護憲派はいまこそ天皇のお言葉を特別立法で実現せよ
天皇陛下のお言葉を逆手にとって、安倍首相は有識者会議とメディアを使って、今上天皇の退位に向けて急速に暴走しているごとくだ。
なぜそんなに急ぐのか。
それは、今上天皇を自分より早く退位させ、その後は憂いなく自らの改憲的な政策を進めようと考えているからだ。
このままいけばあと2年足らずでこの国の形がすっかり変わることになる。
2年後の日本には、今上天皇の姿はなく、安倍政権の一強支配が続いている。
まさしく、思惑通りだ。
この安倍首相の思惑をくじくにはどうすればいいか。
そのカギは天皇陛下のお言葉の原点に立ちかえることだ。
いま有識者会議やメディアが盛んに流しているのは、特別立法による一代限りの退位だ。
それに対し、皇室典範改正による退位や、後に続く天皇にも退位を認めるべきだ、といった意見も出されている。
しかし、それらの議論は、天皇制というものを考える時に重要な論点であるに違いないが、どっちに転んでも、今上天皇があのお言葉で投げかけられた一番重要な問題提起に応えるものではない。
今上天皇が、政治的介入だという批判を敢えて甘受してまで懸命に国民に訴えられた問題が、完全に抜け落ちている。
というよりも意図的に封印されている。
あのお言葉で今上天皇がはっきり国民に問いかけられたものは何か。
それは、象徴天皇の役割として一番重要な事は、憲法9条の精神を実行することであると自分は考え実践してきたが、国民はどう思うか、ということだ。
もちろん、その裏には、国民がそれに賛同し、自分の後に続く天皇もそれを実践して欲しいという思いがあることは言うまでもない。
そしてそれは、誰が見ても安倍首相のやろうとしている政策の対極にあるものだ。
このことは、当時のあらゆるメディアが直接、間接に書いていた。
安倍首相はもとより、有識者もメディアもその事を知らないはずがない。
しかし、そのお言葉の本質について、いつの間にか誰も口にしなくなった。
お言葉の本質が全く無視されたまま、今上天皇の退位が既成事実化してしまった。
これほど今上天皇をないがしろにしたことはない。
護憲政党は、もし自らの護憲精神が本物なら、いまこそ今上天皇の思いに寄り添って、そのお言葉を実現するよう政治の場で訴えるべきだ。
どうすればいいか。
それは簡単だ。
特別立法の中で、なんらかの形で、「日本の国是は護憲精神にある」という趣旨の文言を規定するよう求めるのだ。
たとえ本文の中に明記できなくても、補足規定や、付帯決議でもいい。
たとえ、その要求が安倍政権に一蹴されるとしても、そういう提案をしたということが国会議事録に残ればいいのだ。
今上天皇の在位中に今上天皇に伝わればいいのだ。
私はこれから始まる国会審議を注視している。
もしどの政党も、政治家も、天皇のお言葉の本質に言及せず、安倍首相は天皇のお言葉に反する事をしている、という問題提起をしないようであれば、私は記者 会見を開き、新党憲法9条の結党宣言をして、この政党の目的は憲法9条をこの国の国是とすることだ、天皇のお言葉の実現を目指す政党だと日本国中に訴える つもりである。
新党憲法9条は、今年に入って急展開を見せ、もはやいつでも記者会見を開ける段階にある。
そして、来る衆院選で東京ブロックで4人の候補者を立て、必ずひとりは当選させられる状態が出来つつある。
今上天皇の護憲の思いが後押ししてくれたのだ。
私はそう確信している(了)