映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

シング・ストリート 未来へのうた

2016年08月28日 | 映画(さ行)
やりたいことをやってみようよ!



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「はじまりのうた」、「ONCE ダブリンの街角で」等でお馴染みの
ジョン・カーニー監督の半自伝的作品とのこと。
ロンドンは歴史ある街ではありますが、
アイルランドに住む若者にとっては、
新しい文化の発信地でもあるロンドンが憧れの地だったのでしょうね。



14歳コナーは、父の失業のため荒れた公立校に転校をしたところです。
両親は毎日喧嘩。
家庭崩壊の危機にあります。
そんな彼の唯一の楽しみは、音楽マニアの兄と、英国のミュージックビデオを見ること。
イカす音楽とポップな映像に憧れているのです。
そんなある日、コナーはラフィーナという魅力的な女の子に一目惚れ。
つい自分のバンドのPVに出演しないか?と誘ってしまいます。
おっと、冗談じゃない。
憧れてはいるけれど、もちろんバンドなんてやってない。
しかしコナーは急遽メンバーを集め、曲を作って猛練習。
無事、一回目のビデオ撮影までこぎつけますが・・・。



いかにも適当なメンバー集めのようでいて、なかなか決まっています。
かっこいいから黒人を入れようなどと言って、スカウトしてしまう。
80年代の音楽は私などにも馴染みがあって耳に心地よい。
こんな風にすんなりと「音楽」に入ることができたら、楽しいだろうなあ・・・。


本作で、コナーの兄がなかなかステキなのです。
音楽のこと、ガールフレンドとのこと、
いつも弟を見守り的確にアドバイスし、励まします。
でも、さてこの人は一体何をしている人?と思うのですよね。
最後のほうで良き兄貴が、ついにキレるシーンがある。
両親の不和と母親の過剰な愛によって、家出してでもやりたかったことを果たせず、
結果、弟の応援団になってしまっている。
イヤイヤ、まだ若いんだからさ、あなたももういい加減やりたいことをやってみれば・・・?
と、オバサンとしては背中を押したい気持ちになりました。


そうそう、コナーの学校の校長にも一言。
靴の色なんかどうでもいいから、この学校のイカレた風紀をなんとかすれば・・・?
が、コナーの方も、ミュージシャンきどりでいきなり学校にメイクをして、髪を染めていく
というのはあまりにも、ガキっぽいと思うけどね・・・。



まあ、楽しめた作品ではありました。

「シング・ストリート 未来へのうた」
2015年/アイルランド・イギリス・アメリカ/106分
監督:ジョン・カーニー
出演:フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、ルーシー・ボーイントン、マリア・ドイル・ケネディ、エイダン・ギレン、ジャック・レイナー

音楽性★★★★★
満足度★★★★☆