秋上

朝の「道の駅」で店頭に商品を並べている時に、「これだけ雨が続くと秋上が遅くなって困るね」と生産者仲間のKさんから声をかけられた。
語彙の乏しいオジサンは、「アキアガリって何ですか？」とついつい訊いてしまった。
昔から「訊くはいっときの恥じ、訊かぬは一生の恥じ」というので、それを実践したつもりだった。
しかし、後でオバサンから「そんな初歩的な質問をしたら会話が続かなくなるでしょう」とたしなめられてしまった。

最初、この地方独特の風流な農業用語かと思ったのたが、広辞苑で確認したら「稲刈り、とり入れの終わること」とあり、れっきとした標準語であることが判明した。
これでは、遅まきながらも恥ずかしさで顔を赤らめなければならない。

それにしても雨、雨、雨で困ってしまう。
巷では「たとえ雨があがっても田んぼが乾かないため今月中の稲刈りは難しいのではないか」と囁き始めている。
今年の「秋上」は、いつのことになるやら・・…。



雨に煙る黄金の海。
見た目は静かだが、田んぼの中は水が浮かび、周辺の側溝は昨夜来の雨を集め音を立てて流れている。