穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

キングのリーシー物語、スコット・ランドン異界わたり

2010-11-03 07:37:32 | 書評

異界わたり能力を認めないと話についていけない。故作家のスコットには異界わたりの能力があった。寝ている間に異界にわたる。寝ている間に魂だけが旅行、飛翔するという話はたくさんあるが、スコットは体も一緒だ。しかも他人を連れていくし、物体も持って行く。

証人は妻のリーシーだ。夜トイレに起きる。横に夫がいない。彼もトイレに行ったのか、台所にいったのかと探すが影も形もない。トイレからリーシーが帰ってみると夫は帰っていて何事もなかったようにベッドに寝ている。てな塩梅。

異界に物を持っていく。妻がつとめていたレストランの鐘を異界(ブーヤムン、地名までついている)の森の木にかけてくる。

父が殺した兄の死体を異界まで運び埋めてくる。

スコットはこの異界わたりの能力を他人にもわずかながら伝えることが出来る。妻のリーシーに異界わたりを教えて二人で行く。この能力が夫の死後、リーシーの過去への旅を成立させるわけだ。

そういうわけで、この小説はファンタジーでもあるわけ。

つづく