角膜に焼き付けられた記憶
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盲目のバイオリニスト、シドニーは角膜の移植手術を受ける。
手術は成功し、幼い頃以来失っていた視力を取り戻したのだけれど、
なぜか、通常では見えないはずのものまで見えるようになってしまった。
これは、つまり、「シックス・センス」ですね。
彼女には死者や、これから死のうとしている人、霊を連れて行こうとする死神(の様なもの?)が見えてしまう。
怖いですよ。これは。
・・・そういえば私、ホラーは久しぶりかも・・・。
というか、怖いから避けていたのか・・・?
途中、思わず飛び上がって驚いちゃったところとか、
鳥肌が立っちゃったところとか・・・。
毎日、こんなものが見えたら、ほんとに、生きていくのがイヤになりそう・・・。
なまじ、見えるから怖い。
見えないほうが良かったのか?。
彼女はこの現象が、移植された角膜のドナーと関係があるのではないかと思い、
調べ始めるのですが・・・。
このストーリーがただのホラーにとどまらなかったのは、ラストがいいんです。
これは、そのドナーが単に恨み辛みをシドニーに訴えかけていたのではない。
もっと大事なことを訴えかけていたんですね。
その思いを受けて行動することの意義。
なんだか、感動させられます。
もともと、シドニーは盲目でも、きちんと自立して生活していました。
それが、あまりにもショッキングなものが見えてしまうことにパニックを起してしまったわけですが、
でも次第に元来の凛とした強さがよみがえってくるんですね。
このヒロイン像がとてもいい。
なんだか、得した感じのするホラー。
それから、このたび初めて認識したのですが、
盲目の人が角膜移植をして視力を得た時、
特に初めてのような場合、目から入ってくる情報が多すぎて、
大変な混乱を起すというのですね。
私たちは当たり前にやっていることなんですが、
結構大変なことなんだなあ・・・と。
また、こういう人は字が読めないんですよ。
考えてみたら当たり前なんですが・・・。
シドニーが目が見えるようになってからも、
点字の楽譜や、点字のメモを読むシーンがあって、ちょっと、はっとさせられました。
この作品は、タイのダニー&オキサイド・パン兄弟の
2001年作品「The EYE」をリメイクしたものということです。
ハリウッドのお得意の手ですが、なんだか、本家に対して失礼な気がしますよね。
もともとの作品で、十分にいいのに、
なんだってわざわざ作り直さなきゃならないんでしょ・・・。
・・・って、考えてみたら、こんな面白い作品、
ハリウッドで作り直してくれなかったら、知らないままだったわけですもんね。
そういう点ではありがたいというべきなのか・・・。
2008年/アメリカ/97分
監督:ダヴィッド・モロー、ザヴィエ・パリュ
出演:ジェシカ・アルバ、アレッサンッドロ・ニヴォラ、パーカー・ポージー、ラデ・シェルベッシア