ハードバピッシュ&アレグロな日々

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ジョニー・グリフィン・セクステット

2024-09-10 18:55:24 | ジャズ(ハードバップ)

シカゴでNo.1テナーとして名を馳せたジョニー・グリフィンがニューヨークにやって来た時、ブルーノートとリヴァーサイドの間で競争のようなものがあったことは以前のブログで書きました。結局、3枚のリーダー作を残した後、グリフィンはリヴァーサイドに移籍することになったのですが、本作「ジョニー・グリフィン・セクステット」はその第1弾として1958年2月25日に吹き込まれたものです。以前紹介した名盤「ウェイ・アウト!」は翌2月26日と2月27日に続けて録音されたもので、リヴァーサイドがいかに手ぐすね引いてグリフィンを待っていたのかがよくわかります。結局、1963年までの5年間でグリフィンは15枚ものリーダー作を吹き込み、同レーベルの顔となります。

グリフィンのためにリヴァーサイドが用意したのはまずケニー・ドリュー(ピアノ)、ウィルバー・ウェア(ベース)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ドラム)のリズムセクション。この3人は翌日以降もスタジオに残り、上述「ウェイ・アウト!」でも素晴らしい演奏を披露します。ただ、それだけでは少し不安だったのか、本作ではドナルド・バード(トランペット)&ペッパー・アダムス(バリトン)のデトロイト・コンビが加わります。グリフィンほどの実力があればワンホーンでも十分だったとは思うのですが、もちろんバード&アダムスも名手であることに違いはありませんので、演奏にさらなる彩りを与えています。

全5曲。スタンダード2曲とオリジナル曲が3曲と言う構成です。スタンダードのうちいわゆる歌モノは定番のバラード”What's New?"1曲のみですが、正直特筆すべきものはありません。もう1曲ディジー・ガレスピーの”Woody 'N' You"はバードとアダムスは参加せず、グリフィンがワンホーンで熱くブロウしていますが、こちらの方が熱のこもった演奏です。

個人的にはむしろオリジナル曲の方を推したいです。グリフィンは「ウェイ・アウト!」でもシカゴ時代の仲間たちの曲を多く取り上げていますが、本作も同様です。オープニングの”Stix' Trix"はドラマーのウィルバー・キャンベルと言う人が書いたハードバップ・チューン。フィリー・ジョーの熱いドラミングに乗せられてドリュー→アダムス→バード→グリフィンの順でソロをリレーします。”Johnny G.G."はジョン・ハインズの書き下ろし。シカゴで活動していたピアニスト、と言う以外の情報はググっても出てきませんが、「ウェイ・アウト!」でも”Little John"と言う名曲を提供しており、作曲センスが高い人だったというのはよくわかります。ゆったりしたテンポに乗ってまず先発のドリューがメロディアスなピアノソロを取り、グリフィンの歌心溢れるテナーを挟んでドナルド・バードがブリリアントなトランペットを聴かせます。なかなかの名曲と思います。ラストはグリフィンの自作曲”Catharsis"でアダムス & バードのデトロイコンビ→ドリューの軽快なソロに続きグリフィンが豪快なテナーソロで締めます。以上、セクステットとタイトルに付いているようにグリフィンだけでなくメンバー全員の演奏を味わうべき1枚と思います。

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