ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ドナルド・バード/バード・ブロウズ・オン・ビーコン・ヒル

2024-10-23 19:39:44 | ジャズ(ハードバップ)

1955年、デトロイトからニューヨークにやって来た23歳の青年ドナルド・バードは、瞬く間にトランペットのニュースターとして注目を浴び、あちこちのセッションに引っ張りだこになります。その活躍ぶりはすさまじく、1956年から1957年にかけてバードが参加した録音はプレスティッジ、ブルーノートを中心に数えられるだけで50本近くに上ります。

ただ、一方でこの頃のバードのリーダー作は意外と少ないです。彼がブルーノートと契約を結んで、本格的にリーダー作を発表し始めるのは1958年以降のことで、それまでは専らサイドマンとしての起用でした。プレスティッジ等他のレーベルも同様です。同じ頃に登場したリー・モーガンがデビュー作からリーダーで売り出したのと比べると差がありますね。この頃にバードが残した単独リーダー作はサヴォイ・レコードの「バーズ・ワード」、トランジション・レコードの3枚「バード・ジャズ」「バーズ・アイ・ヴュー」、そして今日ご紹介する「バード・ブロウズ・オン・ビーコン・ヒル」のみです。

トランジション・レコードはトム・ウィルソンと言う黒人の音楽プロデューサーがボストンで設立したレーベルで、実働期間わずか3年間、10数枚のレコードを残して倒産してしまいました。バードの3枚以外にはダグ・ワトキンスの「ワトキンス・アット・ラージ」(これも超名盤です!)等があります。また、ルイ・スミスの「ヒア・カムズ・ルイ・スミス」はトランジション倒産後にブルーノートに買い取られた作品です。

本作はバードのワンホーン・カルテットで、リズムセクションはデトロイト時代からの盟友であるダグ・ワトキンス(ベース)に加え、ボストンのローカル・ミュージシャンであるレイ・サンティシ(ピアノ)とジミー・ジターノ(ドラム)が名を連ねています。ジャケットでバードの背後にいる白人2人がそうですね。サンティシもジターノも一般的には無名ですが、地元ではそこそこ名が知られていたようで、同じボストン出身のサージ・チャロフ「ボストン・ブロウアップ」やハーブ・ポメロイ「ライフ・イズ・ア・メニー・スプレンダード・ギグ」に名前を発見できます。

全6曲、ほぼスタンダードで構成されていますが、1曲目の”Little Rock Getaway"だけはジョー・サリヴァンと言うピアニストがスイング時代に発表した曲とのこと。シンプルで歯切れの良いメロディの曲で、バードが元気いっぱいのトランペットを響かせます。サンティシのピアノソロもまずまず。2曲目は"Polka Dots And Moonbeams"で、定番のバラードをバードが高らかに歌い上げます。アドリブ部分に単調さが感じられなくもないですが、小手先のアレンジをせずメロディーをストレートに吹き切るところに好感が持てます。3曲目"People Will Say We're In Love"はバードが抜けたピアノ・トリオの演奏。地元の顔であるサンティシに花を持たせた感じですが、彼のピアノ自体に際立った個性はなく、無難にまとめている、と言うのが冷静な評価ですかね。

4曲目”If I Love Again"はクリフォード・ブラウンやサド・ジョーンズら名トランぺッター達に取り上げられている曲で、ここではバードがカップミュートを付けて演奏しています。リズムセクションもドライブ感たっぷりの演奏で曲を盛り上げており、終盤にジミー・ジターノも熱いドラムソロを披露します。5曲目”What's New"はダグ・ワトキンスのベースによるピチカートソロが全面的にフィーチャーされています。途中でサンティシのピアノソロも挟まれますが、主役はあくまでベースです。この曲でもバードは登場しません。ラストは”Stella By Starlight"をバンド全体で軽快に吹き切ってエンディングを迎えます。以上、全体的な完成度はもう一つという気もしますが、若き日のドナルド・バード(とその仲間達)の溌溂とした演奏が楽しめる1枚です。

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ジ・インクレディブル・カイ・ウィンディング・トロンボーンズ

2024-10-22 19:53:16 | ジャズ(その他)

本日は白人トロンボーン奏者のカイ・ウィンディングをご紹介します。少し変わった名前ですが、デンマーク生まれで子供の時に両親とともにアメリカに移住してきたそうです。彼の場合は何と言ってもJ・J・ジョンソンとのトロンボーン・デュオ、”ジェイ&カイ”で有名ですよね。1950年代前半にコンビを組み、プレスティッジ、サヴォイ、コロンビア、ベツレヘム、インパルス等に10枚を超える作品を発表しています(本ブログでも過去にベツレヘム盤を取り上げています)。ただ、双頭リーダーと言いつつ、知名度ではJ・J・ジョンソンの方が圧倒的に上で、カイの方は典型的な”じゃない方”扱いなのは否めません。実際、カイはジェイ&カイ以外にも50年代だけで10枚近いリーダー作をコロンビア等に残しているのですが、私はそれらの作品がCDで発売されているのを見たことがないですし、ジャズファンの間でひそかに愛好されているということもないようです。

本作はそんな地味なカイが1960年にインパルス・レコードに吹き込んだもので、カイの単独リーダー作の中で唯一市場に出回っている作品です。録音は1960年11月と12月に行われており、11月のセッションがロス・トンプキンス(ピアノ)、ボブ・クランショー(ベース)、アル・ベルディーニ(ドラム)、オラトゥンジ(コンガ)のリズムセクションにジョニー・メスナー含む4人のトロンボーン・アンサンブルが加わります。12月のセッションはリズムセクションがビル・エヴァンス(ピアノ)、ロン・カーター(ベース)、スティックス・エヴァンス(ドラム)に代わり、ジミー・ネッパー含む3人のトロンボーン・アンサンブルと言う構成です。

全10曲。歌モノスタンダードとジャズオリジナルが半分ずつで、選曲もバラエティ豊かです。1曲目はクルト・ワイルの定番スタンダード"Speak Low"ですが、エキゾチックなアレンジがされており、ナイジェリア出身のオラトゥンジが野性的なコンガで盛り立て、カイとトンプキンスが快調なソロを聴かせます。2曲目"Lil Darlin"はニール・ヘフティがカウント・ベイシー楽団のために書いたバラードで、カップミュートのアンサンブルをバックにカイとトンプキンスがゆったりとソロを取ります。3曲目"Doodlin'"はご存知ホレス・シルヴァーのファンキーチューンで、分厚いトロンボーンアンサンブルをバックにカイの咆哮するトロンボーン、トンプキンスの意外とファンキーなソロがフィーチャーされます。4曲目ガーシュウィン・ナンバーの"Love Walked In"は通常ミディアムテンポで演奏されることが多いですが、ここではムードたっぷりのスローバラードに料理されています。5曲目"Mangos"はソニー・ロリンズも「ザ・サウンド・オヴ・ソニー」でカバーした楽しいラテンナンバーで、"Speak Low”同様にオラトゥンジのコンガが大活躍します。

後半(レコードのB面)最初の"Impulse"はレコード会社に捧げたであろうカイのオリジナル。ただ、聴いていただければわかるようにスタンダードの"I'll Remember April”を急速調にした感じです。カイのパワフルなトロンボーンはもちろんのこと、ロス・トンプキンスがグルーヴィーなピアノソロを聴かせてくれます。この人、他ではあまり見かけない白人ピアニストですが、なかなか良い演奏をしますね。7曲目"Black Coffee"はペギー・リーの歌であまりにも有名な曲。実はこの曲からピアノがビル・エヴァンスに交代していますが、トロンボーンが主役なので言われなければ気づきません。ただ、続く"Bye Bye Blackbird"ではエヴァンスがさすがのプレイを聴かせてくれます。イントロの軽快なピアノもそうですし、カイのミュートソロを挟んで、40秒ほどではありますが珠玉のようなソロを披露します。その後に再びトロンボーンソロがありますが、そちらはジミー・ネッパーとのこと(ネッパーについては過去ブログ参照)。

ラスト2曲はカイが愛嬢に捧げた"Michie"のスローバージョンとファストバージョンが続けて収録されています。前者はゆったりしたトロンボーンアンサンブルとエヴァンスのピアノをバックにカイが情感たっぷりにバラードを歌い上げます。後者はドライブ感たっぷりの演奏で、力強いカイのソロに続き、目の覚めるようなピアノソロが挟まれますが、こちらはエヴァンスじゃなくて再びトンプキンスなんですね。ややこしいな。その後でトロンボーンソロを取るのはエフィ・レスニック(知らん!)と言う人らしいです。アル・ベルディーニのドラミングにシャープなトロンボーンアンサンブルも見事です。以上、全曲解説してしまいましたが、どの曲も聴きどころがあり、最初から最後まで聴く者を飽きさせない内容で、文句なしの名盤と思います。

 

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アート・ファーマー/パーセプション

2024-10-21 19:33:43 | ジャズ(ハードバップ)

本日はアート・ファーマーです。ファーマーについては最近も「イヴニング・イン・カサブランカ」「ファーマーズ・マーケット」と言った50年代半ばのプレスティッジ時代の名盤を取り上げてきました。この頃のファーマーはハードバップ路線ど真ん中でトランペットをバリバリ吹いていましたが、1960年代にハードバップが下火になると新たなスタイルを模索します。同時代に活躍したマイルスやリー・モーガンらはモードジャズ路線を突き進んて行く中、ファーマーが選んだのは楽器を変えることでした。

1961年10月にアーゴ・レーベルに吹き込んだ本作「パーセプション」を機に、ファーマーは本格的にフリューゲルホルンを使用し始め、以後キャリアを通じてこの楽器を吹き続けます。フリューゲルホルンはトランペットに似た金管楽器ですが、トランペットより一回り大きく、管の口径も広いことから、音的には優しく暖かみのある音色が出ます。一方でハイノートは出にくいので、激しい演奏には向かないようです(実際に演奏したことないので完全に受け売りですが)。結果、60年代以降のファーマーはソフトな演奏で売って行くようになります。

この頃のファーマーはソロ活動と並行してベニー・ゴルソンとの双頭コンボ、ジャズテットでも活動しており、本作「パーセプション」には当時のジャズテットのリズムセクションであるハロルド・メイバーン(ピアノ)、トミー・ウィリアムズ(ベース)、ロイ・マッカーディ(ドラム)が参加しています。ただし、テナーとトロンボーンはおらず、ファーマーのフリューゲルホルンにスポットライトを当てたワンホーン編成です。

全8曲。歌モノスタンダードとジャズ・オリジナルが半分ずつと言う構成です。アルバムはファーマーのオリジナル曲"Punsu"で幕を開けますが、ハロルド・メイバーンのピアノによるおしゃれなイントロを聴いた瞬間に「素敵な音楽が始まる♪」と思わせてくれますね。実際、その後のファーマーの歌心たっぷりのソロ、メイバーンの軽やかなタッチのピアノソロも期待に違わぬ出来です。7曲目”Change Partners"も素晴らしいですね。元々はフレッド・アステアが主演映画で歌っていた曲で旋律自体が魅力的ですが、演奏も最高です。この曲もハロルド・メイバーンのマッコイ・タイナーを彷彿とさせるような飛翔感溢れるソロに導かれるようにリズムセクションが躍動し、ファーマーも名人芸とでも言うべきメロディアスなソロを存分に聴かせてくれます。

以上、上記の2曲のみで名盤認定しても良いくらいですが、それ以外も哀愁たっぷりのスタンダード”Lullaby Of The Leaves"、ロジャース&ハートの2曲のバラード”The Blue Room"”Nobody's Heart"、オリジナルではファーマー作の軽やかなタッチの佳曲"Kayin"、レイ・ブライアント作のファンキーな”Tonk"も捨てがたい内容です。煙草片手にポーズを決めるファーマーのダンディなジャケットもカッコいいですし、地味ながらも隠れた名盤だと思います。

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ジャッキー・マクリーン/デモンズ・ダンス

2024-10-17 20:45:57 | ジャズ(モード~新主流派)

ジャッキー・マクリーンについては当ブログでもたびたび取り上げてきました。50年代のプレスティッジ時代も良いですが、1959年にブルーノートに移籍して以降も「カプチン・スウィング」「ア・フィックル・ソーナンス」等の名盤を残しています。ただ、1962年の「レット・フリーダム・リング」以降はそれまでのハードバップを捨て、フリージャズ路線の作品を次々と発表します。この頃の作品には「ワン・ステップ・ビヨンド」「デスティネイション・アウト」等がありますが、個人的にはフリー系が苦手なのでちょっとパスって感じですね。

ただ、1967年末に吹き込まれたマクリーンのブルーノート最後の作品「デモンズ・ダンス」は一連のフリー路線から少し揺り戻しのようなものがあったのか、比較的聴きやすい作品です。とは言え、50年代のようなハードバップまで戻ったわけではなく、その手前のモードジャズくらいですかね。メンバーもウディ・ショー(トランペット)、ラモント・ジョンソン(ピアノ)、スコッティ・ホルト(ベース)、ジャック・デジョネット(ドラム)と言ったポスト・バップ世代が脇を固めています。

それにしても強烈なのはこのジャケット!3人の黒人女性の顔に、妖怪みたいなのが3匹、その下には無数の乳房のようなものが・・・描いたのはマティ・クラーヴァインというドイツの芸術家らしく、他にはマイルス・デイヴィスの「ビッチェズ・ブリュー」やサンタナの「アブラクサス(天の守護神)」も手掛けたそうですが、言われてみれれば確かに同じようなテイストかも。ブルーノートも60年代中盤以降はサイケなデザインのジャケットが増えてきますが、その中でもこれは群を抜いてインパクトがあります。個人的な好みを言えばあまり好きではありませんが、まあ印象に残るっちゃ残る・・・

全6曲、全てオリジナル曲で、マクリーンとウディ・ショー、そしてフィラデルフィア出身の作曲家カル・マッセイの曲が2曲ずつです。オープニングはマクリーン作のタイトルトラック"Demon's Dance"。ラモント・ジョンソンの飛翔感たっぷりのピアノ &ジャック・デジョネットの激しいドラミングをバックにマクリーン& ショーがエネルギッシュなソロを展開します。マクリーンのもう1曲のオリジナルは5曲目の”Floogeh"。何と読むのかわかりませんが、こちらはフリーとまでは行きませんがアグレッシブな曲ですね。

ウディ・ショーの2曲のうち3曲目”Boo Ann's Grand"はフリー路線の名残を感じるような曲ですが、4曲目”Sweet Love Of Mine"は一転して超メロディアスな曲です。当時流行のボサノバのリズムを取り入れた曲で、思わず歌詞を付けて歌いたくなるようなキャッチーなメロディです。ただ、演奏の方は結構ホットでマクリーン→ショー→ジョンソンと熱のこもったソロをリレーします。名曲が少ないと言われる60年代後半のジャズシーンでは屈指の名曲・名演ではないでしょうか?

カル・マッセイの2曲も捨てがたいです。彼は本職はトランぺッターだったようですが、むしろ作曲者として有名で、同じフィラデルフィア出身のリー・モーガンやジョン・コルトレーンに多くの曲を提供しています。2曲目”Toyland"は実に穏やかで優しいメロディのバラード。ウディ・ショーはお休みで、マクリーンとジョンソンがリリカルなプレイを見せます。ラストトラックの”Message From Trane"は半年前に亡くなった旧友のコルトレーンに捧げた曲で、モードジャズ時代のコルトレーンを彷彿とさせるようなナンバーで、マクリーン&ショーの疾走感たっぷりのソロにラモント・ジョンソンもマッコイ・タイナーっぽいプレイを聴かせます。以上、おどろおどろしいジャケットと"悪魔の踊り"を意味するタイトルの割には意外と普通に聴けるジャズです。

 

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コールマン・ホーキンス/トゥデイ・アンド・ナウ

2024-10-16 19:27:49 | ジャズ(スイング~中間派)

1960年に名プロデューサーのクリード・テイラーが設立したインパルス・レコードは、ジョン・コルトレーンの一連の作品群のヒットもあり一躍メジャーレーベルの仲間入りをします。その後もアーチ―・シェップやファラオ・サンダース、アルバート・アイラーの作品を次々と発表するなど、フリー・ジャズの一大レーベルという印象が強いですが、私はこの方面は苦手なのでほとんど聴いたことがありません。

一方でインパルスはオールドスタイルなスイング~中間派系の作品にも力を入れており、デューク・エリントン、カウント・ベイシー、ベニー・カーター、ポール・ゴンサルヴェス、そして今日ご紹介するコールマン・ホーキンスらがリーダー作を残しています。逆にいわゆるビバップ~ハードバップ系の作品はほとんどないのが面白いですね。おそらくブルーノート、プレスティッジ、リヴァーサイド等既存のレーベルとの差別化を図ったのでしょう。

ホーキンスは1920年代から活躍する大ベテランで、本作録音時(1962年9月)で57歳。同年代のベン・ウェブスターと並んでテナーサックスの長老的存在でした。スタイル的にはスイング~中間派なのですが、彼の面白いところはビバップ~ハードバップ世代のミュージシャンとも積極的に共演していることで、特にプレスティッジ系列には大量の吹き込みを残しています。ピアノのトミー・フラナガンはその中でもお気に入りで、60年代前半は専属ピアニストのような感じですね。ベースのメジャー・ホーリー、ドラムのエディ・ロックもほぼ固定メンバーで、ヴァーヴ盤「ジェリコの戦い」やプレスティッジ傘下のムーズヴィルの作品群、そして本インパルス盤も全てこの3人がリズムセクションを務めています。

全7曲。1曲目"Go Li'l Lisa"はアメリカのトラディショナルソングらしく、いかにも民謡といったほのぼのした曲調。主役はもちろんホーキンスのテナーですが、メジャー・ホーリーのハミングベースにも注目。アルコ(弓弾き)ソロを弾きながら同じメロディーを♪ビードゥッドゥビッドゥ、とスキャットで歌うという独特の奏法で、他ではライオネル・ハンプトン楽団にいたスラム・スチュワートが知られており、かの有名な"Stardustでも披露しています。最初に聴いた時は何かヘンなのと思いましたが、慣れればこれはこれで味があります。

2曲目"Quintessence"は前年に発表されたクインシー・ジョーンズの同名アルバムの収録曲で、原曲ではフィル・ウッズが素晴らしいアルトを聴かせていましたが、本作のホーキンスのテナーソロもさすがで、バラードの名手の本領発揮です。フラナガンのソロもキラリと光ります。この曲からは3曲連続でバラードで、続いては”Don't Love Me"。ビル・カッツ&ルース・ロバーツと言うあまり知らないコンビの作曲で、他では聞いたことがないですが、なかなかロマンチックな旋律を持つ名曲で、ホーキンスのダンディズム溢れるテナー&リリカルなフラナガンのピアノソロに酔いしれます。"Love Song From Apache"は「アパッチ」と言う聞いたことないインディアン映画の曲。いかにも映画のラブシーンで流れそうな曲ですが、ちょっとメロディが歌謡曲的っぽいかな?

5曲目"Put On Your Old Grey Bonnet"は20世紀初頭のヒット曲らしいですが、冒頭にトミー・フラナガンが珍しくブルージーなピアノソロを披露した後、ホーキンスが何と8分間にわたる貫録十分のテナーソロをたっぷり聴かせます。続く"Swingin' Scotch"はホーキンスのオリジナルで、曲自体はオールドスタイルなスイングナンバーですが、フラナガンのプレイは超モダンで目の覚めるようなピアノソロを聴かせます。この曲でもメジャー・ホーリーが再びノリノリのハミングベースで盛り上げます。ラストの"Don't Sit Under The Apple Tree"はグレン・ミラー楽団で有名なスイング曲で軽快に締めくくりますす。以上、ホーキンス御大の「わしゃ若い者にはまだまだ負けん!」と言うセリフが聞こえてきそうな1枚です。

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