飲食店の倒産件数は
過去最多を更新

 過去20年間で倒産件数が最も少なかった2020年には、倒産件数が過去最多となった業種がいくつかあった。

 その代表が「飲食店」だ。全国に約140万店あるともいわれる飲食店は、もともと参入障壁が低い上ブームの入れ替わりが激しく、さらに近年は少子化に伴う人出不足に陥る事業者の増加も相まって、2019年に過去最多となる732件を記録。さらに2020年は新型コロナウイルスの影響を大きく受けたことで780件と2年連続で過去最多を更新した。

 

 780件を業態別に見ると「酒場・ビヤホール」(189件)、中華料理店、ラーメン店、カレー店、焼き肉店などの「中華・東洋料理店」(105件)、レストラン、フランス料理、イタリア料理などの「西洋料理店」(100件)、天ぷら、うなぎ、カニ、とんかつ、沖縄料理などの「日本料理店」(79件)、「バー・キャバレー」(69件)、「喫茶店」(68件)などが多く、「酒場・ビヤホール」「日本料理店」「喫茶店」の3業態の件数は過去最多となった。

 大勢で集まる飲み会での飛沫(ひまつ)への懸念や感染防止のため接待など部外者との交流の場が減少した影響が大きく表れているようだ。

 また、所在地別(都道府県別)では、東京(139件)、大阪(126件)、愛知(60件)、兵庫(58件)、京都(41件)と続き、東京と大阪で全体の34.0%を占めた。

 業歴別(設立から倒産までの期間)では、10年未満が268件(構成比34.4%)、30年以上が186件(同23.8%)を占めたほか、負債規模別に見ると、負債5000万円未満が620件(構成比79.5%)を占めた一方、10億円を超える倒産はわずか4件のみで、ほとんどが零細事業者で占められている。

 個人経営を含めた零細事業者が大半を占める飲食業界が第3波による緊急事態宣言の影響を最も大きく受けるなか、2021年も引き続き飲食店の倒産件数は極めて高水準に推移するだろう。そして、特に東京、大阪の都市部における飲食店の倒産動向が2021年の全国の倒産動向を左右する大きなカギを握ることになるはずだ。