ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ザ・リターン・オヴ・ハワード・マギー

2024-09-07 15:35:44 | ジャズ(ビバップ)

本日はハワード・マギーです。ディジー・ガレスピー、ファッツ・ナヴァロと並んでビバップ期を代表するトランぺッターで、本ブログでも紹介したチャーリー・パーカーのダイヤル・セッション等にも参加しています。ただ、彼も同時代の多くのジャズマンと同じように麻薬で道を踏み外し、1950年代に入ると一線から遠ざかるようになります。本作「ザ・リターン・オヴ・ハワード・マギー」はタイトルが示すようにマギーの数年ぶりの復帰作で1955年10月ににベツレヘム・レコードに吹き込まれたものです。ただ、その後のマギーがハードパップシーンでバリバリ活躍したかと言われるとそうではなく、この後再び麻薬禍に苦しみ、本格的に復帰するのは1960年代になってからです。

2管編成で相方に選ばれたのはバリトンサックスのサヒブ・シハブ、リズムセクションはデューク・ジョーダン(ピアノ)、パーシー・ヒース(ベース)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ドラム)と言う布陣です。ジャケットはベツレヘムの名物デザイナー、バート・ゴールドブラットによるもので、トランペットを吹くマギーの顔面をドアップにしたものですが、あまりにも近寄り過ぎで最初は何の絵面か分かりませんでした。

全11曲。スタンダードが6曲、マギーの自作曲が5曲です。全体的に2~3分程度の短い演奏がメインで、マギーのややオールドファッションなトランペットと相まって40年代風のビバップです。おススメは自作曲ではタヒチと言うよりややカリビアン調の"Tahitian Lullaby"、ほのぼのバラードの”You’re Teasing Me"等です。スタンダードではコールマン・ホーキンスの”Rifftide”とクリフォード・ブラウンの名演で知られる”I'll Remember April”が5分を超える熱演で各人のソロを存分に聴くことができます。

サイドマンでは後年デンマークに移住するサヒブ・シハブ(過去ブログ参照)がブリブリとバリトンを吹き鳴らしています。また、ビバップ期から活躍するデューク・ジョーダンもきらりと光るピアノソロを随所で聴かせてくれます。偶然ですがジョーダンも後にデンマークに移住し、スティープルチェイス・レコードの顔となります。リーダーのマギーはと言うと、その後も離脱と復帰を繰り返しながら1970年代まで活動していたらしいですが、大きな成功を収めることはできませんでした。結局40年代の名声を取り戻すことはありませんでしたが、早々に世を去ったかつての仲間達(パーカー、ナヴァロ、ワーデル・グレイ)に比べれば長生きできただけ幸せだったかもしれません。

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