五輪を中止してコロナ対策費に回そう(上)<本澤二郎の「日本の風景」(3961)
<電通オリンピック・経済優先で墓穴を掘った菅義偉内閣>
筆者が五輪返上論を提起したのは、2019年3月25日のことだった。子供や若者たちに夢や希望を与える健全なスポーツ大会とは無縁の、商魂たくましい利権のスポーツ大会ということだけではなく、五輪獲得にさいして道義的倫理的にも、恥ずべき裏工作で勝ち取った、不浄極まりないものだったからだ。発祥の地・ギリシャのアテネに返上することが、日本国民の総意に違いないと判断したからである。
311による東電福島原発の大爆発炎上を安倍晋三は、日本を代表して「アンダーコントロールできている」とほざいたものである。とんでもない大嘘である。1000もの汚染水タンクはあふれている。これを海に投機しようとしている。
それどころではない。3号機の東芝製原発は核爆発を起こし、中性子を放射させ、猛毒のプルトニウムを飛散させていた。原子炉の燃料は、ウランではなくプルトニウム混在のMOX燃料だった。廃炉さえも不可能にさせている。
このことだけでも日本の前途は、暗雲が垂れ込めている。打つ手なしだ。よくぞ安倍は、世界に向かって「安全」といえたものである。彼は、普通の心臓の持ち主ではない。鬼か悪魔に相違ない。
さらに国際オリンピック委員会関係者に大金を握らせて、賛成票を獲得したことも発覚した。賄賂提供である。フランス検察の捜査で、既に日本オリンピック委員会の会長は、首になっている。「捜査の手は、森喜朗や安倍、石原慎太郎ら清和会に伸びている」と見られている。
そこにウイルスという手ごわい相手が現れた。最近の人気アニメ「鬼滅の刃」である。まるで因果応報を裏付けるような、電通五輪退治を予想させるではないか。
2019年秋から冬にかけて、新型コロナウイルスが襲来した。2020年の東京五輪は、1年延期となった。2021年を迎えてその猛威は止まらない。
<新聞テレビを牛耳ってもコロナは退治できない>
負け惜しみのような安倍の後継者・菅義偉らの、五輪強行論で「コロナに打ち勝った証としたい」という虚しいばかりの言葉が、空を切っている。
電通にひれ伏す日本の新聞テレビやスポーツ新聞が、必死で笛や太鼓ではやし立てても、人びとは踊ってくれない。国民は、それどころではない。命が危ないのだ。無事に2021年を越せるのか、に懸命なのである。
安倍晋三のいい加減なコロナ対応を継承した菅も、その延長線で指揮を執っているに過ぎない。マスコミを躍らせても、コロナは姿を消してくれない。
なんでもワシントンにひれ伏してきた日本政府・財閥・言論人も、コロナ対策で学べる材料はない。ワシントンがコロナで政権が、共和党から民主党に代わってしまったのだから。安倍が首相として宣伝した、仲間の富士フイルムのワクチン?は見事にはねられてしまった。株のインサイダー取引か、という疑惑を呼んでいるという。
<GoToキャンペーンで急増した新型コロナウイルス感染者>
菅と、もう一人の二階のコロナ対策は、GoToトラベルとGoToイートだった。
富裕層向けに血税を投入した愚策である。日本破滅に突進する財務省と真っ黒な黒田・日銀に、福沢諭吉の絵を無尽蔵に印刷させての暴政に声も出ないが、それを7年8か月ウルトラ超金融緩和を継続させている。
こんなことがまかり通るのであれば、貨幣経済の人間社会も終わりである。極右の清和会政治・神社本庁日本会議・創価学会のカルト政治の、無様すぎる正体を見せつけて余りあろう。
今は誰も認識している。血税を使ってのGoToは、コロナ拡大に好機を提供したことにある。つまりは、これを容認した政府の専門家会議のレベルの低さからすると、彼ら疫学の専門家は、間違いなく生体実験で勇名をはせた731部隊の後裔に違いないだろう?
<二兎を追うもの一兎も得ず、電通五輪に暗雲>
古来より二兎を追う者は一兎をも得ず、と言われてきた。電通五輪を強行するための経済優先と、反対に人々の命を守る政策を、共に成功させることは出来ない。
経済優先策は、すなわち電通五輪強行策である。結果、新型コロナウイルスは急増することになるのである。これくらいのことが、なぜわからないのか。
コロナは、人間に住みつくことで生きている。個々の人間の自覚と完ぺきな防御が不可欠となる。政府も専門家も、防御する人間の環境を提供することが役目である。
経済優先は、人々の防御環境を破壊する。よってコロナは、容易に人間の体内に住みつくことが出来る。日本政府の対策は、コロナを喜ばせているのである。五輪強行策は、新型コロナウイルスの繁栄をもたらしている。
2021年1月11日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)
菅義偉首相は7日の記者会見で、緊急事態宣言発令を受け、東京五輪・パラリンピックの開催方針について問われ、「感染対策を万全にし、安全・安心な大会を実現したい」と改めて決意を示した。 (時事)
2021/01/06 13:5加藤勝信官房長官は6日の記者会見で、新型コロナウイルスの緊急事態宣言発令は、夏の東京五輪・パラリンピックの開催判断に影響しないとの認識を示した。加藤氏は東京大会を開く方針に変わりはないことを強調した上で、宣言について「現下の(首都圏)1都3県を中心とした新規感染者の発生状況を踏まえて判断している」と説明。ただ、開催の在り方に関し「国内外の感染状況の影響も受ける」と指摘した。
【ジュネーブ共同】新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、今夏の東京五輪開催に海外メディアから懐疑論が出始めている。首都圏1都3県に緊急事態が宣言された7日、AP通信は「ウイルスの急速な広がりが五輪の計画を危うくしている」と報じた。中止や再延期を否定する国際オリンピック委員会(IOC)や政府、大会組織委員会と、開催に否定的な国内世論との温度差を指摘する報道も目立つ。
(BBCニュース)今夏開催予定の東京オリンピック・パラリンピックについて、国際オリンピック委員会(IOC)最古参のディック・パウンド委員は、開催できるかは不透明だとの見解を示した。