この時期に「せき」や「息切れ」の症状が現れたら、かぜやぜんそくを疑うだろう。しかし、寒くなって羽毛布団やダウンジャケットを使い始めて症状が悪化したようなら「鳥関連過敏性肺炎」の可能性もある。

 【原因はフンや羽毛】

 この病気は、カビを吸い込んで起こる「夏型過敏性肺炎」や、牧草にいる細菌を吸い込んで起こる「農夫肺」などと同じ、過敏性肺炎の一種。「鳥飼病」とも呼ばれている。過敏性肺炎に詳しい「池袋大谷クリニック」(東京)の大谷義夫院長が説明する。

 「原因となる抗原(物質)は鳥のフンや羽毛に含まれる鳥由来のタンパク質です。それを吸い込むことで、体内に抗体ができて発症するアレルギー性の間質性肺炎です」

 鳥の種類は問わず、ハト、インコ、ニワトリ、野鳥など、鳥であれば何でも原因になるという。

 【肺の線維(せんい)化が怖い】

 では、どれくらい抗原を吸い込んでいると体内に抗体ができるのか。

  「鳥を飼っている場合、抗体ができる暴露(ばくろ)期間は最低2年です。ですから、いま飼っていなくても過去に飼っていれば抗体をもつ可能性があります。 そのような人が冬になって、羽毛布団やダウンジャケットなどの羽毛製品を使うことで肺炎の症状が悪化することがあるのです」

 間質性肺炎とは、肺胞と毛細血管を取り囲む「間質」という組織に炎症が起こる肺炎。原因不明の間質性肺炎は「特発性間質性肺炎」と呼ばれ難病指定されているが、その中に鳥関連過敏性肺炎が含まれている可能性があるという。

 「間質性肺炎でも肺の組織が固くなる肺線維症になると予後が悪い。肺の線維化がひどいと5年生存率が50%くらいになってしまいます」

 【抗原の除去が重要】

 特発性間質性肺炎と診断されたら、鳥関連過敏性肺炎も疑うことが大切。自費(保険適用外)になるが、一般の医療機関でも血液検査で抗体の有無を調べることができるという。

 「鳥関連過敏性肺炎の疑いがあれば、鳥が群れるような場所には近づかない、フンなどの抗原の除去、羽毛製品は使わないなどの身の回りの対策が重要になります」

 発症者の中には、自宅の屋根裏にムクドリが巣を作っていることに気づかなかったケースもあったという。庭に実をつける木があれば、鳥がこないように切ることも対策になる。

 「肺炎の治療にはステロイド(内服)などを使いますが、急性か慢性かによっても効果が違ってきます。場合によっては、ステロイドを年単位で使って線維化を遅らせるようなことも行います」

 肺線維症になると元に戻らないだけでなく、肺がんの発生率も増えるので十分注意しよう。

 《鳥関連過敏性肺炎の主な発症要因》 ★過去2年以上鳥を飼ったことがある ★住居周辺に鳥が群れている場所がある ★ベランダなどに鳥のフンが多くある ★鳥の剥製(はくせい)が部屋にある ★家庭菜園などで鶏フン肥料を使用している

 

「せき」や「息切れ」の症状が有ったら皆さん、羽毛布団やダウンジャケットが原因かも分かりません。一度確認して見てください。