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日韓間の長年の懸案であった慰安婦問題が「不可逆的に」解決した歴史的外相会談であったというのに、あまりにも異例づくめだ。
合意の内容に関する正式な文書がつくられなかった。
お互いがその立場を述べ会う一方的な共同記者会見でという形で合意内容が発表された。
会談後の共同記者会見においては一切の質問が受けつけられなかった。
最後は両国首脳が会談して首脳会談で合意すべきところを、わずか15分の電話会談で外相会談を歓迎することで済ませた。
何もかもが異例だ。
極めつけは読売新聞が書いていた次のくだりだ。
「・・・日米両政府間では、日米韓の首脳や外相の会談で、内容を確認する文書を交わす案も浮上した。ただ、これには米国が難色を示し、歓迎声明を出す方向で調整することとなった・・・」
なるほど、米国は合意の責任をとらされることから逃げたのだ。
今回の合意は後世の歴史の検証にたえられる、いわゆる一般的な外交合意ではないのだ。
いかにも安倍首相がやりそうなごまかしの妥結ということだ。
それでも、ごまかしが通用するならいい。
よかった、よかったと、褒めつづければいいのである(了)
Posted on 2015年12月29日 Naoto Amaki
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あいまいなままに終わった少女像撤去
11月2日の日韓首脳会談で、全体会合の前に少人数会談を行い、そこで安倍首相みずから少女像撤去が日韓合意の大前提だと朴槿恵大統領に伝えたとスクープしたのは朝日新聞だった。
それが事実であれば今回の合意は安倍首相の大譲歩となる。
なぜならば韓国側は今度の合意でその事を確約していないばかりでなく、日本の対応を見て判断すると言っているからだ。
日本側が日本軍の関与を認め、謝罪し、政府資金で補償する事に応じたにもかかわらず、韓国側が少女像撤去をしないなら、右翼ならずとも、こんな合意は飲めないことになる。
しかし、少なくとも日本大使館の前の慰安婦像はいずれ撤去されることになるだろう。
外交儀礼に関わる問題であるからだ。
その一方で、その他の場所の慰安婦像の撤去や、将来の慰安婦像づくりを止めさせることは、出来ないだろう。
いくら大統領であっても、国民の動きをそこまで命じることは出来ない。
この少女像撤去問題こそ、今後の日韓関係の最大の懸案になっていくに違いない(了)
Posted on 2015年12月29日 Naoto Amaki
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軍の関与を認めてお詫びした安倍首相の衝撃
日韓外相の共同記者会見における岸田外相の発言を知って驚いた。
次のように明確に語ったという。
「慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題で、かかる観点から日本政府は責任を痛感している。安倍首相は日本国の首相として、改めて慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する・・・」(12月29日日経)
これは安倍首相とその子分たちが繰り返してきた従来の主張の全面的撤回であり豹変だ。
きょうの朝日新聞の社説もまっさきにこの発言を取り上げて次のように書いている。
「きのうあった外相会談の後、岸田外相は慰安婦問題を『軍の関与のもと多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題』と定義し、『日本政府は責任を痛感している』と明言した・・・安倍首相は日本の首相として元慰安婦に対し、『心からのおわびと反省』を表明した。かつて慰安婦問題をめぐる『河野談話』の見直しに言及した事もある安倍首相だが、岸田外相を通じてとはいえ、談話の核心部分を韓国で表明したことには大きな意味がある・・・」
大きな意味どころではない。
これまでの方針の全面否定であり、完全な転換である。
これで韓国側が評価しないはずがない。
おまけに当初は日韓両政府が共同で拠出すると報道されていた補償基金については、日本政府が一方的に政府資金を支払うことになり、その額も10億円に増額された。
従来のどの日本政府の対応よりも韓国の要望を聞入れている。
韓国政府が妥結するはずだ。
これで元慰安婦側が反発するようでは、批判は元慰安婦側に向かうだろう。
村山富市氏が評価したのもうなずける。
私の最大の関心事は、慰安婦強制などなかったと強弁して来た安倍支持者の右翼たちがどう反応するかだ。
誤報を認め、謝罪して、新聞社として自滅した朝日新聞がどう反応するかだ。
それほど大きな意味を持つ、安倍首相の方針転換の衝撃である(了)
Posted on 2015年12月29日 Naoto Amaki
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「安倍首相はよくやった」と褒め殺せばいいだけの話だ
繰り返して書くように、今度の慰安婦問題の突然の「妥結」の背景に、米国の強い圧力があったことが分かった時点で、すべてシナリオは決まっていたということだ。
それでも、報道を見る限り、今度の「妥結」は突っ込みどころが満載である。
それについては一つ一つ書いていきたいが、まずその最大のものは、今度の妥結は安倍談話の顛末とまったく同じだということだ。
何が同じか。
大騒ぎした末の安倍首相の腰砕けである。
あれほど強硬姿勢を繰り返していた安倍首相が、終わって見れば全面譲歩だ。
こんな妥結ができるのなら、とっととはやく妥結しておけ、ということだ。
しかし、安倍談話の時と同じで、今度の妥結を批判してはいけない。
よかった、よかった、と褒め倒せばいいのだ。
もう後戻りは出来ない。
もし稲田朋美や安倍側近が少しでも慰安婦強制はなかったなどと言い出せば、すべてがぶち壊しになる。
不可逆的な解決を、みずから破ることになる。
そんな事をすれば今度こそ米国が怒り出す。
だから、安倍首相はよく決断した、よかった、よかった、と言うだけでいいのだ。
たとえそれが本心ではなく、米国に命じられていやいや従ったとしても、勇気ある政治決断だと褒めあげればいいのだ。
70年談話では批判的だった村山富市氏も、今度の妥結は、「よかった」と真っ先にコメントしている。
それでいいのだ。
もっとも、村山富市氏に評価されるようでは、安倍首相もお終いである(了)
Posted on 2015年12月29日 Naoto Amaki
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