本日はレイ・ブライアントです。リーダー作を紹介するのは本ブログでは今回が初めてですが、サイドマンとしてはこれまでもたくさん取り上げてきました。特に「ベニー・ゴルソン&ザ・フィラデルフィアンズ」や「ミート・オリヴァー・ネルソン」で見せるブルージーなプレイは、時にリーダーもかすむほどの存在感を見せています。
本作「レイ・ブライアント・プレイズ」はプレスティッジ盤「レイ・ブライアント・トリオ」と並んでハードバップ期におけるブライアントの代表作です。原盤はシグナチャー・レコードと言うマイナー・レーベルに1959年10月から11月にかけて吹き込まれたもので、レコード時代はマニア垂涎の名盤だったらしいですが、CDでは比較的容易に手に入るようになりました。トリオを組むのはベースの1歳上の兄トミー・ブライアント、ドラムのオリヴァー・ジャクソンです。
全12曲。いわゆる歌モノスタンダードは1曲もなく、かと言って自作曲はファンキー調の"Sneaking Around"の1曲のみ。後は全て他のジャズマンの有名曲です。スイング時代からはエリントン楽団の”Take The A Train"、ビバップ期からはチャーリー・パーカー"Now's The Time"等のド定番を取り上げていますが、同時代のジャズマンの曲も多く、MJQの”Delauney's Dilemma"、セロニアス・モンクの"Blue Monk"、エロール・ガーナーの"Misty"、ホレス・シルヴァーの”Doodlin'"、ミルト・ジャクソンの”Bags' Groove"、マイルス・デイヴィスの"Walkin'"、ベニー・ゴルソンの”Whisper Not"とおなじみの有名曲をブライアントが時にスインギーに、時にソウルフルに、時にロマンチックに演奏します。基本的に3~4分の演奏が多く、あまり難しいことを考えずに楽しむ感じですね。
知らない曲も何曲かあり、ディジー・ガレスピー作の急速調バップ"Wheatleigh Hall"は前年にブライアント兄弟もサイドマンで参加したガレスピーの「デュエッツ」で初演された曲らしいです。デューク・エリントンの美しいバラード”A Hundred Dreams From Now"もビッグバンド時代の曲ではなく、エリントンが同時期に発表したトリオ作品からの曲とのこと。他では聴いたことがない曲ですが、しみじみとしたバラードで個人的には本作中最もお気に入りの曲です。それ以外では思わず口ずさみたくなるほどキャッチーな”Doodlin'"も最高ですね。