ハードバピッシュ&アレグロな日々

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クロード・ウィリアムソン/ラウンド・ミッドナイト

2024-09-19 18:46:34 | ジャズ(ピアノ)

本日はクロード・ウィリアムソンをご紹介します。キャリア自体は非常に長く、2000年代になっても作品を発表するなど大変長寿だったようですが、ジャズファンに親しまれているのは50年代のウェストコースト時代の作品群ですね。特にアルトのバド・シャンクとは関係が深く、有名な「バド・シャンク・カルテット」はじめこの時期ほとんどの作品で共演しています。トランぺッターのステュ・ウィリアムソンのお兄さんでもあります。

さて、クロード・ウィリアムソンは”白いバド・パウエル”の異名を持つほどのバリバリのパウエル派らしいのですが、上記のバド・シャンク作品やアート・ペッパー、バーニー・ケッセルの作品でのプレイを聴いても正直ピンときませんでした。ただ、この人は自身のリーダー作となると人が変わるんですよね。以前にご紹介したベツレヘム盤「クロード・ウィリアムソン・トリオ」でも、オリジナルの"June Bug"等でファンキーなタッチを聴かせますし、同じ年(1956年12月)に発表された本作も同様で、お洒落なピアノトリオ的な先入観をぶっ飛ばすド迫力の演奏です。共演するのはレッド・ミッチェル(ベース)とメル・ルイス(ドラム)。いずれも西海岸を代表する名手ですね。

全12曲、ほとんどが歌モノスタンダードですが、ジャズ・オリジナルが2曲あり、1つがタイトルにもなっているセロニアス・モンクの”’Round Midnight"です。こちらはウィリアムソンの無伴奏ソロですが、正直そんなにインパクトはないですね。むしろ推したいのはホレス・シルヴァー作の”Hippy"です。名盤「ホレス・シルヴァー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」に収録されていた必殺のファンキーチューンで、ウィリアムソン含めトリオのノリノリの演奏が楽しめます。

スタンダード曲の方は意外とバラードが少なめで”I'll Know”と”Pola Dots And Moonbeams"ぐらいでしょうか?後はほぼアップテンポの演奏でオープニングの”Stella By Starlight"から始まり”Somebody Loves Me"”The Surrey With The Fringe On Top"”Just One Of Those Things""The Song Is You"とお馴染みのスタンダード曲を躍動感たっぷりの演奏で料理していきます。中でも圧巻なのが”Tea For Two"で、通常はバラードで演奏されるこの定番スタンダードを凄まじい速弾きで弾き切ります。その圧倒的なテクニックはまさに”白いパウエル”の名にふさわしいですね。負けじとついていくレッド・ミッチェル&メル・ルイスのリズム隊もさすがの一言です。ウエストコースト風の軽い演奏というイメージを良い意味で裏切ってくれるピアノトリオの傑作です。

 

 

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