■自律神経の発達が免疫力を高める
いくら子どもは大人より体温が高いとはいえ、厳寒の中薄着をさせたら、体を冷やしてしまうのではないだろうか。
「子どもは体温が高く、大人が思うほど寒さを感じないのは事実です。しかし、“強い子”を、風邪をひかない健康な子どもと仮定すると、強い子が育ちやすい服装には個人差があり、一概に薄着がよいとは言い切れません」(鈴木さん)
では、個人差とはどのように生まれるのだろう。例えば、遺伝や体質、習慣、環境などは関係するのだろうか。
「遺伝や体質などではなく、自律神経の働きが大きく影響します。恒温動物である人間は、自律神経の働きにより体温や脈拍、血流を微調整しながら気温の変化 に順応しているので、自律神経が未発達な子どもに過度な薄着をさせると、風邪をひいてしまいます。お子さんの体調や体感温度を確認しながら、少しずつ着衣 量を減らしていくのがよいでしょう。薄着になると皮膚が寒さから刺激を受け、自律神経が鍛えられて少しずつ気温の変化に順応できるようになります」(鈴木 さん)
強い体を作るためには、それぞれに応じて少しずつ衣服の数を減らし、自律神経の発達を促すとよいとのこと。
「季節を問わず規則的な運動習慣で体力をつけると、室内と屋外の気温差に適応する能力を増進させることができます。また運動に加え、栄養バランスの取れた 食事や質のよい睡眠は自律神経をバランスよく発達させ、内分泌の機能や免疫力を向上させる効果があるため、病気にかかりにくい体を作ります」(鈴木さん)
自律神経をバランスよく発達させるためには、日頃の生活習慣も大切なのだ。
■乾布摩擦もひとつのツール
薄着や生活習慣に気を配るだけでなく、「乾布摩擦」に取り組んだら、さらに皮膚に刺激を与え自律神経がより鍛えられるのではないだろうか。その点についても鈴木さんに質問した。
「乾布摩擦は医学的に風邪予防や免疫増強などが立証されているわけではありません。しかし血管が拡張して体が温まる上、脳の迷走神経が刺激されて自律神経の機能が高められる効果があります」(鈴木さん)
薄着の概念同様、自律神経の発達を促すひとつの手段として、取り入れてみるのもよさそうだ。
「乾布摩擦をすると寒さに強くなるほか、免疫力や新陳代謝が上がるため、風邪や喘息の予防、冷え症、肩こりの緩和、リラックス、安眠、ダイエット効果など が期待できます。しかし皮膚は摩擦しすぎると肥厚するなどの皮膚トラブルを起こす可能性があるため、特に肌が弱い人やアトピー性皮膚炎の人は強くこすりす ぎてはいけません」(鈴木さん)
目安は、イタ気持ちよく感じられる程度で十分だ。素肌ではなく下着などを着たまま行っても同様の効果が得られる。手足の先端など心臓から遠い部分から少しずつ体の中心に向かい、最後はお腹から心臓に向けて行うとより効果的のようだ。
鈴木医師の見解は上記であったが、皆さんはどう思うだろうか。「教えて!goo」では、「冬でも半そで短パンでお子さんが過ごしている方、教えてください。冬でも半そで短パン?」という質問とともに、ユーザーの皆さんの回答も紹介中だ。
●専門家プロフィール:鈴木 飛鳥
内科医。医療法人長岡内科医院院長。生活習慣病、肺炎などの感染症の 治療や消化器疾患の治療を得意分野とする。安心・安全で質の高い医療を提供し、地域医療に貢献することに力を注いでいる。
教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)