04月11日 13:49
はしかワクチン接種の必要性
(産経新聞)
高熱や発疹を引き起こすウイルス感染症、はしか(麻疹)。日本は平成27年、世界保健機関(WHO)から、国内に土着するウイルスの「排除状態」にあると認定されたが、昨年以降、海外渡航者を通じた感染が相次いで確認されている。今年3月以降は山形県を中心に感染が広がり、関係機関が注意を呼びかけている。(三品貴志) ◇
◆1都6県で55
山形を中心としたはしかの感染源とみられるのは、横浜市の20代の男性。男性はインドネシアのバリ島から2月26日に帰国、4日後の3月2日から山形県内の宿泊施設に滞在して自動車教習所に通い、9日にはしかと診断された。 その後、宿泊施設や教習所の従業員、利用者を中心に、はしかの症状を訴える人が次々に出てきた。山形県によると、今月8日時点で、山形、宮城、埼玉、三重、滋賀、東京、神奈川の1都6県で計55人の感染を確認。3次感染者も出ている。山形県薬務・感染症対策室は「高熱や発疹など疑わしい症状が出た場合、必ず事前に医療機関に連絡した上で受診してほしい。空気感染するため、公共交通機関の利用は控えてほしい」と呼びかけている。
◆昨年は関空で
昨年8〜9月には、大阪の関西国際空港を中心に、30人以上に集団感染が広がった。国立感染症研究所などによると、はしかの感染力は極めて強く、免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ防できず、ワクチン接種が最も効果的な予防法とされる。はしかは10〜12日の潜伏期間の後、発熱やせき、鼻水といった風邪に似た症状が2〜4日続く。その後、いったん熱は下がるが、再び39度以上の高熱が出て全身に発疹が広がる。ほとんどの人は10日前後で回復するが、肺炎や中耳炎を合併しやすく、重症化する場合もある。妊婦の場合は流産や早産を引き起こす恐れがあり、いっそうの注意が必要だ。妊婦はワクチンを接種できないため、厚生労働省は「流行時には外出を避け、人混みに近づかないようにするなどの注意が必要」と強調。同時に、「はしかにかかったことがなく、ワクチンを1回も受けたことのない人は、かかりつけの医師に相談を」としている。
◆母子手帳で確認
帝京大学大学院公衆衛生学研究科の高橋謙造准教授(公衆衛生・母子保健)は「はしかに対する特別な治療法はない。妊婦に加え、1歳未満の乳児は重症化する恐れがある。特に保護者は子供に感染させないためにも、自分の母子健康手帳でワクチン接種歴を確認してほしい」と話す。 はしかのワクチンは現在、はしかと風疹両方の免疫をつける「MRワクチン」が一般的で、定期接種として1歳と小学校入学前1年間の計2回、受けられる。 2回接種はより確実に免疫を得られることが期待されるが、本格的に導入されたのは平成16年度以降。高橋准教授によると、現在の20代後半から30代にかけての世代は接種回数にばらつきもみられるという。 MRワクチンは昨年の関空での集団感染などを受けて一時、不足が懸念されたが、厚労省予防接種室は「状況は改善傾向にあり、現時点でワクチンの供給停止や不足が生じているとは把握していない」としている。 一方、今回、山形を中心に広がった感染者の約8割は、免疫はあったが不十分なために感染してしまう「修飾麻疹」とみられている。 高橋准教授は「修飾麻疹は通常の麻疹に比べると軽症だが、ウイルスを広めないために、不要な外出や人との接触は控えてほしい」と話している。』
今日本で、なぜはしかの免疫の無い人が、増加し、拡大流行しているのでしょうか。