毎日新聞 1/17(火) 22:46配信
厚生労働省は17日、C型肝炎治療の飲み薬「ハーボニー配合錠」の偽造品が奈良県内の調剤薬局で見つかったと発表した。偽造品が入ったボトルは正規品で、流通過程で中身がすり替えられていたとみられ、全国に出回っている可能性がある。同省とともに記者会見した製造販売元のギリアド・サイエンシズ(東京都)は、商標法違反容疑などで告訴を検討していることを明らかにした。 偽造品の成分は調査中だが、患者の服用や健康被害の報告は確認されていないという。 発表によると、偽造品が見つかったのは、同県内で展開する薬局チェーンの店舗と本部。今月10日、医師の処方箋を持参して購入した患者が、錠剤の色がいつもと違うことに気付き、飲まずに薬局に報告して発覚した。系列店などを調べると、さらに4本のボトルに偽造品が入っていることが確認された。 このチェーンは、ギリアド社と直接の取引はない複数の卸業者から購入していた。5本のボトルはすべて正規品で、ラベルも偽造した1枚を除く4枚が製造番号が記された正規のものだった。同社は「製造ラインでは起こり得ない事態」とし、流通過程で誰かが中身だけすり替えた可能性があるとみている。偽造品は形や色が異なり、同じ成分が含まれる同社のC型肝炎治療薬「ソバルディ」と同じ刻印がされた錠剤もあった。成分は不明だが、見た目は本物と同じ錠剤が一緒に入っているボトルもあった。また、正規品のボトルの口を覆うアルミシールは指ではがせないほど固いが、偽造品入りのボトルは簡単にはがせたという。 ハーボニーは効果が高いが高額な薬として知られ、同じく高額のソバルディでは生活保護制度を悪用して無料で処方を受け転売する詐欺事件も起きている。同社は専用ホットライン(0120・631・042)を設置し、患者などから24時間問い合わせを受け付けている。【熊谷豪】
今の世の中悪いことを企む人間が多すぎます。C型肝炎を患っている人を困らせるようなことは止めるべきです。
【ことば】ハーボニー
国内に推計100万人以上いるC型肝炎の治療薬として2015年9月に発売された。同じ成分を含む新薬「ソバルディ」と合わせ、完治が難しかったC型肝炎の治療効果が劇的に上がったとされる。しかし1錠約8万円と高額で、厚生労働省の特例により16年4月から薬価が5万円台に引き下げられた。医療情報会社IMSジャパンによると、15年10月以降の四半期売り上げは4期連続で全医療用医薬品中トップだった。