
◼️「犬神家の一族」(1976年・日本)
監督=市川崑
主演=石坂浩二 高峰美恵子 島田陽子 あおい輝彦 加藤武
言わずと知れた大傑作。角川映画初の作品となる本作が1976年に公開されて以来、メディアミックスによる大規模な宣伝が主流となり、まだお子ちゃまだった僕もここから始まる一連の角川映画には思い入れがある作品が多い。中でも「犬神家の一族」は、高校時代にテレビで観て以来繰り返し観ている、フェバリット中のフェバリット。
日本映画も数あれど、金田一耕助シリーズ程リメイクやドラマ版を毎回追いかけている作品は他にない。時代とともに改変が加えられても、ジャニーズ枠があるドラマ版にイライラしても、好みでない役者の金田一耕助でも、とりあえず観てしまう。もちろんそれぞれに文句はあるのだが、こんな行動をとるのは、市川崑監督による76年版「犬神家」の強烈なインパクトがあってこそだ。それは犬神佐兵衛が登場人物にもたらした呪縛にも似ている(笑)。そして「犬神家」は76年版をスタンダードにして比較しながら観てしまうのだ。
繰り返し観るもんだから、台詞もところどころ覚えてしまって(恥)。同じ脚本を使った市川崑監督による2006年のリメイクは映画館で観た。佐清の奉納手形があるのを思い出したのは誰かと尋ねる神主とのやりとり場面。大滝秀治の演技の間が我慢できなかった僕は声を出してしまった🤣
「珠世さんです。」
急に台詞が前後から聞こえたせいで、前の席のオッさんがキョロキョロ。ごめんなさい!ww
ビジュアルのイメージに惹きつけられる。これはこの映画の大きな魅力だ。水面から伸びる足、ネガポジ反転する殺人シーン、金田一耕助のキャラクターを印象づけるディティールの細かさ。そしてデーンと明朝体の文字が並ぶタイトルバック。これに「エヴァンゲリオン」が影響を受けたのは有名な話。全編に漂う怪奇ムード、哀愁漂う大野雄二の音楽。その魅力は今さら語ることもない。でも年齢を重ねて観ると、親の情が心に刺さる。クライマックスの謎解きの緊張感は何度観てもたまらない。因縁、血縁の避けられない業の深さに心が震える。
先日久々に観た「社葬」。取締役の一人を演ずるのは、「犬神家」の警部役である加藤武。「社葬」の中で、金田一シリーズの名文句と同じ「よし!わかった!」って台詞があって、思わず吹き出した🤣。絶対金田一シリーズ意識しとるやろw
日本映画も数あれど、金田一耕助シリーズ程リメイクやドラマ版を毎回追いかけている作品は他にない。時代とともに改変が加えられても、ジャニーズ枠があるドラマ版にイライラしても、好みでない役者の金田一耕助でも、とりあえず観てしまう。もちろんそれぞれに文句はあるのだが、こんな行動をとるのは、市川崑監督による76年版「犬神家」の強烈なインパクトがあってこそだ。それは犬神佐兵衛が登場人物にもたらした呪縛にも似ている(笑)。そして「犬神家」は76年版をスタンダードにして比較しながら観てしまうのだ。
繰り返し観るもんだから、台詞もところどころ覚えてしまって(恥)。同じ脚本を使った市川崑監督による2006年のリメイクは映画館で観た。佐清の奉納手形があるのを思い出したのは誰かと尋ねる神主とのやりとり場面。大滝秀治の演技の間が我慢できなかった僕は声を出してしまった🤣
「珠世さんです。」
急に台詞が前後から聞こえたせいで、前の席のオッさんがキョロキョロ。ごめんなさい!ww
ビジュアルのイメージに惹きつけられる。これはこの映画の大きな魅力だ。水面から伸びる足、ネガポジ反転する殺人シーン、金田一耕助のキャラクターを印象づけるディティールの細かさ。そしてデーンと明朝体の文字が並ぶタイトルバック。これに「エヴァンゲリオン」が影響を受けたのは有名な話。全編に漂う怪奇ムード、哀愁漂う大野雄二の音楽。その魅力は今さら語ることもない。でも年齢を重ねて観ると、親の情が心に刺さる。クライマックスの謎解きの緊張感は何度観てもたまらない。因縁、血縁の避けられない業の深さに心が震える。
先日久々に観た「社葬」。取締役の一人を演ずるのは、「犬神家」の警部役である加藤武。「社葬」の中で、金田一シリーズの名文句と同じ「よし!わかった!」って台詞があって、思わず吹き出した🤣。絶対金田一シリーズ意識しとるやろw
この「犬神家の一族」は、劇場公開時に並んで観た記憶があります。
とにかく、公開当時の盛り上がり方は、今から振り返っても、凄いものがありましたね。
これはやはり、角川春樹のメディア戦略が功を奏したのだと思います。
この映画「犬神家の一族」は、日本映画界に一石を投じた"角川映画"の記念すべき第一作目の作品で、映画における名探偵・金田一耕助像を決定づけた、市川崑監督、石坂浩二主演のコンビによる大作ミステリー・シリーズの一本ですね。
久里子亭というペンネームを持ち、自他ともに認めるミステリー好きである市川崑監督が、初めて横溝正史の原作を忠実に映像化したんですね。
日本の地域社会にある独特の因習、オドロオドロしい殺人、横溝正史の原作の持ち味を損なうことなく、市川崑監督ならではの映像美を散りばめた、堂々たる風格を持った作品を作ったと思いますね。
主演の石坂浩二もボサボサ頭にフケもたっぷりまぶし、ヨレヨレの着物と袴で風采の上がらない、原作そのままの金田一耕助像を好演していて、この金田一耕助のスタイルは、彼以後の金田一役者に多大な影響を与えたと思います。
しかし、その後、彼を凌ぐ役者は現れませんでしたね。
製薬王・犬神佐兵衛(三國連太郎)が残した遺言状が公開され、その莫大な遺産を相続する権利が、三人の孫(あおい輝彦・地井武男・川口恒)に与えられる。
だがその条件は、佐兵衛の恩人の孫娘・珠世(島田陽子)と結婚することだった。
そして、珠世をめぐって三人の男たちの間で争奪戦が繰り広げられるが、遂に殺人事件にまで発展する。
依頼を受けた、一見とぼけた、人のよさそうな青年の金田一耕助探偵が、この連続殺人事件の謎解きに挑むが、更に第二、第三の殺人が--------。
横溝正史のこの映画の原作の探偵小説は、いかにも不気味な環境、いかにも大仰な憎悪で複雑に絡み合う人物たちが、ぞろぞろ登場して来ます。
そして、市川崑監督は、この原作の持つ大時代的なところを逆手に取って、彼独特の華麗な映像美の世界として描いているんですね。
旧家のたたずまいや各種の大道具小道具類を、現代にはない「幻想妖美」な雰囲気を漂わせながら描き出し、ユーモアさえ加えて、レトロ趣味たっぷりに、実にモダンな映像美をたたえた映画に仕上げていると思います。
そして、何と言っても、この映画が成功した大きな理由の一つとして、名探偵・金田一耕助を石坂浩二に演じさせたことだと思います。
この市川崑監督言うところの、"天使的存在"として、あるいは、石坂浩二がこの金田一耕助というキャラクターを演じるにあたって意識した"神的存在"という、実に難しい役どころを、飄々と演じていて、実に見事でしたね。
そして、探偵らしく凄んだり、機敏そうにふるまったり、ハードボイルドに決めたりするところのない、明るく爽やかな優男であって、ニコニコと気弱そうにふるまいながら、明快に謎を解き明かしていく。
石坂浩二の役者としての"口跡の素晴らしさ"が、ひと際光るセリフ廻しも、観ていて実に味わい深いものがありました。
私はこの口跡の素晴らしい俳優として、石坂浩二、市川雷蔵、三船敏郎、佐藤慶、草刈正雄を特に愛しています。
悪を憎んでそれと対決するというよりは、謎解きの過程で浮かび上がって来る、古い家系にありがちな事件関係者間の"怨念"に理解を示し、親身になって共感する風情が、実に良かったですね。
また、そんな自分と探偵という職業との矛盾に苦笑しているようなユーモアが、スマートで洒落ているとも思います。
日本人にはやはり、アメリカ映画をそっくり真似たようなタフ・ガイぶりよりも、"情とはにかみ"のある名探偵の方が、しっくりくると思います。
そして、この市川崑監督、石坂浩二主演の金田一シリーズで、もはや名物的ともなった、何かと言うとすぐ早合点して、「よし、わかった!!」と叫ぶ加藤武の警察署長も、オドロオドロした妖美の世界に、"一服の清涼剤的"な笑いを盛り込んで楽しませてくれましたね。
ここから始まる角川映画の勢いはすごかったですよね。次々に各社が製作していろんな金田一耕助ものが登場しましたが、やっぱり石坂浩二×市川崑が最高。ついつい見比べてしまいます。
加藤武以外にもレギュラーとも言える役者さんがぃますが、坂口良子の存在も忘れがたいです。