
■「地球防衛未亡人」(2013年・日本)
監督=河崎実
主演=壇蜜 大野未来 福田佑亮 森次晃嗣
宇宙怪獣ベムラスによって婚約者を殺された主人公ダンは、彼の仇を討つべく、芸者から防衛軍の隊員へと転身。エースパイロットとして活躍している。そこへ再び怪獣ベムラスが出現。現れたのが中国との国境問題を抱えた島だったことや、使用済み核燃料を食べることから、中国やアメリカの執拗な干渉を受けることになっていく。実際に立ち向かう防衛軍は政治的な思惑から右往左往。ベムラスを攻撃した時に不思議なエクスタシーを感じてしまったダン隊員は、撃墜の失敗と医師からの「変態」宣告に悩んでいたが再びベムラスに挑む。そんな中でダン隊員のその出生の秘密に隠された特殊な能力が明らかになっていく。地球の運命やいかに・・・ってなお話。
くだらない!でも面白い!。河崎実監督は「ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発」でも政治をおちょくっただけに、今回もベムラスをめぐって揺れ動く政治家たちに痛烈な風刺を込めてやりたい放題。バカバカしいのだけれど、妙に"あるかも"と思わされるところが見事だ。壇蜜を主演に迎えたのは、エロスや話題性はもちろんだけど、地球防衛軍の"ダン隊員"と呼びたいだけのネタのひとつにすぎない?(しかも元祖ダン隊員が隊長役・笑)と思える程に、現代ニッポンを笑い飛ばすテーマがてんこ盛り。壇蜜ファンには、ウェディングドレスから喪服、セーラー服と七変化して様々な表情を見せてくれるのがなんとも楽しい。
映画のクライマックスにベムラスは使用済み核燃料を食べるが、排泄をしていない・・・と指摘される。それは筒井康隆のショートショートの名作「腸はどこへいった」に出てくる四次元空間とつながる腸捻転(中学時代に"クラインの壺"をこの小説で初めて知ったっけ・懐)が原因。映画のラスト、その排泄されるべきだったものが再び出現するのは・・・あとは観て確かめて。今年公開されたハリウッド版「GODZILLA ゴジラ」にも、核を喰らう怪獣ムートーが登場し、ネバダの使用済み核燃料貯蔵庫で生きていた。なんたる酷似(笑)!しかも排泄物にまで言及しているだけ、「地球防衛未亡人」の方が、怪獣出現のシュミレーションとしては悪ノリだけど現実的?(爆)。なにはともあれ、この映画を気に入るかどうかは、映画の"ノリ"にどこまで自分もノレるかだ。おバカ映画だからこそ、こういうピリリと風刺が利いた表現で時代を切り取っておくことができている訳でもある。作り手同様に観る僕らも楽しむが勝ちさ。
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