ハードバピッシュ&アレグロな日々

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アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ(インパルス盤)

2024-09-21 13:01:11 | ジャズ(モード~新主流派)

本日はアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズがインパルス・レコードに残したその名もズバリ「アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」です。録音は1961年6月。この頃のジャズ・メッセンジャーズは基本的にブルーノートを中心に活動していましたが、たまに”浮気”をしますよね。なお、同レーベルのジャズ・メッセンジャーズ作品は本作のみです(他にブレイキーのソロ名義作品はあり)。

メンバーはリーダーのブレイキーに加え、リー・モーガン(トランペット)、ウェイン・ショーター(テナー)、ボビー・ティモンズ(ピアノ)、ジミー・メリット(ベース)と言った黄金期の顔ぶれ。前年のブルーノート盤「ザ・ビッグ・ビート」「チュニジアの夜」と言った名盤と同じですね。ただ、そこにトロンボーンのカーティス・フラーが加わっているのが本作の肝。フラーはその後もバンドに残り、モーガンがフレディ・ハバードに、ティモンズがシダー・ウォルトンに交代して、この4ヶ月後に超名盤「モザイク」を発表。3管のジャズ・メッセンジャーズとして新たな黄金期を迎えるのですが、本作はその過渡期をとらえた作品と言えます。

全6曲、うちオリジナルは1曲のみで、後は歌モノという構成です。この頃のジャズ・メッセンジャーズはウェイン・ショーターの影響もあり、従来のファンキー・ジャズに加え、新たにモード・ジャズ寄りのアプローチも見せている頃ですが、オープニング・トラックのカーティス・フラー作"À la Mode"はタイトルからしてまさにモード風の曲です。続くスタンダードの"Invitation"も同様で、モーガンのミュートがややエキゾチックな雰囲気を醸し出します。4曲目"You Don't Know What Love Is"やラストの"Gee Baby, Ain't I Good To You"と言ったおなじみのスタンダードもストレートではなくややひねりの効いた演奏です。

ただ、個人的にはジャズ・メッセンジャーズと言えばやはりアップテンポの曲じゃないと物足りなく感じます。モーガンの高らかに鳴り響くトランペット、ショーターのうねうねとしたテナー、腹に響くフラーのトロンボーン、そしてバンド全体を推進するブレイキーの力強いドラミング。3曲目"Circus"と5曲目"I Hear A Rhapsody"はまさにそれらが味わえる名演と思います。特に前者はルイス・オールターと言う人が書いた曲で他ではあまり聞いたことがないですが、非常に魅力的な旋律を持った名曲ですね。後者もコルトレーンやビル・エヴァンスのバージョンとは全く異なるジャズ・メッセンジャーズならではの力強い演奏です。

 

 

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