2015年に発刊された大沢在昌のカルテットシリーズ第1段。
カルテットだけに主な登場人物は4人。
警視庁のクチナワ(蛇)と名乗る車椅子の警視正、
カスミと言う名の17歳の謎の少女、
10歳の時に家族を惨殺され犯人に対する憎しみを
犯罪者を私刑する事に向けている17歳のタケル、
ホウと言う中国残留孤児3世。
タケルは家族を惨殺された後、身体を鍛え、
ぶつけようもない怒りを街にはびこる犯罪者を
痛めつける事に向けている。
そこにクチナワと名乗る車椅子の男が現れ、
効率よくたくさんの極悪人を痛めつけられる情報を伝える。
クチナワはカスミと手を組み法を超えて、
極悪人をやっつける作戦を立て、実行するために
カスミに推薦されたタケルを調べる。
カスミは女性を食い物にしているヤクザ塚本を抹殺するために
タケルに目を付け、さらにホウに近づく。
あるクラブで天才DJのリンのイベントが行われ、
麻薬の市場開拓の為に塚本が糸を引いていたため、
カスミはリンのボディガードを務めるホウを引き込む。
物語はカスミ、タケル、ホウ、クチナワなどの
登場人物ごとに章になっており、
それぞれの視点から書かれている。
読者はそれぞれ共感する登場人物に成り代わったり、
その視点から考えて読み進めたりするものだと思うが、
こうやって書かれていると各人に成り代わって読める。
目的のためには自分をも犠牲にするカスミは、
17歳と言う設定だが幼さはみじんも感じない。
タケルも素手で複数の犯罪者を倒すだけの能力を持つ、
ホウも同等の格闘スキルを持つ。まぁなかなかいないよね。
さらに格闘センスだけでなく頭も使って先を読み、
武器を持つヤクザ者たちをやっつけてしまう。
最初はバラバラだった3人が敵を倒した時には、
お互いに信じあうグループになっていた。
こうしてカルテットが誕生する。
特殊捜査班と言っても警察組織ではなく、
クチナワは警察の人間ではあるが法にのっとらず、
警察の組織ではない素人の、それも若者の力を使って、
悪を追い詰めて行く。
全4編であるが、初版は2編が収められている。
続きが楽しみである。