数日前、例年よりも多くの鮭が遡上しているというニュースがあった。
明日は天候が崩れるという予報だったので、今日午前中、花友さんを誘って「鮭のふるさと水族館」を訪ねた。
駐車場は一杯で、多くの人が来ていた。団体の観光客のためか、アイヌの民族衣装を着た人達が歓迎のイベントをしていた。
川にかかる橋に行き、上から流れの中を覗くが、水面で光が反射して上手く写真が撮れなかった。
「インディアン水車」が回り続けていた。仕切りには1~数匹づつ捕獲された鮭が入っていて、右側の空色の箱に移されていた。
この「千歳川」で捕獲された鮭は、板の下の網の中に集められ、右上に並ぶトラックで10kmほど上流の「孵化場」に運ばれる。そこで雌から採卵し、受精後に孵化した稚魚が育てられ、春にまたこの場所に放流されるのだ。ここまで遡上してきた鮭の成魚は、二度と海に戻ることはなく、一生を終える。
※「ふるさと館」に電話して私の疑問点を伺った。
①「千歳川」の水源は「支笏湖」である。千歳市から北上し、恵庭市、長沼町、江別市を経由して、最終的には「石狩川」と合流して日本海に流れている。この間約70kmあり、鮭の稚魚は1週間で水に流されて海に出る。
②孵化場で人工授精された鮭の魚体は、海で捕獲される鮭よりも脂肪分が少ないために油焼けしにくい魚肉として「フレイク」や「乾燥ミール」に加工する加工業者に引き取られて行くという。
育てられた稚魚は春に「千歳川」を下り、その後オホーツク海からアラスカ沖まで遡上し、太平洋を3~4年かけて回遊した後、成魚になって、また生れたこの場所に帰って来るのだと言う。(日本が孵化作業と放流をしているため、ロシアはオホーツク海での日本の鮭の捕獲を認めているのだ)
橋の上で出会った館の職員氏の話では、「今年は既に例年の捕獲量に達しているが、まだまだ遡上してきている。」のだという。3~4年前に放流された時の海の状況が鮭の生育に適していたからだと想像できる。
橋の下に高い堰堤と網が張られているが、それを飛び越えて上流に行く元気な鮭も多いらしい。
目を凝らして水中を見ると、体長60cm前後の鮭が沢山いた。川の段差の所には卵が溜まってピンク色になっていた。
また卵を産んで力尽き、一生を終えた雌が、何匹も白くなって川底に沈んでいた。雌の身体は水に溶け、やがて新しい命の糧になるのだろう。
帰り際に一仕事終えたアイヌ衣装の方達が広場にいたので、写真を撮って良いかと声を掛けたら了解してくれたので、写真を撮った。
鮭の一生に触れ、生命の神秘を知ることができるこの場所は、とても貴重な場所に思えた。