穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

村上春樹のマーケティング・センス

2015-10-21 08:22:27 | 村上春樹

といっても、数量解析とか多変量解析ではない。カンというかセンスというか。 

また、『職業としての小説家』で開陳した日本マーケット5000万人説を認める訳でもない。彼の成功の非常に多くの部分がマーケット指向のカンによるものであるということを、この今朝の目覚ましアップで簡単に述べたい。

主として現在読んでいるノルウェイの森の例で述べる。おっとポジション・レポートを忘れていた。現在地は「ノルウェイの森」文庫版上の297頁である。

前回説明した「ワタナベ君」電動こけし説の続きとも言えるわけであるが、インターネットの反響を漁ったところからも、女性に非常に受けているようである。それもノーマルな、つまり平均的な女性に。

彼の相手の女性はみんな精神薄弱者(この言葉がプレスコードに引っかかるなら後刻訂正します)あるいは強硬症的な女性である。渡辺君が攻撃的、積極的な性格なら、女性読者も受け入れないし、批判もあるだろう。それでは近年マスコミを賑わしている、施設の入院患者を襲う看護師になってしまう。

受動的だからこそ女性は心行くまで楽しめるのである。村上氏の全作品を読んだ訳ではない。せいぜい4、5冊だが、そして大部分は忘却の彼方であるが、ノルウェイの森には上記の特徴が顕著に現れている様に思う。1Q84の青豆の相手もそうだったような記憶がある。海浜のカフカもそうではなかったかな。

ノルウェイの森は「リアリズム小説」だし、上記の特徴が顕著に現れている様に思われる。

村上氏は作品の記述で政治的歴史的な点で中国、韓国に関する部分で恐ろしく気を遣っている。これは或は編集者の配慮でもあるのだろう。ようするに、市場に悪影響を与えることを恐れながら書いている様に思われる。

 



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