「逆流性食道炎」とはどのような症状? 原因や治療法は?
10月16日 18:30
「逆流性食道炎」とはどのような症状? 原因や治療法は?
(Mocosuku Woman)
執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
近年、食生活の変化を背景に日本人に増えているといわれている「逆流性食道炎」。
胸やけが続いているあなた、それは逆流性食道炎のサインかもしれません。
年配の方だけではなく、若い人にも起こりうるといわれている逆流性食道炎について詳しくみていきましょう。
◆逆流性食道炎とは?
食道は、口から摂った食べものを胃まで送るための消化管です。
食べたものを蠕動運動(ぜんどううんどう)で送り込み、逆流しないようにする働きも担っています。
また、食道と胃の間には「下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)」という筋肉があり、食べたものや胃酸など胃の内容物が逆流しないような構造になっています。
ところが、何らかの原因で下部食道括約筋がゆるみ、胃の内容物が逆流したり、胃酸が過剰に分泌され、食道粘膜に炎症やただれを起こしたりすることがあります。
これが「逆流性食道炎」です。
◆逆流性食道炎の症状とは?
胃酸には、食べものを消化する酸性の強い塩酸と消化酵素が含まれています。
胃には胃酸から胃粘膜を防御する機能がありますが、食道には防御機能がありません。
そのため、胃酸が逆流することによって、逆流性食道炎の特徴といわれる次のような症状が起こります。
・胸やけ
みぞおちから胸にかけて焼け付くような、熱くなるような不快感
・呑酸(どんさん)
のどまで胃酸があがってくる感じ
また、食道だけでなく、その周辺にも次の症状がみられることがあります。
このような食道以外の症状で病院を受診したら、逆流性食道炎が原因だったということもあるようです。
・やけるような胃やのどの痛み
・胸の痛み
・中耳炎
◆逆流性食道炎の原因
先に述べたように、逆流性食道炎は下部食道括約筋のゆるみや、胃酸の過剰な分泌によって引き起こされます。
それでは、なぜこのようなことが起こってしまうのか、その原因をご紹介しましょう。
<下部食道括約筋がゆるむ原因>
・加齢
・食道裂孔ヘルニア(胃の上部が本来位置する横隔膜よりも上に突出してしまっている状態)
・猫背など前かがみの姿勢
・腹部のしめつけや圧迫(肥満や妊娠などが影響)
・脂肪分の多い食事
<胃酸が過剰に分泌される原因>
・脂肪分の多い食事
・食べすぎ
・喫煙
・ストレス
・アルコールやコーヒー、香辛料など刺激物の摂りすぎ
・不規則な生活
◆若い人が逆流性食道炎を発症する理由:肥満との関係
下部食道括約筋のゆるみは加齢の影響を大きく受けるため、高齢になってから逆流性食道炎を発症することは珍しくありません。
ところが、冒頭で述べたように、若い世代でも逆流性食道炎を発症する人がいます。
その理由として挙げられるのが、脂肪の摂取量が多い食事の増加や肥満です。
とくに肥満の方は、次の理由で逆流性食道炎を発症しやすいと考えられています。
・食べすぎているため、胃酸の分泌が多い
・脂肪分の多いものを摂取し、食道括約筋がゆるんでいる
・腹部についた余分な脂肪が胃を圧迫している
◆逆流性食道炎の治療法と日常生活のポイント
胃酸が逆流して食道がただれたり、炎症が起きたりしている場合は、胃酸の分泌を抑える薬や、胃の粘膜を保護する薬を用いた薬物療法が行われます。
加えて、日常生活での注意も必要です。次のポイントに注意しましょう。
・脂肪分の多い食事をとりすぎない
・規則正しい生活を送る
・寝る直前に食事をとらない(就寝3時間前には食事を済ませる)
・よく噛み、ゆっくりと食べる、食べすぎない
・アルコールやコーヒーなどの刺激物を減らす
・適度な運動で肥満を解消する
・ベルトなどお腹を締めつけるものを身につけない
以上のことに注意していても、不快な症状が続く、あるいは気になる症状がみられる方は、早めに消化器内科を受診するようにしましょう。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
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