≪マカオ≫
3日目の朝、ホテルを出てからフェリーターミナルに行き、香港の出国手続きを済ませてからマカオ行の大型高速船に乗った。
約1時間後、マカオに着いた。ターミナルに入り、入国手続きをしてマカオに入国した。入国審査場には人が大勢並んでいるため、この手続きに1時間近くかかった人もいた。(私は65歳以上の人と障害者用窓口に並んだので早く入国できた)
香港もマカオも今では中国なのに、「一国二制度」を採る間は今までと変わらない体制をとっている事が良く分かった。
マカオには別の現地ガイドがいて、私達を案内してくれた。
ガイドブックによると、1887年、中国へのアヘンの密貿易取締りに貢献したポルトガルが、清朝からその報酬として受け取ったのがマカオなのだ。
しかしその後は、この地域の貿易中継地として香港が興隆したためと大型船の入港ができなかったため、マカオは活気を失って行ったらしい。
マカオは1999年12月にポルトガルから中国に返還されたが、やはり50年間は特別行政区として資本主義が認められている。人口は46万人でその95%が漢民族。公用語はポルトガル語と中国語だが、最近は観光業で英語の必要度が高まって来ているそうだ。通貨は『パタカ』だが『香港ドル』も通用するので、私はお金を『パタカ』に変えなかったが、全く不自由はなかった。
ガイドの話では、現在のマカオの90%の土地は、元々湿地帯だった所を埋め立てて町を作った所だという。今では富裕層の中国人がやって来てカジノを楽しむための超豪華なホテルが沢山建つレジャーランドの様相を呈していた。
私達はバスに乗ってポルトガルの影響を受けた街並みを見ながら、世界遺産の「聖ポール天主堂跡」や「聖ドミンゴ教会」、「セナド広場」の観光に向かった。その途中、観覧席が設けられ、人が大勢いる所に出くわした。ガイドは、毎年この時期はスポーツカーの「マカオグランプリ」があるが、今年は今日からなので、とても混雑していると言っていた。一般道路を閉鎖して、カーレースが繰り広げられるらしい。
マカオの顔である高台に建つ世界遺産「聖ポール天主堂跡」に行った。天主堂は17世紀初めにイエズス会が建立したものだが、建設にはポルトガル人と長崎を追われた日本人キリシタンも大勢加わったのだと言う。
全面の壁は堅牢な石造りだが、背後は木造建築だったため、1835年の火災で焼失してしまったのだと言う。正面ファザードには、キリスト像、マリア像、フランシスコザビエル像の他、漢字の表記などが残されている。こんな場所で自国で迫害された日本人が、マカオの歴史を刻んでいたことに胸が熱くなった。
次にそこから少し歩いて「セナド広場」に向かった。石畳の広場を囲むように17世紀に建てられた黄色い「聖ドミンゴ教会」①や政府の庁舎②、16世紀に初代司教が建てた慈善活動施設の「仁慈堂」③が建ち、独特な雰囲気を醸し出していた。夕食後に再度来た時は、広場の建物の内側がライトアップされていて綺麗だった。
① ②
③
バイキング式の昼食を食べた後、マカオタワー、カジノが行われている「ベネチアンホテル」に行った。
「ベネチアンホテル」のカジノでは、中国人が大勢、ゲームに興じていた。昨日のニュースでは、大王製紙の元会長もマカオのどこのカジノかは知らないが、VIP客として庶民には到底考えられないような巨額の遊興費を注ぎ込んだらしいが、そんな一握りの人たちによってこうしたホテルの経営が成り立っているのだろう。広い贅沢なエスカレーター室は、豪華なバロック様式の天井画で飾られていて驚いた。
私達はエスカレーターでホテルの最上階に造られているベニスの運河と町並みを模した巨大なテーマパークに行った。そこでは広大な面積の天井にあたかも本物の天と見間違う屋根が張ってあり、その下の有名ブランドショップや大食堂が大勢の人で賑わっていた。
ホテルを出た後、運河の向こうに中華人民共和国の広東省地域を見ながら、バスで広東料理の店に行って夕食を食べた。それから再度、「セナド広場」の夜景を見てから、再びフェリーで香港に戻った。香港に近づいた時に船の窓越しに見えた夜景が素晴らしかった。
4日目の朝は5時に起き、6時にホテルを出て、飛行場に向かい、9時半の札幌行き航空機に搭乗した。朝食には前日マカオで買った菓子パンを食べた。
帰りは満席ではなかったが、大半の乗客が香港人で、北海道旅行が目的と思われる人達で溢れていた。たまたま私の隣席に香港のツアーガイドが座ったので聞くと、4泊5日で札幌、小樽、洞爺、登別を回るツアーだと言っていた。
香港から多くの人達が初冬の北海道を訪れてくれている事は嬉しかったが、来道後急に気温が下がり、雪景色になった北海道を見て、感激しながらも寒さに震えているのではと案じている。案外、洞爺や登別の大きな温泉にゆったりとつかって、北海道旅行を満喫したのかも知れないが。
新千歳空港に到着したら15時になっていた。行った日より気温は高めで、小雨が降っている中を帰宅した。
今回は正味2日間の観光だったし、時差は1時間だったのでほとんど疲れなかった。そして香港もマカオも実際に行って見て、初めて現地の様子や歴史が分かり、本当に良かった。(完)