麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

桟敷童子番外公演vol.5

2008年07月25日 | 鑑賞
 今をときめく桟敷童子です

 石川さゆり+近藤正臣の『奇想天外~マダム貞奴オッペケぺー人生』を、東憲司が作・演出し、役者陣も多数参加した明治座公演(今年3月/5月には新歌舞伎座でも)が話題となったことが記憶に新しいが、8月には秋野暢子、川島なお美らの豪華キャストによるトムプロジェクト『鬼灯町鬼灯通り三丁目』が、やはり東の作・演出で控えている。
 また看板女優・板垣桃子が鴻上尚史作・演出の『のび太とアニマル惑星』(9月、東京芸術劇場)に、池下重大が演劇企画集団THE・ガジラ『ゆらゆら』(9月、ベニサン・ピット)に出演するなど、勢いの止まらない桟敷童子です。


 そんな集団の、番外公演vol.5が西新宿成子坂劇場で7.17(木)~21(祝)上演されてました。
 『まーちゃんの戦い』『誘う魚 2008』の2本立て。ともに作/サジキドウジ、演出/桟敷童子演出部。
 色々あってアップが遅くなりましたが、今更の感想です。

『まーちゃんの戦い…P.オトゥール万歳!…』
 出演=川原洋子、稲葉能敬

 『アラビアのロレンス』のロレンスを演じたピーター・オトゥール。彼の代表作は、その『ロレンス』でも、『おしゃれ泥棒』でのヘプバーンの相手役でも、『冬のライオン』のヘンリーⅡ世役でもなく、ピーター・イエーツ監督のB級映画とも言える『マーフィーの戦い』だと熱く信じる男女のお話。

 闇の中から「シュッシュッ」と「シッシッ」の中間音を発して浮かび上がる性別不明のシャドーボクシング。
 短い髪、体脂肪率限りなくゼロの人物は……やがて、まーちゃん(川原)、つまりは女性と解るが、その幕開きはなかなか力強い。
 長いこと彼女の演技を観ているが、最近の成長ぶりは目を見張るものがある。
 今回も、この登場シーンだけで観客を一気に引き付けた。

 が、短編というのは本当に難しい。
 このあと前述した『マーフィー』のあらすじが語られ、オトゥールがアカデミー主演男優賞候補に8度ノミネートされながら一度も受賞していないことなどにも触れられる。
 それから、まーちゃんと順平(稲葉)の関係も次第に明らかになる。
 
 なるのだが、短い時間に「情報」がボリューム過多で、そのくせ一つの作品として昇華するには「ドラマ」が足らない気がした。

 実は二人は、元夫婦で、海で幼い子供を喪って以来ギクシャクし、離婚し、けれども関係を絶てずにいて、今日もこうして、まーちゃんのパンチを体で受け止める順平がいて。でも、順平には新しい恋人ができ。。。

 てな展開なのだが。あと一味、調味料が効いてると良かったのに、と。

『誘う魚2008…三人オバサン…』
 出演=桑原勝行、中井理恵、鈴木めぐみ、山本あさみ

 1本目が長くなったのでサクっと語れば・・・。
 三人の芸達者な「オバサン」が、チェーホフの『三人姉妹』の名台詞のパロディを駆使しながら、舞台上手に作った本水の池も大いに生かしてのドタバタ劇。
 鈴木のパワーが物語を引っ張って、中井も良いリズムで物語を回転させる。結果、散漫になりそうでならずに最後まで作品が疾走した。

 という・・・オトゥールとチェーホフへのオマージュに溢れた2本立てでした

【文中敬称略】 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする