滋賀県庁
滋賀県造林公社が県などに対して抱えている債務188億円のうち、返済可能な額は最大でも20億8千万円にとどまることが9月13日、同公社の試算で分かった。売却して債務弁済にあてる木の伐採コストが上昇しているほか、伐採可能な量が想定より少ないことなどが要因という。試算通りならば、県の債権の9割近くが回収不能になる。 【写真】債務まみれの組織をどうするのか…話し合い 同公社は、滋賀県などの出資で1965年に設立された。債務弁済に行き詰まり、すでに滋賀、大阪、兵庫の各府県などが債権の約8割を放棄しているが、滋賀県に対する約186億円、兵庫県に対する約2億円の債務が残っている。 2011年に同公社が策定した長期経営計画では、68年度の全額返済を目指すとしていた。だが、公社の理事長を務める三日月大造知事は今年2月、債務の大半が弁済困難であることを明らかにしていた。 試算は、公社の今後の方向性を議論しようと、県が有識者らを交えて立ち上げた「県分収造林事業あり方検討委員会」の初回会合で示された。 15年に木の伐採を始めたが収益が伸びず、23年度末までの債務返済額は4億5千万円と、計画の31%にとどまった。人件費の高騰や木の成長不足のほか、採算面から木の搬出方法を変更したことで伐採可能エリアが狭まったことなどが原因といい、このまま推移すれば、完済目標の68年度末までに返済できる額は最大で20億8千万円、最小の場合は12億9千万円になると報告された。 あり方検討委員会は来年夏までに5回会合を開き、弁済不能な債務の取り扱いや、公社の今後などについて三日月知事に報告する。会長の立花敏・京都大教授(林政学)は「公社を存続させるべきかどうか、廃止する場合は今ある森林をどうするのか。県民にとってどんな形が一番良いのかを考えていきたい」と話した。
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