お知らせ
Naoto Amaki
天木 直人
Naoto Amaki
2015年03月29日
そして誰もいなくなった
中国が提唱したアジアインフラ投資銀行(AIIB)へ英国が電撃参加表明したのは3月12日だった。
その時私は書いた。創設メンバーの仲間入りを競い合うようにして、参加表明国は雪崩を打つだろうと。
それからわずか二週間ほどの間、毎日のように参加表明をする国がニュースを賑わし、ついに、きょう3月29日の報道では、米国の同盟国である韓国も豪州も参加し、台湾、ロシア、ブラジル、そして、スウェーデンまでも参加表明するという。
気がついたら、日本のまわりには誰もいなくなったというわけだ。
このアジアインフラ投資銀行をめぐる日本外交の対米従属ぶりは、今後、長きにわたって、日本外交の大失態として後世に語り継がれるだろう。
もちろん安倍首相、麻生財務相、岸田外相の名前とともに。
その大失態にとどめを刺すような記事を一週間前に見つけたので紹介したい。
すなわち3月22日の朝日新聞「波聞風問(はもんふうもん)」というコラムで吉岡桂子という編集委員が書いていた。
このアジアインフラ投資銀行の事を中国に詳しい日本の外交官から最初に聞いたのは昨年4月末だったことを明らかにした上で、次のようなその外交官の言葉を紹介していたのだ。
「G7の参加はありえない。米国がそんなことはさせない」
何をかいわんやだ。
これが日本の外交のすべてを象徴している(了)
2015年03月29日
問題は何を語るかだ
米議会は3月26日、安倍首相が4月29日に上下両院合同会議で演説すると発表した。
これで、調整中であった念願の米議会演説が確定したわけだ。
ご同慶の至りである。
韓国を含め多くの国の元首は米国の上下両院合同会議で何度も演説しているというから珍しくも何でもない。
しかし、真珠湾攻撃をした日本の首相が上下両院合同会議で演説するのは安倍首相が初めてであるというから、これは安倍首相として名誉な事に違いない。
ちなみに、この安倍首相の議会演説をめぐるこれまでの報道で私が注目した事がある。
つまりあの小泉首相でさえ、演説したかったのに出来なかった、という報道が複数なされている。
私に記憶では、2006年に小泉首相が最後の訪米をしたとき、ブッシュ大統領がお膳立てしたのに小泉首相はそれを断り、そのかわりにエルビスプレスリー記念館を訪問したいと言い出してブッシュ大統領を失望、失笑させた、という記事があった。
それを見た私は小泉首相はなんと愚かな首相であるか、と当時のブログで書いた。
これが完全に間違っていたということなのだろうか。
そして、もしそうなら、安倍首相は念願の「小泉首相超えた首相」を果たしたわけだ。
ますます安倍首相は喜んでいるに違いない。
たとえこの演説実現の為、いかなる「貸し」を米国側につくったとしても、実現出来た事はやはり一つの偉業である。
率直に私はそれを認める。
安倍首相はそれを吹聴して自慢すればいい。
提灯記事がお得意のメディアは、せいぜいその偉業を強調すればいい。
ところが、一向にその気配が無い。
なぜか。
それは、米国議会で何を語るかについて、スタンディングオベーションを受けるに値する内容が見当たらないからだ。
話した後にスタンディングオベーションを得られないようであればしない方がましなのだ。
歴史認識で誤りを認めるのか。安倍談話の発表前にそんなことを米国議会で言えば対米従属だ。
中国や韓国も黙っていない。
日米同盟の強化によってアジアの平和に貢献すると語るのか。
そんな演説をすれば、やはり対米従属だ。
あからさまな自画自賛であり、中国、韓国はもとより、国内の護憲派からも批判される。
こう考えて行くと、安倍首相には米国議会で語るものがない事がわかる。
中味はないのに形ばかりにこだわるのは馬鹿がやることだと相場は決まっている。
米国議会演説にこだわったのはいいが、何を語るかで頭を悩ます安倍首相は劣等生の典型だ。
安倍首相の米国上下両院合同会議での演説は、それが終ってはじめて評価が下される(了)
引用元
http://www.amakiblog.com/archives/2015/03/post_2954.html#track