包装用紙などを主力とした製紙会社の大興製紙(静岡県富士市上横割)は15日、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。負債総額は約140億円。原料価格の高騰や販売競争の激化などにより業績低迷が続き、新型コロナウイルスによる紙製品の需要の落ち込みなどから資金繰りが困難になったという。

 同社によると、同地裁から保全処分などが出た。営業は継続し、段ボール大手の「レンゴー」(大阪市)などの支援で再建を目指すという。塩川好久社長は同日夜の会見で「事業を再建できるよう、従業員一同、全力で取り組んでいく」と語り、事業再建については「国内需要の落ち込みで、やむなく利益率の悪い輸出に回さざるを得なかったが、レンゴーの系列などの国内需要の方にできるだけ回したい」と述べた。199人いる従業員のリストラや工場規模の縮小は今のところ考えていないという。

 東京商工リサーチ沼津支店などによると1950年設立の大興製紙は包装用紙や産業用紙などが主力で、紙袋などに使われるクラフト紙のシェアは国内トップクラスという。1985年3月期の売上高は約198億円だったが、需要減などで2010年3月期以降は130億円前後で推移。他社との価格競争や原料価格の乱高下で2020年3月期の売上高は約122億円まで減少し、5期連続で最終赤字を計上していた。

 新型コロナの感染拡大に伴う制度融資などを活用したが売り上げ回復には至らず、自力での再建を断念したという。(和田翔太、六分一真史)