麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

流れる庭

2008年07月09日 | 鑑賞
 劇団一跡二跳第60回公演
 『流れる庭─あるいは方舟─』
 2008年7月3日(木)~13日(日) THEATER/TOPS

 1986年『狂い咲くのもよろしかろ』(於/パモス青芸館)で旗揚げした同劇団のファイナル公演は、元新聞記者・古城十忍氏が主宰するカンパニーの掉尾を飾るにふさわしい「地方新聞記者」の活躍する作品となった。

 舞台は市役所の市民課防災担当分室と、同庁舎内の記者クラブ。
 記者クラブには地元紙と全国紙の朝日と読売(芝居でもきっちり名言!)の記者がいて・・・あ、地元テレビ局の記者も後半登場します。

 集中豪雨による災害に際し、警報等を流す側、それを報道する側の困惑や駆け引きやを巧みに描く内容もさることながら、一跡二跳らしい大がかりな仕掛けがファイナルでも炸裂します!!!
(勿論公演中につきナイショ

 『ガッコー設立委員会!』(1999年/THEATER/TOPS)では舞台一面を“砂”で覆い、覆うばかりか、その砂から学校の机や椅子が掘り出される驚異の仕掛けを見せ、『平面になる』(2006年/紀伊國屋サザンシアター)では斜度30度の急斜面で演技をするという役者の肉体の限界(?)に挑む・・・などなど、これまでも観客をビックリさせてきた一跡二跳ですが、すごいのは、そのエンターテイメント性とともに、ジャーナリスティックなテーマ(体外受精、ひきこもり、幼児虐待etc.etc…)が高い演劇性を持って、観る者の心を鷲掴みしてきたことダ。

 この公演の折込指定時間に会議のため間に合わなかったのだが、友人でもある制作の岸本くんに無理を言って、夕方ネジ込ませていただいたのだが、その御礼にオベンチャラを言っているのではなく、率直に「今回も“社会の矛盾”に鋭く切れ込んだ舞台だ!」と強く感じました。

【※文中で紹介した4作品は全て、作・演出/古城十忍】

                           

 余談だけれど。
 当日配られたパンフレットの最終頁には「Gaiadays Function Band」なる、インディーズで活躍してそうな名前が載っていて、『貴婦人の帰還』というタイトルらしきものと、2008.10.16~22とURLが記されている。
 どうやら劇団は解散するけれど、これからも古城作品を上演するカンパニーとして活動し、緩やかな集団制を模索するとのこと。前述の横文字はそのカンパニー名なんだという。

 最近の演劇界は、長く続いた「劇団制」に歪みが出て、試行錯誤。。。例えば「俳優」と「演出・制作」が袂を分かつような。。。

 そういう荒波の中、東演は五十周年を迎える。
 こーゆー表向きの場では楽しい話題を振りまいているけれど、優雅に泳ぐ水鳥の水中の足のようなモガキがあることは、東演に限らず、今や日本中の集団。。。企業しかり、家族しかり。。。に起こっている事象なのだろうなあ~。
 いや決して弱音じゃないっす
 頑張ります

(観劇日は7/5マチネ)
コメント
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