8月3日、好天の予報だったので、支笏湖の展望台
、「イチャンコッペ山」(標高829m)に登山をするため、朝起きて海苔巻き寿司を作り、水筒に熱いコーヒーを落として7時過ぎに家を出た。
支笏湖は、札幌の南方約30kmの場所にあるカルデラ湖で、面積78k㎡、最大深水363mの湖である。
目指す
イチャンコッペ山は、支笏湖をぐるりと囲む恵庭岳、風不死岳、樽前山、紋別岳と並んで支笏湖の北東側に立つ山である。
それほど有名な山ではないが、支笏湖、恵庭岳、風不死岳に対峙し、それらの展望台として素晴らしい山なのである。
私がこの山に登るのは今回で4度目となるが、久し振りに美しい眺望を見たくて、昨日、また行って来た。
登山口に近い支笏湖畔展望台に車を留めて、登山靴に履き替え登山口に向かった。
少し前までは、「イチャンコッペ山登山口」と書かれた小さな標識があった筈だが、今回は見てもなかった。
しかし、数歩登った所に「登山届け」のノートが入った箱が設置されていた。
この数日間の記帳者はいなかったが、傍に大型の剪定鋏が置いてあった。
名前、住所、入山時刻8時50分と記してから、いよいよ登山を開始した。
登り始めからかなりの急登が待ち受けている山で、30分間は呼吸を整えながら休み休み登った。
やがて振り返ると、木々の間から支笏湖が見え出した。①
①
急登が終わり、緩斜面に入ると間も無く、丈1.6m程の笹がぎっしりと生い茂る薮の中の山道だった。②
刈られて枯れた笹が人1人通る幅しかない細い山道の両側に沢山落ちていた。場所によっては、足元が見えない位茂っていて、慎重に歩くほかなかった。
登山届けには、数日前に千歳山岳会の人が入山したと書いてあったが、きっとその時、笹刈りをしたのだろうと思った。
硬い笹の根元の茎がぎっしりと槍のように突き出している道はとても歩きにくかったが、道を付けるために刈ってくれた人には感謝した。
しばらく歩いて行くと大きな反射板が設置されている山が見えた。③ そこまではまた長い急登が続くのだ。
気温は25度位で曇っているために熱くはないが、何度も息が上がり、ふくらはぎがだるくなって休み休み登った。
②
③
登山道のあちこちの木には鶯がいて、澄んだ綺麗な鳴き声を響かせていた。目の前の木につがいで鳴き交わしている鶯もいた。私には「こんにちは。良く来たね!ホーホケキョ!ケキョ!ケキョ!」と聞こえるようだった。
やっと反射板が設置されている場所に着いた。そこで15分間休憩し、バナナ2本を食べ、麦茶を飲み、写真を撮った。
支笏湖を挟んで対岸に聳えるのは標高1102mの風不死(フップシ)岳④だ。その奥に樽前山(標高1041mの活火山)が少し見えたが、上部は雲に隠れていた。
さらに右手には、標高1320mある恵庭岳の雄姿を臨めるのだ。⑤
この山は、今も噴煙を上げる活火山だが、1972年2月に開催された冬季オリンピックの際の滑降競技の会場になった山である。
ここからさらにもう少し向こうの頂上がある山まで、尾根伝いにダウンとアップをしながら30分ほど歩くのだ。
④
⑤
11時40分にやっと
イチャンコッペ山頂上に到着。登山を開始してから2時間50分が経っていた。
山頂の笹も綺麗に刈られていた。そこでリュックを下ろし35分の食事タイムを取った。
期待通りの美しい展望をたっぷりと独り占めし、達成感に浸った。
⑥
⑦
12時15分下山を開始。こんなに急な坂道をよく登ったなと思うような所は、杖を使って慎重に降りた。
支笏湖に向かって下りて行くので、その景観はすばらしかった。
途中、白と青の山アジサイが数箇所咲いていて、緑一色の山に彩を添えていた。⑧
茶色のシジミが群がっているアジサイもあり、小さな命の輝きを見た。⑨
道端に見たことがないオレンジ色の植物が点在していた。⑩
⑧
⑨
⑩
やがて私のウイークポイントである左の膝が力が入らなくなり、弱い痛みもしだして普通に歩けなくなった。
左足を引きずるようにしてゆっくり歩き、2時間15分かかって14時30分に下山した。
登山届けにその時刻を記帳してから支笏湖公園線の道路を横切り、すぐ傍の駐車場に向かった。山では誰にも会わなかったし、展望台に立ち寄る車はあってもそこに駐車していた車は私のだけだった。運転席に座ると、膝は気にならなくなった。
帰宅後、汗だらけの服を脱いで風呂に入り、さっぱりしてから冷たいワインを飲み、冷やし蕎麦とエビフライを食べた。美味しかった。
今回は帽子に手作りの虫除けカバーをつけて行ったので、虫が全く気にならなかったし、7年振りの山に思い切って出かけて本当に良かったと思った。