開会式後の矢渡しに続き、一的射礼が行われた。立派な先生方でも苦境に立たされることがある。弓の世界は怖い。熟練者でもこういうことがあるが、そうでない者は、こういう状態ばかりなのである。少なくとも、晴れの舞台にすら立てないのである。そんな中で、わたしの後ろのおっちゃんは、先生の歩数を声に出して数えていた。ついに本座から射位までの間まで数えるので、どうしたもんかと思った。
結果はもう神様が決めているとして、わたしはその中で精一杯やりきりたいと思った。友達が2本束ったのを見て、また元気をもらい、練習会場の武道センターへ弓具を持って出かけた。外は夏のように暑い。まぶしい。
巻き藁1本。的前で2射したら矢は気持ちよく伸びて12時あたりへ飛んで行った。2射とも抜けたが胸が割れて気持ち良かった。
前日の審査でM氏の合格の吉報を聞いて、みんな喜んでいた。よかった、よかった。とはいえ、後に続くべき人たちがなかなか束れない。
偶然にもわたしの前が石川県の走る弓道人で、ふたりで出番を待っている時に、わたしが山に登る弓道人になったことを言うと嬉しそうだった。わたし達は互いに伴侶を亡くしているので、何となく身体をくたくたにしてよく眠ろうという気持ちが分かるのだ。2年前はお互いの話をして涙ぐんでいたけれど、今はお互いに逞しくなったと思う。
結果は2本とも落ち着いて引くことが出来て、気持ちよく離れた。束ったが、弓はきれいに回らず技量はまだまだというのは分かるので、とにかく合格発表を見るまで着物を脱げないという楽しみを味わう。教士の部の受審者約520人中、1次審査合格者は25名ほどだった。ここからまた2次審査を突破するのは生半可ではいけないってことだ。
八段では、2名だけが1次審査合格だった。上には上がある。その審査を受ける資格がある人はすごい。きっと人生が弓道で出来ているのだと思う。
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