたくさん出てきて
名前から想像するのも面白い(実際は乗りたくはないけど
今の「動く歩道」の進化ver.もあるけど、昭和40年代にそんな概念があったのだろうか?

SF作家さんて科学者でもあるし、文系でもあるし、とにかく知識の幅広さ
斬新なアイデアに驚きながら、今回も先が気になる話ばかりだった




あらすじ(ネタバレ注意

「工事中止命令」
部長から「特別手当はいらんかね」と声をかけられた杉岡勉

「パイオニア・サービス」の中でも特別訓練を受けた「無任所要員」である杉岡に
R国のジャングルに近代都市をつくるという難しい任務が与えられる
工事は全部ロボットがやっているが、国にクーデターが起こったせいで、一刻も早く工事を打ち切りたいという

前任の監督者はなぜか行方不明になってしまった
ロボットに中止命令をすればいいと簡単に思っていたが、事態は違っていた

指定された土地は低湿地帯で、雨季に入ると河になる場所のため
いったんセットされたら、任務遂行までやめない特別なロボット群が働いている

現地に赴くと、身長3mもの指揮ロボットが出迎え、早速部屋に案内し
ハードスケジュールを言いつけて、監督を守るためだとカギを外からかけて出て行った
人間と話せるロボットは彼だけで、前任者がどんな運命をたどったのかが薄々分かりながらも、杉岡にも意地があった

密林の生命力と戦い続けるロボットの中には倒れるものもいた
「ロボット1体は航空機よりも高いんだぞ! もともとこの工事は中止・・・」
「監督ガ工事進行ヲ妨害スルヨウナ言動ヲシタバアイハ片付ケマス」

雨季が近づき、破損見込みのロボットが24体と聞いて、怒った杉岡に対して
「私ハアナタノ言葉ヲキキトレナイヨウニナリマス」

完全保護は完全監禁にかわる
逃亡するには、1号を倒さなければ!
渾身の力を込めた一撃、2撃
「私ガイナクテモ、工事ハ完成サレマス」

意識が薄れ、気づいて部長に報告すると
「またR国にクーデターが起こって、政権はもとに戻ったから、工事契約も復活したんだ」

現地にぼくを送り、中止できそうかを見極め、不可能と分かると工作したに違いない
契約を復活させるためにクーデターを起こしたのだ

「特別手当は相当な額だぞ 使い道のあてでもあるのかね」
「ロボットのお墓はどうですかね」



「最後の手段」
南条宏を乗せたタービン車 本部長は、減感剤を使ってマグネット列車で来た
頭部以外全部、人工にとりかえたサイボーグ1号という女性の話を聞く(素子みたい

「今じゃ、大抵の大病院が人工臓器を使ってますからね」
この画期的な成果を享受できるのは、例によってひと握りの連中だけなのだ

本部長「若手の財界人らが財団法人をつくることになった 君にはセンターの建設を任せる」

杉岡勉含め3人の「無任所要員」をあてがわれるが、南条は彼らにいいイメージがなく闘志を燃やす
南条は、丸投げされた仕事を一人でこなし、杉岡らは、彼らだけで話し合い、行動している

医師・駒井の飾らない熱意に共感を覚える南条
杉岡らの裏工作により、難しいと思われた医師団の説得はあっさり決まり歯がゆさを覚える

サイボーグ1号の谷さゆりは、50歳に近い婦人で、全身リューマチのためにこの運命を背負わされた
シーツに覆われた部分は金属とプラスチックの人工臓器群の集合体だったが
編み物の手をとめ「前のことを思ったら夢のようです」

駒井
「ほんの1ヶ月前まで死ぬのは時間の問題だったのが、今では退屈がっている
 我々は、一刻も早くこの成果を一般のものにしたい」

駒井の熱がうつり、多忙を極めている南条に対して、杉岡は
「この仕事に、それだけの値打ちがあるのかね?
 センターが救えるのは、年間わずか10人に過ぎないんだろう?

南条は、建設地の説得、広告、施設の設備を進めていく
サイボーグ化後、平均10年ほどは面倒をみつづけるため、多く見積もっても年間10名が精一杯だった

駒井も虚弱な体にムチ打って、あと4ヶ月でセンターが完成するところまでこぎつけたある日
ある記者から「指名会議」のことを耳にする

後にサイボーグ化する人間を指名する会議で、実際は利権づくり
あと10年の余命を得ればプラスになるVIPに働きかけ、札束が飛び交う
政府とぐるになって、特権者のイスをつくるのが本来の目的と分かる
本部長も、杉岡も最初から知っていたと分かる

絶望した南条は、最初信じたものに変えてみせると誓い、3ヵ月後の祝賀会までに
パンフレットを配ったり、同志を集めようとするが、裏工作のためかことごとく失敗する

そもそもサイボーグセンター自体が世間に浸透していないことに驚く
南条は、組織を離れた個人が、いかに非力か痛感した

駒井「いよいよ明日が祝賀会だな」

南条は爆薬を仕込んで自爆しようと試み、それも失敗 すべては終わった・・・

駒井
「会場へ連れて行って欲しい 僕をサイボーグ化しろと言ってくれ 僕はこのままでは死ぬほかないんだから」

南条は駒井を抱えて祝賀会に乗り込み
「彼は全身ががんに侵されています! サイボーグ化以外では助からないのです!」と訴える

駒井は病院に連れていかれ、サイボーグ化の最中に死亡した
しかし、杉岡から別枠として5名は一般の人々にするように決まったと聞く

「パイオニア・サービスを相手に、出資者の連中を向こうに回して、これだけの譲歩をさせたのは君だけじゃないかな」



「虹は消えた」
デラックスで有名なAAA機内で40代半ばの男が「ウア王国を知っているかね?」と聞いた
若いほうは「20年ほど前、アフリカに乱立したミニ国家の1つでは?」

天然ダイアモンドの大産地で栄えたが、合成ダイヤの普及とともに没落
一度は奇跡の復活をしたが、また泡のように消えた国


40代の男はその時代にその国にいたという話をする
ヒーローとも言えるベテランの大塚と組めると、若手の無任所要員は勇み立っていた

任務はアフリカの小国の経済を1年間で復興させること
空港は立派だが荒れ果てていた 日本公使館の山口が出迎える
王妃が日本の無任所要員を雇い、一刻も早く立て直して欲しいという

もとはイギリスの植民地で栄えたが、アメリカが合成ダイヤを量産し、
値打ちは急転直下、大国は手を引き、民族主義者の運動が激しくなり、
貴族が政争をやめ、不安定な状態だと説明
住民はみなどんよりと気力がない

大塚「私は切り札を使うつもりだ」

取り出したのは、直径15cmほどのボールで、みるみる色を変えていく
パイオニア・サービスが最新技術を使った試作品で、缶を開けて一定時間後には光は消えるため
「虹の玉」と大塚が名づけた 「これを作る工場を建てます」

大量の原料資材とともに送られてきたのは、大量のウア国の貨幣だった

大塚は、今度の仕事をすべて現地の者にやらせるという
最初に集まったのはやる気のない20人ほどだったが、
彼らに相場の10倍の報酬を与え、成績のいい者には2割増しを与える
このやり方が口コミで伝わり、労働者は増え続け、使えそうなのをチーフにして管理させた

工場の周りには、飲食店、女を抱かせる店が大当たりした
大国からは諜報員が大勢入り、貴族には金の力で懐柔策をはじめ
大塚は貴族の新鋭隊長になり、影のブレーンとして動いた

日本製のウア国貨幣はひとりでに動きはじめ、全産業を活性化した
すでに国内に流通する約50%に達し、あぶない均衡だった

しかも大塚は、続々と量産される虹の玉を、最初は貴族に献上するだけでストックするよう命じる
「上から下へ売り広めねばならない 大衆商品にするのは一番最後だ」

ぼくは口コミ、深層心理訴求、なんでもやり、下へと訴えていった
しかし、それが幻の繁栄だと知っていた 泡のような景気なのだ(また予言じみた文章だな

山口から急に
「帰るんだよ! 君たちの仕事は終わった ぼくも無任所要員でね
 この仕事のスポンサーは日本政府だったんだ ウア国の代表が、国連で日本に1票入れたんだ」

大塚は辞職願を出す
無任所要員を辞める 私は有能だった だが、それがどうしたというのだ?
 いつまでたっても雇われ人のままで死んでゆくのではないか?

 ・・・休みたいんだ ここでは貴族として暮らしていける
 自分で作った幻の繁栄を本物にしてみせる 同じ一生を賭けるなら・・・」

5年ほど経って、大塚は民族主義者に暗殺されたと噂で聞いた

「自業自得ですよ」と若い男は軽く笑った
だが、今になれば、大塚の気持ちは分かり過ぎるほどよく分かる



「助け屋」
ポケットには帰郷旅費しか残っていなかった 長距離列車の発着場まで歩くほかはない
それがどんなに無謀かよく分かっていたが、クルマにはねられる危険を冒しても故郷へ帰るほうがマシなのだ
市内車が襲いかかり、身体が宙に浮き、アスファルトに叩きつけられた

気づくと老人に介抱されていた 「どうやら都市に来て間がないと見える」

「・・・半年です もうすっかり嫌になってしまいました
 僕らのような人間は、どうせ交通事故で死ぬようになっているんだ

老人が「助け屋」だと気づいて痛みも忘れる

大都市は末期症状だった
道路が続々と建設され、モノレール、ムービングロードがわずかな隙間に作られた

革新的な方法として「市内車」が案出された
ハンドル、アクセル、ブレーキしかなく、テレビ並みの値段で買えるため、靴と同じ感覚となった
運転免許制が廃止され、歩道は撤去され、市内車か公共機関を使わず外に出ることは常識人のすることではなくなった

そこに現れたのが「助け屋」
貧しい人たちが道に出ると、まず報酬を受け取ってから強引に誘導し、安全な所に送り届ける

ぼくがいたビルの空き地で、老人は10人ほどの男たちを「助け屋」にするべく
ほとんど死闘のように訓練していた

ぼくは老人が出かけたのを見計らって、くにに帰るため、再び道を渡ろうとして
轢かれそうになり、老人に見事な動きで助けられる

「いったんこの味を覚えたら、やめられない わしらにとっては快楽なのじゃ
 報酬は生きてゆくための手段にすぎない」


その後、ぼくは仲間とともに激しい訓練を受けた
老人の夢は、「助け屋」を組織し、依頼に応じて歩行指導員を派遣する会社をつくること

「待ち遠しいですね じゃ、行ってきます うんと稼いできますよ
ぼくは、生きていることの幸福を感じた



「クイズマン」
チームメンバーのキムラから映話がきて「有望な新人を見つけた」という

「うちのチームはこの頃息切れ状態です 記憶強化法も、精神統一技術も、
 よそが同じことを始めましたからね なんとか補強してください」

あらゆるテレビ番組に飽きた人々は、さらに強い刺激を求めていた
視聴者からの出題を、電子頭脳がセレクトする
クイズマンチーム2組が対決し、寸秒を争って正解を出すシステム

元プロクイズマンで、今はマネージャーの私はヘリカーを飛ばしてユズルという青年の住所を訪ねた
長身で、たえず嘲笑を浮かべたような男 これこそクイズマンの典型ではないか
2、3のクイズテストに正解し、採用した

私の有名チーム「サイクロン」と対戦するのは、最近5連勝中の「チェックメイト」
こちらは過労でベテラン2人が倒れていたが、ユズルだけが変わらぬ薄笑いを浮かべていた

あらゆるテクニックを使ったが、あと10分 このままでは負けてしまう
私は絶対正解と信じる場合以外はボタンを押すなというサインを出した

そこから急にユズルは次々とボタンを押しては正解を当て、形勢は完全に逆転
1点差で勝利した

ユズルは救世主となったが、ミーティングの時キムラは
「自信を失いました 明日休ませてください」という

ユズルはミーティングにも現れず、遊んでいるのが、
プロのクイズマンとして、身を削ってあらゆる知識を日夜暗記している仲間には耐えられないのだ
私の考え方は時代錯誤かもしれないが、誇りがあった
それを踏みにじられるくらいなら辞めてもらったほうがいい

ユズルの行くバーに入り、彼に会うと
「もっと本気になれと言うんでしょう? プロか 狂ってやがる ただの遊びじゃないですかねえ」
「今の時代は誰だってひとつの歯車だ たとえ遊びでもすべてを投入すれば立派なことなんだ」

「僕には人の心が読めるのさ 試合に出ると、敵でも味方でも正解が出ると同時に、
 ぼくが解答すれば、それでいいのさ こんな楽な仕事がほかにあるものか」

メンバは意外にも納得し、ユズルのためにもっと勉強に励んだ
ユズルは倍、倍と報酬を上げさせ、チームの財政はかなり傾いていた

キムラ
「今日で51連勝です 我々は知識のプロ、専門家です ユズルがただの読み手なら、それでいいんですから」

私は自分の仲間を誇りに思う




「ガーディアン」
産業士官学校主催の社会組織披露セミナーに出かけたりして、48時間の休暇はまたたく間に過ぎた
もっと現代的なレジャーコースを開発してみせる
僕は、栄養たっぷりと保証つきだが、得体の知れないミックス食品を電子レンジから出した(今のウチのこと?

シンクロニュースでは
「今や人々は与えられた幻影を真実と信じ、本来の姿を見ない生活を続けている」と説いている
その記事を握りつぶし、非弾性紙はこまかい塵に還元した(すごい!

日本冒険社の立体ポスターには

「暗殺者に狙われよう!」
「お手軽な遊覧飛行 墜落サービスつき」などの横に大きく
「守護者(ガーディアン)があなたの安全を保証します」とある

心身チェックを受け、注射と活力剤を服用すると、たちまちやる気がおこってきた

「今度の仕事は太平洋横断だ コースの大部分は、実感装置で間に合わせるが
 最後の何日間かは、実際に太平洋を漂わなければならない
 アメリカで遊んでいた成金一家が帰国する道すがら冒険をやろうというわけだ」

上の部分は惨めなヨットだが、実は無人操縦をそなえた原子力潜水艦で
アンテナで位置が分かり、乗員自動救出装置等もついている

夫婦は「こら凄い、本物の漂流や!」と喜ぶが、小学5年生くらいの息子は
「ボロに見えて、本当はごっつい高性能船やねんで 僕、PR映画で知ってるわ!」

「食糧も乏しくなったので、割り当て分で辛抱していただきます」
ジュースに入れた睡眠薬が効いている間に専用室に行き、潜水を開始する

ブザーで起こされ、子どもが「この船、潜水艦とちゃうか?」などと言って
私を突き飛ばしたため海に落ちたが、自動的に投網で救われ 「ほら見てみ!」

その後、夫婦が謝りに来て、専用室の機器を見られてしまった上に
客室が監視されていることに気づかれ、夫は怒ってカメラを壊し、中からカギをかけられてしまう

このままではクビだ
部屋に行くと今度は子どもが危険玩具に指定された子ども用レーザーをもち、船首の旗竿が焼き切られていた

「あれはただの旗竿じゃない 本当に漂流するかもしれないんですよ!」
と言っても「おおこわ」と夫人は微笑して「でも絶対安全なこと、知っとりまっせ」

私は最後の手段として、機器を一斉に停止させた
「停電でっせ」
「精密機械は一部の事故でも全体に影響があるんです」
チビも泣き続けている 僕は声を殺して笑いぬいた

その後、緊急救助要請弾を発射して助かったが
「こんなに真に迫った冒険はやったことがない」とお客はひどく喜んだという

「というわけで、今後わが社は、あんたの開発した手法を大いに活用するそうだ」

僕は唖然とした 一体どこからどこまでが本物なんだ?
だがそれでいい 渦から放り出されて遠吠えをしても意味がない
幻影が現実で現実が幻影である以上、そこで生きていくのが現代人なのだ



「スラリコ・スラリリ」

スラリコ スラリリ
ヒルルト
リリリ
火星の土が こわいと
泣いたあの子の・・・


男はヘリタクシーに乗り、ドリーム・ルームに入る
ヘルメット、精神動揺剤などをのせた棚が微光を放つ

「お好きなのね、“火星の落日”」スクリーンにオペレーターの顔が現れる

男はドリーム・ルームマニアだった 汚辱の現世を避け、夢の中でやり直すんだ
運命的瞬間の分岐点を、選ばなかったほうへ行って、栄光と希望に満ちていたかもしれない生涯を・・・


夢の中に入り、男は昔からずっと会っているような感じの理想の女の出現を期待し続けている
やがて、待つ楽しさ自体が、今の幸福を支えている1原因だと悟りはじめた

これはちょっと新味だったな

3週間経営者として働き、同僚たちと会釈だけして別れる
エアシュートに乗り、またあの歌が頭に流れていることに気づく

また別のドリーム・ルームに入るが、夢に浸ることが出来なかった
もう1軒ドリーム・ルームを見つけて入ると
横に女がいて、顔は分からないが、それが彼の理想の女だと信じている
女は唄っていた ♪スラリコ、スラリリ・・・

どうしたのだ?
最初に入った店と関係があるのか確かめなければ

「やはり来たのね」

今度の夢は、彼は敗残者だった そんな彼をずっと1人の女が見つめていた
「あなたは、もう一度、自分の未来を取り戻すのよ」

「きみが、そうだったのか」

「精神分析家としての私の資格に賭けて言うけど、あなた、もう毎週ドリーム・ルームに行かなくても済むんじゃないかしら」


スラリコ スラリリ
ヒルルト
リリリ
火星の土が こわいと
泣いたあの子の
小さなお墓・・・


(この文章の感じ、詩みたいで好きだな



「午後」
柔らかな光の中を歩いている 巨大な複雑で見事に合成された人工都市の一員として
だが、夢はいつもそこで終わる

風景は、やがて完全に整理されるのを知らず、ただ炎(も)える空の下で季節を謳歌している
今日こそ決着をつけねばならない

僕は凝然として振り向くと、整理員が並んで歩きはじめた
整理員「あなたは境界線のほうへいくつもりだな」

「整地統合法」ができて5年目になるが、順応できない者は意外に多かった

整理員
「後進的、閉鎖的で、古い情緒にすがる無力な人々 つまり君だ
 土地はいくらあっても足らない あの法律は、建築技術の革新で生まれた
 地下を合わせて100レヴェルに近い巨大な自給都市にみんなが住みさえすればよかった
 生の土にしがみつくのを止めればよかったのさ


 だから整理員が、次期整理区域から1人でも多く収容して
 コンクリートと金属とプラスチックの都市に入ってもらう」

僕はむこう側の世界をどれほど憧れていたことか
細分化され、人間がまるで虫のように小さな部屋に住む

だが振り向けば、昔ながらの自然があった
人間を生んだ環境であって、人間によって作られたものではなかった

「ぼく自身、整理員だったのさ 報酬につられて狂ったように働き
 力ずくで強制的に引きずって、抵抗した女は途中で死んだ
 それで整理員をやめた

 脱走も、大気を生で吸うことも許されず、
 限られた個室で暮らし、あてがわれた労働をするだけの大群・・・


秋になれば、何万人の整理員が徹底的な人間狩りにかかるに違いない
寝たらきっと、あの新都市の夢を見るだろう



「産業士官候補生」
巨大都市群とは対照的に、過疎地帯では、人口減少と荒廃に悩んでいた
山村の農家の三男坊・上田宏 長男は父母と畑仕事をし、次兄は中卒ですぐ町に働きに出た
まだ小さな弟や妹がいて、彼が高校に行くなど問題にならなかった(今の朝ドラみたい

担任に呼ばれた宏
「ある会社から名指しで入社を勧められた 常識はずれのいい条件らしい」

家に新大阪工業の社員が来て、中卒には破格の給与、支度金、寮への入居権・・・
なぜ、こんなにも自分に執着するのだ? 何か隠された事情があるのでは?

それでも断る理由はなく、宏は研修所に入った
ここで1ヶ月過ごし、適性を判断され、配属先が決定される

小講堂には、ほぼ50名の研修生がいる 担当の生徒・天野から課題が出される
100ページもの会社カタログを明日までにすっかり覚えろという

ここでは脱落したければいつでもしていいが、二度とここには戻れない
成績は本人にも知らされず、公表もされない 配属先でどう扱われるかで初めて分かる

「高校に行くほうがマシじゃないか! まるで囚人だ!」という生徒もいた

宏は、そこで小学校の時、同級生だった小松原和子と再会する
「私たちは文句ばかり並べている人たちとは違うわ」

和子にとって、これは自分より恵まれた境遇にある人々を見返す復讐なのだ
彼女は宏をすっかり仲間と信じきっていた

事実、すでに何人かは耐え切れず、脱走したが、誰も引き止めない代わりに雇用関係は消える

次は徹底した体力テスト

そしてついに配属を知る日が来た
宏と和子が天野に呼ばれ、2人だけが「産業士官学校」に入ることを告げる
想像を絶する課程を乗り切り、最優秀の若者を選抜するために

「今のわが国をどう思う? あらゆる施策がとられたが、事態はちっともよくならない
 かつてないほど複雑な産業社会になっているのに、コントロールできる人間がいないせいだ
 ここでは、7年間、現代科学技術のすべてを動員した最高度の教育が行われる
 卒業すれば、誰を恐れることのないエリートになり、世の中を自分の手で動かせるのだ」


宏はまた疑問を抱く もっと不気味な目的があるのでは?
しかし、和子は「行きましょうよ!」とはりきっている

学校に入れば、7年間、私用外出が許されないため、家族の説得に本社社員と帰る宏
詳細は言えないことになっていて、学校に入るのを拒否すれば、この1ヶ月の記憶は消される
家族には大阪から東京の研修所に移るとしか言われなかった

手当ては今までの倍以上が家に送られる
次兄だけが「それで採算がとれるんですか?」と承服しなかったが、宏に対する嫉妬からだった

天野
「僕は学校内に入ることは許されていない 君に関する記憶も消される
 会社に関わる人間は、秘密厳守のためにいろんな手術を受けている
 喋ろうとしても、意識が筋肉に作用して舌がひきつってしまう」

学校は驚くほどちゃちな外観だった
指紋鍵で入り、生徒の一人が「私があなたのブロックの担当 宿舎は地下18階」
学校の大部分は地下につくられていた

「今後、あなたは1-13号です ここでは平均点90点未満の場合、進級できない
 2年落第すると、出身企業の研修所へ送り返す」


入学したのは111名 中には1-14号になった和子もいる
生徒間に個人的な交流はほぼない

短時間睡眠、速読術、自己暗示のコントロール・・・あらゆることを身につけていき
1ヶ月ごとに成績表が渡され、平均点を計算する

こんな風にしゃにむに駆り立てられているうちに、自分の悩みは
成績に対するものだけにすり替えられてしまうのではないか

と思いながらも宏も努力し続けるほかなかった

和子は、上級生が使う簡略化した会話をするようになったが、宏は抵抗した
和子「感情・必要以上に反映 筋肉コントロール自習」と肩を落とす

表情術は、今月から始まった科目で、仕事上で相手によって適当な表情・動作をする訓練
すぐに気持ちが顔に出る彼女には難しかった

宏は何のせいか分からず、途方もなく疲れていた

成績通告の日 和子は96点だったのに、宏は88点
来月には次の成績が出て、そのまま及第を決定する その1ヶ月前がこれでは・・・

思わず、私物をまさぐり、入社支度金で買ったフルートを酔ったように吹き続けた

「1-13号! 音楽不要 産業将校は知識と行動 感情は自己コントロールするもの」
「これではロボットと同じではないですか!」

「誤認 人間自由は幻想 集団としての動物 ロボットは道具 音楽は低効率のひとつ 理解?」

宏が学校にいるかぎり、故郷には毎月、多額の手当が送られている
これこそ、生徒が途中で投げ出さないためのくびきだったのだと悟った

入学してから1年が流れた

「組織力学」では、人間の集団の発生の原因、育てる技術、崩壊させる手段などをマスターするため
討論室でシンクロ・ニュースと呼ばれる電波同調印刷新聞が用いられる

隣りに座った和子は、驚くほど魅力的になっていた
「そう 手術 担当教官アドバイス 筋肉手術 表情術成績向上・現実」

トップニュースは、雪解けの増水で山林の家10軒あまりが押し流されたというもので
死亡者の名前に宏の家族の名前があった

「あれは、ぼくの父母と兄弟だ! 全滅したんだ!」
「着席!」

もう十分だった 「欠席します」

彼は走りながらわめいていた もはやここに留まる必要はない たとえ記憶を消されようと
誰も追わず、出口を出られて、異様な疑惑がわいた

これこそ“踏み絵”だったのではないか?
あれは作りもののニュースだったのかもしれない

しかし、今はまだ捕えられてはいない 走れ! 走って・・・家族に会えるかもしれない
僕は失格者かもしれない! だが、栄光ある失格者なのだ! いいではないか!

きらきらと春の日をはね返す丘陵を、彼はフルートを振り回し、泣きじゃくりながら走りつづけていた





【小久保実氏解説 内容抜粋メモ】

ここに収められた短篇は、眉村氏の初期作品だが、読者は時間の腐食を感じないであろう
それは彼が現実離脱を書く作家ではなく、現実を凝視し、想像力をはたらかせる作家だからだ

“社会派ものは喫茶店のような騒がしい所で書くほうがよく書ける”と彼は述懐している(源くんと同じだ

2、3年前まで団地生活をしていて、インク瓶と原稿用紙を持った彼と偶然出会い、一緒に喫茶店へ行ったこともある
話しながらアイデアが生まれ、急速にストーリーが展開していくようだった
私は意表をつく発想に動転し、爆笑をこらえるのに苦労した

“忙しい時など、店の人には悪いと思うが、それぞれの店のムードやお客のタイプなどを
 それとなく観察しながら、店内の音楽にかき立てられるようにして筆を走らせるのは
 このいまいましい現代の、その真っ只中に生きるだけ生きているという
 そんな感覚があるからだ”


「最後の手段」「スラリコ・スラリリ」は、神田の喫茶店で書いたそう(!
“都会の応接室”などと言われる喫茶店には、さまざまな階層の人間が出入りする
“いまいましい現代”である

無任所要員・杉岡勉ものの一連の作品「工事中止命令」「最後の手段」「虹は消えた」
パイオニア・サービス会社は“人間リースを含む大規模な万能奉仕屋”で
特別訓練を受けた無任所要員は、会社の利益のためには、どんなにしてでもやり遂げるのだ


「虹は消えた」の大塚、「助け屋」の主人公は敗残者には違いないが
眉村氏は感傷的ではない むしろ彼らに“いまいましい現代”を刻印している

9篇の作品を読んで、読者は眉村氏の文学の源泉を発見するだろう



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5月14日 母の日

2017-05-18 19:13:17 | 日記
今年の母の日は、以前「あさイチ」かどこかで紹介していた本にした

Madame Chic Paris Snap―大人のシックはパリにある

『人はいくつになっても美しい』ダフネ・セルフ

母は、とにかくファッション、化粧品などが大好き
そして、長い文章の本は、1行目で寝てしまう人なので、写真が多めなほうをチョイスした

以前から電話で「歳して赤い服もどうかと思うけど、自分の好きな色だから」と何度もゆってたから
贈った本を見て、とても喜んでいて、何度も写真を見ているとのこと よかった、よかった

この手の本て、たくさん出てるのね
こちらは、思ったより文章が多かったからやめた

Advanced Style--ニューヨークで見つけた上級者のおしゃれスナップ

日本人は、黒が好きだよなあ
あと、ある程度の歳になると、急に土色系とド派手系に分かれる傾向があるような気がする
年齢にこだわらず、着たい服を着て、気分が上がるならそれでいいのでは?



それから、一緒に忍び込ませたのは、こちら

「慰安婦」問題 すべての疑問に答えます。

この展示会場の物販で買った1冊

女たちの戦争と平和資料館(7/3~11/30)@wamアクティブ・ミュージアム

女たちの戦争と平和資料館(館内内容メモ)


理由は、以前、電話で何気なく慰安婦問題の話になって、母が

「私の知り合いが話してたけど、けっこうあの人たちって儲けたらしいじゃない
 なんでまだ賠償金くれなんて騒いでいるんだろうね」


と言ったため、「それは違うよ」と半ば口論になったことから

今回も、「この本が出てきた時笑っちゃったよて・・・差別問題って改めて根が深いんだな
真実は巧みにすり替えられて、それが「事実」に変わり、「憎悪」「嫌悪」「差別」に結びついていく

一番身近なヒトの心まで支配していることがショックで、必死に説明したけれども
母は、私の話より、テレビや近所の友だちの話のほうを信じている

一方向の情報だけで判断することの危うさ
「知らない」「無関心」の恐さ
私も気をつけようと思う



ずっと親子でも、まったく価値観が違うし、それが相手に伝わっていないのも辛い・・・
「私が読んだら、ウチに来た時に読むといいよ

いや、だから、まだ新幹線乗れないし、そもそも私はファッションにまったく興味がないし
今更、それを説明しなきゃ分からないほど離れていること
これから先、1万回説明しても、この真逆さは埋まらないことを思うといつも哀しい
そして、この哀しみは、生まれた時からなんだ




「母の日」、その起源と反対運動@ナショナルジオグラフィック
“「母の日」といえば、今では食事やプレゼント、グリーティングカードを贈る日だが、
 かつては戦死した兵士を悼み、平和のために活動する母親たちの日だった。
 この祝日が商業利用されるようになると、「母の日」誕生の立役者となった人物は
 反対運動に身を捧げ、ついには財産を使い果たし、衰弱して療養所で亡くなった。
 しかし、彼女の死後もむろん「母の日」は消えることなく、現在もなお世界中で、さまざまな形で祝われている。”

「母の日」創設を推進し、後に反対派に転じたアンナ・ジャービス。(Photograph from Bettmann/Corbis)



なぜ母の日にカーネーションを贈るの?カーネーションの色の意味と由来

(商業的には、反対運動についてすっかりカットしているのが分かる

花言葉の歴史



コメント

アッキーがゆく もっと知りたい沖縄 with ヤナギー@あさイチ

2017-05-17 11:23:13 | テレビ・動画配信
アッキーがゆく もっと知りたい沖縄 with ヤナギー@あさイチ
 

専門家ゲスト:西銘むつみ記者(沖縄放送局)
ゲスト:内藤剛志さん、三田寛子さん
リポーター:篠山輝信さん(俳優)

5月15日は、45年前に沖縄が本土に復帰した「復帰の日」。

それまで右側通行だったのが、急に左側通行に変わったり
貨幣も7回も変わったなど、今回も知らないことがたくさんあった



【ブログ内関連記事】

NHKスペシャル「沖縄戦 全記録」

平成28年 沖縄全戦没者追悼式@平和祈念公園


久しぶりに内藤さんがゲストv


「20代の頃、沖縄の青年が返還の翌日、国会議事堂にオートバイでつっこんで自殺したという
 事件を基にしたフィクション映画に出演したことが、いまだに頭に残っていて、国会の前を通るたびに思い出す
 映画は、復帰前という設定で、空港で“パスポートを出せ”と言われるシーンもある 外国人扱いだったということ

これかな↓

『OKINAWAN BOYS オキナワの少年』(1983)

井浦新さん出演の新作ドラマ
『返還交渉人 -いつか、沖縄を取り戻す-』制作開始
放送予定:2017年8月 BSプレミアム(89分・単発)


***

これまでも沖縄をレポートしてきたアッキーと
昔、沖縄に住み、NHK沖縄で記者活動してきたヤナギーが同行して旅をした

ヤナギー若いし、カッコいい!
 


旅は那覇からスタート。



「沖縄の大動脈」と呼ばれる国道58号線を行く
いきなり、道路脇にガードマンが大勢立っているのを見かける


国際通りは大観光スポット
 
ヤナギー:僕はこの近くの県庁近くに住んでいた

ヤナギーの大好物は「イラブー」(ヘビ!


「軍票」(“B円”と呼ばれる米軍発行の紙幣

「軍事布告に基づき発行す」と書いてある

スーパーの主人:
B円から米軍のドルにかわって、日本復帰とともに円にかわった
翌日からいきなりお金がかわるってカルチャーショックだった



戦後、沖縄の通貨は7回もかわり、そのたび生活は混乱した



戦後、多くの農民の土地が強制的に米軍に「接収」され基地が作られた

1950年代 
 



1972年 本土返還後も基地はほとんどが残ったまま
 




緊迫する国際情勢
「北朝鮮が弾道ミサイル1発発射」というニュースが入り、
ヤナギーの発案で急きょ予定を変更して嘉手納基地に向かう

 

理由:
もともと沖縄の基地の主たるアメリカ軍の戦略的な役割は
朝鮮半島で何かあった時、即対応すること
ベトナム戦争の時は、ここから爆撃機が出動した



記者時代に通ったという基地が見渡せるビルの屋上にあがると
軍用機が離着陸訓練を繰り返しているのは、昔からまったく変わらない風景

 

ヤナギー:
軍事作戦に関して詳細な発表をアメリカ軍は一切しないから
自分たちの手足や目を使って、材料を集めて、それをぶつける以外に手がない



より基地がよく見えるという「道の駅 かでな」


お土産屋さんには、お菓子などの上に戦闘機の写真が売っている
 

 

屋上にあがり、ある人を探すヤナギー
 

基地を撮り続けて40年のフリーカメラマンの渡部さんは、ヤナギーもお世話になった



ヤナギー:
事故や、普段と違う動きがあると教えてもらって、取材をいろいろ手助けしてもらった

取材中も緊迫が走り、ヤナギーも渡部さんも取材そっちのけで軍用機の動きを追う

ヤナギー:なにか降りてきます?
渡部:「コブラボール」(アメリカ軍の電子偵察機



情報は常に無線でキャッチしている
ここには常に報道関係者がいる

ア:今朝のミサイル発射を受けてですか?
渡部:ミッションです

ア:渡部さんは、どうしてずっと撮影し続けている?
渡部:どうなっていくんだろう?という心配が入り乱れて 米軍の動きを知りたい

ア:沖縄の基地って、本当に世界情勢の現場なんですね
渡部:最前線です


ヤナギー:
いまだに嘉手納に行くと緊張します

「コブラボール」は北朝鮮の弾道ミサイルの飛翔コースや着弾時刻を割り出す
世界に3機しかない特殊な軍用機


普段はアメリカ本土の基地にいるけど、何か状況に変化があるとすぐに飛んでくる

後で知ったのは、ミサイルを発射したのは午前6時頃
「コブラボール」は、午前5:30頃に嘉手納を飛び立っている
出来るだけ近くまで接近してデータを持って帰ってきたところだった


ア:
これまで、いろんな「道のえき」に行きましたけれども
目の前で日米安保が繰り広げられていることにビックリした
日本でありながら、渡部さんみたいな方が常に監視を続けなければいけない場所だと知った

ヤナギー:
あの「道のえき」には農産物がなかったでしょ?
嘉手納のほとんどが基地だから農業が出来ない




むつみさん:
中学生の息子がいて、ミサイルのことを何度も聞いてきて
「沖縄には米軍基地がたくさんあるから狙われるんでしょ?」と言われてショックだった

聞くと、部活動仲間とも日常的にそういった会話をしていて
子どもたちを不安にさせていることに、大人として申し訳なく思った



全国の米軍基地の7割が集中している沖縄


オレンジ部分が米軍専用施設 31箇所あり、2万8000人がいる
面積でいうと島の約15% 日本全体でいうと7割が沖縄に集中している

理由:


太平洋戦争末期の「沖縄戦」で、米軍が上陸して基地をつくったのが発端
アメリカは、沖縄を「太平洋の要石」と呼ぶ

朝鮮半島が近くにあり、南北の境界線ではいまだに休戦状態にある
F15部隊は、もし何かあったら沖縄から約1.5時間で行ける

最近は、南シナ海に進出している中国にも睨みをきかせている
「絶対的に、戦略的に手放せない」というのがアメリカの言い分

内藤:たとえば、1500km地点の基地からならもっと近いのでは?

ヤナギー:基地は点在していても、沖縄に圧倒的に集中しているのが現状

むつみさん:集中していることで事件・事故も相次いでいる

内藤:しかも、答えはないわけでしょ?

むつみさん:おっしゃる通りです




アッキーの母の故郷でもある宜野湾市


ア:母の実家で、親戚も周りにたくさんいるので、ワクワクします

普天間基地


宜野湾市の24%の面積
周囲に9万7000人が生活しているため、「世界一、危険な基地」と言われる

 


2016.12 名護市海岸でオスプレイが大破する事件があった
 

ア:「不安だ」と言っていた仲村さんのことを思い出したんですよ

仲村さん:
うちの上空を飛び回っているから怖いです
でも、こういう気持ちって全然伝わらないみたいで歯がゆい


常にこういう状態 アメリカ軍に脅かされて生きている

ア:逆に、仲村さんが安心する時ってどういう時だと思います?
仲村さん:ほとんどの基地が撤去される時でしょうね



2014年、ヘリコプターが大学キャンパスに墜落した事件現場へ
 

 

夏休み中で、奇跡的に怪我人はなかったが、
住宅街にも機体の一部が落ちて、住民の不安が一気に高まった

 

男子学生:
学校にも落ちて、また落ちる 何も改善されていない
まだまだ、飛んでいるだけで怖い

男子学生:
たまたま自分の所に落ちていないだけで、落ちる可能性が“高い低い”でなく、飛ばないでほしい


大学の屋上からも基地が見える
オスプレイがエンジンを回しているところだった

 



沖縄市に戻る


 

 



若い男性:
自分はここが好きです
アメリカ人も優しくて、フレンドリーな方が多いので
言葉が通じなくても、いきなりハイタッチとかしてくるし

高齢男性:
「好きか嫌いか」と言ったら、これは言えない
あの人たち(米兵)がいるから生活できる人もいるし
こういうことは、あまり言えない

(戦争や問題をつくるのはいつも一部のトップ、政治屋、金持ち連中で
 民衆は1人1人のフツーの人間なんだ



米兵の給料日で賑わっている夜の街へ
人気のライヴハウスを取材 オーナーはこの店で40年間歌っている

 
(なんだっけこの曲 '70年代のロック 外国人と日本人が入り混じって踊っている



ヤナギー:昔はペイデー(給料日)だと、もっと人がたくさんいた気がするけれど

オーナー:
北朝鮮とか、いろいろな問題が起きて、兵隊も今は少ない
韓国のほうで、アメリカ軍と沖縄にいる軍隊が合同で演習しているし

小さい頃は、(基地が)あるのが当たり前と思っていた
生まれた時には、アメリカ人もたくさんいたし

だから「基地に反対」(の声が)ありますけど、
アメリカ兵との問題って切っても切り離せない、複雑なもの



FAX 沖縄在住20代:
県民全員が基地反対運動をしているわけではないことを知って欲しい
基地で賑わう街があり、仕事がある人もいる
若い人は当たり前になっていて、基地について何も思わない人が多いと思う
オスプレイで何かあると基地問題につなげようとする傾向がある気がしてそのほうが不安です


FAX 沖縄在住20代2児の母:
嘉手納基地付近に住んでいます
映像を見ながら、ああ日常風景だなと思った
爆音だけでなく、ガソリン等の化学薬品のニオイ
夜間も消えないオレンジ色の街頭 静かな夜はありません


先日は、夜間にパラシュート訓練がありました
もし飛行機や、人が落ちてきたら・・・と思うが
ここで生活していくしかない

本土の人には関係ないかもしれませんが、
こういう場所もあると単純に知っていて欲しい


FAX 沖縄在住20代:
もし基地関係の理解を高めたいのであれば
メディアの報道のあり方を変えるべき
反対派ばかりでは理解は深まらないと思う
ネガティヴな方が増えるばかり

(若い人がけっこう見てるんだな でもFAXは沖縄の人ばかり

ア:
今回の旅の中で一番刺さった言葉は、仲村さんの「復帰前と変わらない」という言葉だった
僕の中では、復帰してめでたいというイメージしかなかった

イノ:
テレビだけを見ていると偏ってしまうこともあるかもしれない
若い人たちにとっては、生まれた時から今の状態で、
騒音ですら慣れてしまう哀しさもある

ヤナギー:
20代は復帰を1つの前提として受け入れている
あの「沖縄戦」を知っている年配の方とのギャップがあるし

ひと言で“良い・悪い”“賛成・反対”でくくれないってことが
本土の人に伝わっていないのではないかって思いがある

取材していた時に、近くにいたおじさんから

「マスコミはちょこちょこっと来て、話聞いて、写真撮って、帰って、記事にしておしまい
 でも、それで本当に沖縄の現実が伝わってんのかな?
 とりあえず1週間住んでみてよ」
って言われた

むつみ:
若い人は、昔は今以上に事件・事故が相次いだことも知らなくて、
基地の中で英語を勉強したり、バイトしたり、基地からのメリットを享受している
その世代を責めることはもちろん出来ない

でも、協定があって、「交流」はしていても、けして「対等」な関係ではない
事件・事故があると日本の法律が及ばない
規制線を張られて、現場に入れないとか


若い子たちに伝えていない大人の責任でもある
「復帰」って日の丸振って頑張ってきたけど、フタを開けたら
基地をこんなに残してしまって、次世代に恨まれないか心配になる



「軍用地の売買」の看板を見かけた
 

ヤナギー:今朝の新聞にも広告が載っていた「軍用地買います」

不動産屋を取材

店内スタッフ:
沖縄県に今ある米軍基地のことを「軍用地」と言います
買われる方の用途はそれぞれかと思いますが賃料も発生しますので

 



ヤナギー:
つまり、日本政府が地主さんから土地を借り上げて
地主さんには「1年間いくら」という借り賃を払っている

日本政府は、その土地をアメリカ軍に提供しているから
地主さんは、地代をもらって収入が得られる

ア:どんな方が買われるんですか?

店内スタッフ:県内、県外の方もいます

ア:変な話、一番人気な場所ってあるんですか?

店内スタッフ:嘉手納飛行場は、今のところ「返還」の見込みも・・・

ア:
返還されない以上は、安定的に賃料が入る場所ということですか
戦争で土地が強制的に接収された背景を考えると
感情的に複雑になる部分もなきにしもあらず・・・



軍用地売買の仕組み
そもそも基地の土地は、戦争でアメリカ軍が強制的に農地を奪ったものだから
土地の所有者(地主)がいる

その土地を買っても住むことはできないが、
日本政府から「借地料」をもらっている

経済情勢に関わらず「借地料」は年々上がっていく
今では「投資ビジネス」になっている

(ヒトはどこまで貪欲にできているんだろう???

ア:「借地料」を地主数で単純に割ると、1年間で200万円になる

むつみ:
アメリカ軍に安定的に土地を提供してもらうために、経済の動向に関係なく値段が上がっていく
補償金の意味合いもあるので


ヤナギー:
今は銀行に預けても変わらない 軍用地を買うと安定収入が入る
実際は、相当高値で売買され、ビジネスになっている
これは違法にはならない

むつみ:
単純計算で年間200万円と言いましたが、実際は、1/4が200万円未満しかもらえていない
よく「軍用地料もらってラクでしょ」て言われる方もいるけれども誤解がある



沖縄の経済は基地がないと成り立たないと思うか?アンケート

まったく逆の結果が出た

(成り立たないわけはないでしょう 昔は自分たちで立派に暮らしていたんだもの

むつみ:
基地が少しずつ返還されている場所もあり、商業施設が建ち
雇用も生まれているから、返還されたほうが自立した経済を営める

復帰したての頃は、県民所得が基地関連収入15%以上あったが、今はその1/4
基地がないほうがより良くなるのでは?という思いもある


ヤナギー:観光地として、大型船も来ているのも見た

イノ:
基地になってしまった時も「よし、じゃあ店をやろう!」って今まで続けてきたんだから
基地がなくなったら「よし、分かった」って、ちゃんと街をつくる力がきっとあると思う

ヤナギー:
20代の間でも基地のない状況で経済を盛り上げたいという議論がかなり活発になってきている



名護市辺野古
普天間基地が住宅密集地にあるということで、1996年に日米間で返還すると合意している
それには、沖縄県内に代替施設を作るというのが条件だった それが辺野古

2016.5.25 海岸を埋め立てる護岸工事が始まった
工事が進めば、海の現状回復は困難になると言われる

中村征夫写真展「琉球 ふたつの海」

 

 

2人が取材したのは工事のニュースの9日前

ア:
こっちが僕らが思う沖縄って感じでキレイな海
でも、ちょっと目線を移すと全然感じが違う
2年前に来た時と変わってますね景色が ブイも近いし

国際情勢とか、防衛とか、いろいろなバランスで「ここが必要だ」と

ヤナギー:
アメリカ軍や、日本政府が言っている
日本全体で「これが唯一の解決策なのか」もっと共有しないといけない



小さな集落「安部」にもオスプレイが落ちた
 
途中の小路ににゃんこがいて、動物大好きなヤナギー反応

2016年 ここから数km地点の海にオスプレイが落ちて大破した事故があった
 

近くに住む男性にインタビュー

Q:普段から飛行機の音は?
しています 最近酷い

もう一人の男性:
オスプレイは欠陥品でないかと思う
いつ落ちるか分からないから不安




イノ:2年前の取材では、インタビューを断られたこともあったじゃないですか

ア:
小さな集落の人たちに世界的な問題を「どうですか?」って聞くのはそもそも違うのかなって思いました
もっと日本全体で一緒に考えることじゃないのか こっちの問題じゃないかと感じた

むつみ:
「基地いりますか? いりませんか?」って選択を、住民に突きつけられるのが理不尽とみんな感じていて

普天間の方も、「辺野古についてどうですか?」て聞かれても
自分たちの痛みを、他へ移せばいいわけじゃない でも減って欲しい
どっちも答えがない



ヤナギー:
辺野古の人たちの中にも「止む無し」という声がある
それを「賛成」って言葉にかえてしまっているけれども
積極的に「来て下さい」とは違う

正直、僕らも沖縄を記事に書く時「沖縄の基地問題」て書くことにものすごい違和感を感じる
日本の問題じゃないか
それを意識しないと現実は捉えられない




<FAX>

神奈川 40代:
沖縄に基地が集中しているのは納得がいかない
気持ちを無視した政府の動き、ニュースの扱いの小ささを見るにつけ
沖縄の人が本土の人が理解していないと感じるのは当然


有働:私たちは何が出来るんですか?

ヤナギー:それがカンタンに分かれば苦労しないんだけどね

内藤:まず知ることから始めようっていつも思う 行くことも大きいと思う


FAX:本島を「本土」と言っているかぎりお互い理解し合えないと感じた

ヤナギー:
北海道でも「外地・内地」て言葉があったけれども
そういう声を聞くと、重みがあるんだなと実感する

むつみ:
言葉に関しては、単に地理的に離れているという意味合いのほうが多いと思うが
本土って言葉を普通に語れない現状は、なんとか変えていきたい


イノ:いろいろ複雑だけれども、キレイな海が壊れてゆくってことが一番最初にある

(これは大きな自然破壊なんだ

三田:
子どもが中学の時に沖縄に行って、観光ではなくいろいろ見て回って
「いろんなことが分かったよ」ってゆったのを聞いて
やっぱり見るとか、聞くとか、実際に自分で動いて得ることが大事だと思った

(戦跡や資料は、都内にもたくさんある 関連本もたくさんあるし

 

 




***

考えてみれば、この異郷で暮らす若い兵士たちは、寮という檻の中で軟禁生活状態みたいなものじゃないのかな
家が貧しくて給料のために入らざるを得ない兵士もいるだろうし
愛国心、家族を守るためという国の言い分を信じて自ら入隊した兵士もいるだろう

もっとも自由を謳歌したい時期に、軍用機に乗って、
時には、上官の命令通り、他国の住民をも巻き込んで爆弾を落としたりしなければならないことを
どう思っているのか、兵士1人1人の思いも複雑で、メディアに語れないことも多いだろう

戦争の親玉は、もっと別の快適な場所にいるんだ


コメント

「1945年 黒の黙示録 香月泰男 丸木位里・俊 川田喜久治」@日曜美術館

2017-05-16 13:15:02 | テレビ・動画配信
丸木位里・俊夫妻をもっと知りたくて予録した
その他の2人の画家を知れたことも貴重

『ふたりの画家 丸木位里・丸木俊の世界』(晶文社)

『ふたりの画家 丸木位里・丸木俊の世界 本橋成一写真展』@丸木美術館

本橋成一さんについては※「作家別」参照



平塚市美術館に、戦後を代表する3つのシリーズが初めて一堂に会した
黒い油絵、モノクロ写真、黒い屏風画、どれも1945年敗戦の果てに生まれた

館長代理・土方さん:

発表当時から衝撃的で半ば伝説化している作品群
現在の視点で改めて見直すことで、戦争という時代の大きな悲劇を考えることに通じるのではと考えている


香月泰男:
 
兵士として体験した戦争と抑留の記憶を「シベリアシリーズ」として描き続けた 57点の多くは黒が基調


丸木位里・俊夫妻:

原子爆弾を描いた画家 「原爆の図」と呼ばれる15点のシリーズには悲しみが満ちている






川田喜久治:

原爆ドームに現れたシミを撮り、現代日本を映し出した写真家







展覧会を訪れた80代女性:
ゲームの中の戦争じゃないってことをみんなに感じて欲しい

20代美大生:
ほんとかなっていろいろと考えちゃう リアルのようで、リアルじゃない

30代・3児の母:
実際に戦争になった時、子どもたちが関わっていかなければならないのかなっていうのが気になる

小学生の男子:
死んだ人たちがあの世に行く時の絵かなっと思った(涙


死の意味、戦の果てに何を見たか、黒い作品に耳をすます



土方さん:
4人の共通点はない 作品は黒が共通する そして、それぞれ「沈黙の時間」がある
香月は抑留以降、丸木は原爆を絵にするまで、川田はシミを見てから
観る方に相乗して違った見方が出るかもしれない


小栗康平さん(映画監督):

意図して企画しないかぎり3つの作者が一堂に会することはまずない
つないでいるのは1945年という1点ですからフシギな組み合わせ




香月の「シベリアシリーズ」57点


黒の表現が圧倒的な中で異彩を放つのは「埋葬」


1人の男が過酷な抑留生活で死んだ戦友を弔う光景
日本に戻った翌年1948年、最初に描いた

香月インタビュー:

死んだ戦友のために明るい雰囲気に描いてやろうと思って
それは可哀相だと思う気持ちもあるし、これで日本に帰れるのかという羨望の気持ちもあった


弔う者が死者を羨むほど厳しい抑留生活
この絵の男の顔は描けなかったという
この後、シベリヤを10年近く封印する

満州に出征したのは32歳の時


戦地で2年、敗戦後は捕虜となり、2年間強制労働を強いられた

氷点下30度を下回るシベリヤの冬 寒さと飢えで収容所の仲間
250人のうち30人余りが半年後に亡くなった

 

 



なんとか帰国し、故郷で高校教師をしながら再び筆をとる
シベリヤを封印し、身近な草花を描くことに熱中した

 
(なんて素晴らしい自然が残っているんだ/驚

 

台所には香月が願う色鮮やかな宇宙が出現
 

しかし、次第にアトリエにこもり、シベリアの夢をよく見るようになる
(自然に心を癒されて、やっと表現できる準備が出来たのかも

 

 


板倉さん:

心の葛藤というか、泣きながら描いていることもあった
先生は、シベリアのことを話すのが嫌いでした しまいこんでいた


婦美子さん:

ときどきポツポツと木の根を食べたとかは話した
ものすごく辛かったんでしょうね


この頃の絵の人物の多くは影か後姿
 


「もはや戦後ではない」と言われた1950年代半ば
ハトの足をつかんだ青年の姿を描いた



香月の一文:
戦争という膨大な犠牲の代償として唯一与えられたものは
戦争への憎悪による平和への願望だったはずなのに
日本人は今、それを忘却しようとしている


私も耽美的な仕事ばかりしているわけにはいかない
鳩が飛ぶ時ではない



中東、朝鮮半島などでは戦争がまた起きていた
画家として自分ができることはなにか シベリアと向き合う覚悟をする
それは自分の顔を探すことから始まる

亡くなった戦友たちの顔 個性が削ぎ落とされていく 香月自身の顔 そして黒
抑留中、絵の具代わりの煤を手がかりに、シベリアの色を木炭に見つけた

 

封印して10年後、描き始めた

『私のシベリヤ』より
シベリヤのことなんか思い出したくはない
しかし、白い画布を前に絵の具をねっていると
そこにシベリヤが浮かび上がってくる

絵にしようと思って、絵にするのではない
絵はすでにそこにある


香月に戦友の弔いの記憶が甦る 生ける者も、死ぬ者も包み込む悟りの境地



『私のシベリヤ』より
シベリヤを描きながら、私はもう一度シベリヤを体験している
私にとってシベリヤは、一体何であったのか

私に襲いかかり、私を飲み込み、私を押し流していったシベリヤを
今度は私が画布の中に飛び込み、ねじ伏せることによって、それをとらえようとする


シベリアを描くことは香月にとって果てしない格闘だった


土方さん:
特徴は、この黒と顔 おそらく香月さんは復員直後「埋葬」を描いた
とにかく早く絵が描きたい一念だったと思うが、自身は描いた後、納得できなかった
あまりに強烈な4年間が表現できていない

「涅槃」のほうはまったく違う 記憶、イメージを抽象させる時間があった
(伊藤アナ泣いてる?


小栗:
生き延びた香月が屍を描けるか、その問いはとても深くて大きいと思う
人物を描く時に、希望的な抽象化をもっていることと
とにかく遠くへ置いて、風景の一点にしている 近寄る強さを持てないから
結果として面白い風景画が誕生したところが香月の面白さだなと思う
どんな絵画でも、永遠性、持続性があると思うが、香月の場合「祈り」にも置き換えられる画業だったのではないか






『雨』(1968)



 

 

 




丸木位里・俊夫妻
第1作目「幽霊」は、原爆投下直後の人々の姿
 

 

 



丸木夫妻は絶望を絵にすることに敢えて挑んだ
原爆投下から3年後に始まり、30年余りにわたって描かれた「原爆の図」
水墨の滲みが人々の苦しみをより際立てている

位里は日本画家、俊は洋画家
人物は俊が描き、構図や水墨の表現は位里が受け持った

 


俊:

「お前のはリアルに出過ぎる 生々し過ぎる」って、墨かけるんですよデ~って
あら、消えちゃったあと思ってね 困ったなあと思ってると
墨色っていうのがあって、その色の強弱が私は分からなかった、はじめ
真っ黒けになった それがずーっと乾いてくると ちょうどいい按配なんですね

 


1945年8月6日 広島で原子爆弾が炸裂し、無数の命が一瞬で奪われた
 

広島は位里の故郷だった
「殺人光線で町が全滅」という噂を聞き、原爆投下の4日後に駆けつけた

位里:

臭いの臭くないの あれは人がたくさん死んだのが腐ったり、焼けたりして
そこへウジがわく 大変なうわぁ~ってハエになるんだ

原爆で父と親族を失った位里
茫然自失の中、俊とともに怪我人の手当てに奔走した
この時、2人は後に絵にするとは思いもしていなかった


岡村さん:

戦争が終わって、最初の頃は新しい平和な時代が来た
自分たちは解放されたんだという思いが2人の中にあったと思う

 

原爆投下後3年目の夏に2人は初めて、描かなければいけないという気持ちが出てくる
その背景には、人々の間に一切原爆の話があがってこないからだった
厳しい検閲があって、新聞・雑誌が一切報道していなかった
(今も検閲がまったくないと言い切れるだろうか



米ソの対立が激化
戦争・紛争の火種が世界各地でくすぶりだした
核実験も本格的に始まった







アメリカの核実験(1946~)(~になってるのは、それからずーーーーーっとやってるってことだ



岡村さん:
「原爆の図」は1945年8月の出来事だけれども、
もうすぐ自分たちのところにやって来る未来でもあるんじゃないか
という意識が2人の間で高まったのではないか




原爆投下から3年後の夏 丸木夫妻は「原爆の図」に取りかかるが
当日の爆心地のことを何も知らないことに気づいた

手がかりとなったのは母・スマさん(ステキな黒ネコさんがいるよ
 

爆心地から2.5kmにいたスマさんは、その時の光景を絵にした
それは全身に大火傷を負った幽霊のような女性の姿

2人はその地獄絵のような風景を想像し、「原爆の図」にしていった

1950年 「原爆の図」が発表されると、全国で展覧会が開かれ
多くの日本人が原爆の惨状を初めて知った

(これだけマスコミが発達していても、検閲がかかっただけで、当の日本人ですら知らなかったって・・・

 


しかし、観た人の中から思いがけない声が出た

俊:


「オレは被爆者だあ!」っていう人がいて

「原爆はこんなことじゃない! もっと酷い様子だった
 自分の娘は体中黒焦げになったから、焼け過ぎた魚のようになっていた
 手足の指先がポロポロと落ちてた そういう絵がないじゃないかあ!」
ていうのね

「作者はどこにおる?!」ていうから「私です」ってゆったら
「私の娘のようなのを描いて欲しい!」て言ったの

被爆者の切なる声が夫妻の心に響いた
大きな画面には、無数の傷ついた人々の姿が、より丁寧に描かれていった



 


岡村さん:
目で見たものをそのまま描くのではない
背景は一切省略して余白のまま 人間の群像のみ
敢えて中心点を作らず、隅から隅、画面の外にも広がっていくように視点を広げる描き方をしている
これは、これまでの絵画のセオリーから外れるもの

丸木夫妻が原爆を描く時、同時多発的に無数の命が傷つけ、奪われていった
それを絵画として表現するために、どうしても必要な手段だったと思う



土方さん:
香月さんは、個人の記憶を元に描いている
丸木位里・俊夫妻は集団の記憶を描いている

そのためには語りの構図が必要になる
その時、日本の伝統的な表現法がすごく役に立つ

「異時同図」(絵巻物などの描き方)
異なる時間、事柄などを1つの画面の中に構成する
これは西洋的な技法では描き得ない表現


伊藤アナ:
8月6日のことを伝える時、一番難しいのは
1人1人の命の数を表現することだと毎年思う


それを丸木夫妻は、それぞれの得意分野をもって
1人1人の命の結末を見事に表現している


小栗さん:
ニュースフィルムにしても、絵画としても、図像としてありのままを見せるわけにはいかないものだと思う
しかし、人類はそれを体験したわけですから、それを見えるものとしてどう再構成するか、というのが作家の仕事




川田喜久治
伝説の写真集「地図」
 

川田:


この本を作るのに長くかかったものですから、何度も観たことないんですよ
作り終わって、ああ、やっとできたと思って、あと振り返って見ない



高度経済成長期の1965年
当時20代の川田が原爆ドームでフシギなシミと遭遇したことから生まれた
シミは、あの日原爆ドームの中で一瞬で消えた人々の存在を暗示している

肉弾となって果てた兵士の銅像、放射能がもたらしたケロイドの肌、
町工場の鉄くず、勲章を誇らしげにかざす老人、
菊の紋章と、瓶の栓

 

 

 


シミは想像を絶する破壊の世界と、戦後の今がつながっていることを語っている



71年目の終戦の日
川田はこの日もカメラを手に歩いていた 今年83歳

(シミがとにかく好きなのね

スタッフ:今日は終戦日ですが、追悼式はご覧になりましたか?
川田:ちょっと見ましたね


1945年の敗戦の日、川田は12歳だった
戦時中は、米軍機が飛来すると「肝試し」と称して、橋の上を走る少年だった


川田:
写真集をこうしてもう1回観直していくと
僕はものすごい夢中になってシミを撮ってたみたいですね(今も同じでは?
ほんとに困ったもんだなw 笑いたくなるくらいシミばっかり撮ってたんですね、コレ


川田の一文より:
雨が降り続く初夏の夕暮れ
孤立しているような原爆ドームに私は一人で忍び込んでいた
暗く湿った地下天井の裂け目から目が離れなくなってしまった

川田がシミと遭遇したのは、原爆から12年後


川田:
これは今までにない、ある種の死を見るような そういう感じ方で寒気がした
沈黙して祈りをこめたまま撮影を終えたといっても過言じゃない
緊張のしっぱなしで、早くこの場を逃れようとしていた



2016年 原爆ドーム内部
 

 

(今は、内部は許可がないと入れないの? 崩れるかもしれないから?
 あら、ここにもステキな黒いにゃんこがいる

壁にはさまざまなシミが今も浮かんでいる
 
(昼間のせいか、モノクロの写真集のような怖さは感じられないな

「もはや戦後ではない」と言われた50年前 24歳の写真家は一人黙々とシミを撮った


川田:
写真って一番深い記憶というものに関連してる
その記憶を忘れてしまうってことは、未来を忘れ、何も感じないということ


未来を忘れないための88枚の写真 それを「地図」と名づけた



2016年夏 川田は半世紀ぶりに広島を訪れた


原爆の後、激しく降った黒い雨の痕跡をカメラにおさめた
 







伊藤アナ:ストイックというか、覚悟に満ちていますね

小栗さん:
僕らはこう人と話をして、言葉で生きてると思うけれど
実のところは、事物と一緒に生きている
食べること、衣服もそうだし 我々はモノと暮らしている

そのモノとの出会い方が、みんな違うわけですよね
モノと一緒という強い主張がここにある


(時間的に順を追って観ていくと、最後は私たちに近い時代の川田さんの作品で終わるため

伊藤アナ:観る側にとっても蓄積しますよね なんか想いがあふれます
(やっぱり女性は感情、男性は論理的な視点でものを見ていることが分かるコメント


新さんのコメントがこれまでほとんどなかったが、「どうでしたか?」と聞かれて

新さん:
本当に沈黙させられますね でもけして静寂ではないな それは黒からも感じた
すべてを覆い尽くしてしまう、何もない無のような黒でありながらも
そこにはたくさんの色も見えてきて、いろんな声、叫びが聞こえてくるなと感じました



土方さん:
とにかく、今、戦争、核の問題が常態化している
朝、テレビをつけると、また戦争、紛争、核
我々も感覚がマヒしているのかもしれない


改めて、黒と沈黙の時間をもって一級の芸術作品に高めたシリーズ群を観ていただくということも
貴重な体験になるのではと思う


小栗さん:
過去って順番でつながってるわけじゃない
歴史というと、私たちはすぐに何年にこれがあってって、
そこからいかに遠ざかったかというような考え方をもってしまうが

この作家たちが向き合った時間がそれぞれ違うように
過去は順不同で、いくらでもニョキっと顔を出したり、入れ替わったりする
この感覚をしっかり掴まないと、いつどうやって恐ろしいことが始まっているのかっていうことにも鈍くなってしまう


過去は動いているっていう意識さえもっていれば、
もうちょっと現在の捉え方について警戒し、ものを考えることもできるんじゃないかとも思う



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