殿と時々寿司屋へ行った。金大での診察の帰りに何回か寄った寿司屋や、加賀市の分校にある江戸前の寿司屋も行ったが、一番よく行ったのは今はもうやっていない、うちの近くの回る寿司で、カウンターしかなくて席も15席足らずで、別に回さなくても良いのではというような、小さくて古い寿司屋だった。
殿が金沢で飲むと、加賀温泉まで迎えに行く。その帰りに小腹がすいたというので、時折寄った。なので、今日は迎えに来てほしいというときは、夕食を控えて寄った。そこで馴染になって、生ガキが入ったりすると「今日は酢牡蛎どうや。」と、勧められる。そして、その後におかみさんが、「ねえさん、カキ好きかいね?」と、言葉遣いは近所のおばさんである。わたしは牡蠣が大好きなので「大好きです。」と、答えると発泡スチロールの大きな箱を出してきて、「好きなだけ持っていきね。」と、いうので、えぇっ!そんなに食べれるだろうかと蓋を開けると、柿が並んでいた。うちでも柿は採れるのでいらないと言えばよかったのに、カキ違いだった。
ある日、「ぶりトロ」を、頼んだ時、なかなか出てこない。他の人の握りをどんどん握っていて、わたしのぶりトロはどうしたのかなと思っていたら、おかみさんがドンと目の前に皿を置いた。「ぶりかま」だった。そういえば、わたしは大きな声で「ぶりかま」と、言っていた気がする。運転手で酒も飲まないのに、ぶり鎌を頼むかなあ。
ひとりで寿司屋へ行っても楽しくないなあ。今度は友達を誘おう。