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ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ソニー・ロリンズ&ザ・コンテンポラリー・リーダーズ

2024-09-25 18:34:56 | ジャズ(ハードバップ)

1950年代のソニー・ロリンズは最初はプレスティッジ、ついでブルーノートに傑作群を残しますが、一方でリヴァーサイドに2枚、西海岸のコンテンポラリーにも2枚と様々なレーベルに足跡を残しています。コンテンポラリー・レコードのうち1枚はロリンズがカウボーイの格好をしたジャケットで有名な「ウェイ・アウト・ウェスト」で、レイ・ブラウン(ベース)とシェリー・マン(ドラム)と組んだピアノレス・トリオの先駆け的作品として名盤特集にもよく取り上げられています。ただ、私はこの作品はそんなに好きではないのです。と言うより基本ピアノのないジャズはあまり好んで聴きませんね。何と言うか、どこか物足りないんですよね。たとえソロを取らずともバックのリズムセクションでもピアノがあるかないかで音がだいぶ変わります。ロリンズはこの後ブルーノートに「ヴィレッジ・ヴァンガードの夜」、リヴァーサイドに「フリーダム・スイート」と立て続けにピアノレス・トリオを発表し、評論家筋からは名盤と称されていますが、私は率直に言ってあまり良さがわかりません。

その点、今日ご紹介する「コンテンポラリー・リーダーズ」はピアノはもちろんギターも加わって大変賑やかです。タイトルは”現代のリーダー達”と言う意味と、レーベル名のコンテンポラリーとをかけており、ハンプトン・ホーズ(ピアノ)、バーニー・ケッセル(ギター)、リロイ・ヴィネガー(ベース)、シェリー・マン(ドラム)と同レーベル所属の売れっ子ジャズマン達が勢揃いしています。全員が普段はウェストコースト・サウンドのくくりで語られることが多く、東海岸ハードバップを代表する大物であるロリンズとの共演は貴重です。録音年月日は1958年10月です。

ボーナストラックの別テイクを除くと全8曲。ロリンズは作曲家としても名高いですが、この作品は自作曲はなく全て歌モノスタンダードです。ただ、いわゆる定番スタンダードは多くありません。"How High The Moon"”Alone Together””The Song Is You"の3曲ぐらいでしょうか?ただ、これらも演奏はひねりが加えられていて、"How High The Moon"はギターとベースのみの変則的ピアノレス・トリオ、”The Song Is You"もかなりアグレッシブな演奏です。バーニー・ケッセルのギターソロが印象的な”Alone Together"が比較的聴きやすいですかね。

他はインストゥルメンタル・ジャズではあまり取り上げられない曲ばかりです。オープニングトラックの”I've Told Ev'ry Little Star"はジェローム・カーン作曲ですが、後の1961年にリンダ・スコットという歌手がカバーして全米3位のヒットになっています。このバージョンは「マツコの知らない世界」のテーマ曲になっているのでそちらを聴けば「あー、あの曲ね!」となること請け合いです。ただ、ロリンズのプレイは事前知識がなければ同じ曲とは全然気づきませんが・・・ウォルター・ドナルドソンが書いた”You"と言う曲では1曲だけヴィクター・フェルドマンがヴァイブで加わり、ロリンズのテナーソロと見事な掛け合いを聴かせてくれます。CDにはLP発売当時(1960年)の解説が付いており、”偉大なるロリンズのソロを下手な英国人のヴァイブが邪魔をしている”と散々に酷評されていますが、個人的には楽しい曲調で好きですけどね。

他は”Rock-A-Bye Your Baby With A Dixie Melody""I've Found A New Baby""In The Chapel In The Moonlight"と言ったあまり知らない曲をロリンズが朗々とブロウして行きます。バーニー・ケッセルやハンプトン・ホーズは基本的に脇役に回っており、主役のロリンズより目立つことはありませんが、随所でキラリと光るソロを披露してくれます。ロリンズのプレイはバップの伝統を踏襲しながらも、時おりフレージングにトンがったところも見られ、新しいスタイルを模索していた時期だったことがうかがえます。結局、この作品を最後にロリンズは活動を停止し、3年近い充電期間に入ります。ニューヨークの橋の下でひたすら練習を繰り返したロリンズが次に発表するのが歴史的名盤「橋(The Bridge)」です。

 

 

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