政治とオリンピック

* * * * * * * * * *
オリンピック開催中の今、グッドタイミングの鑑賞でした。
1936年、ベルリンオリンピック時の実話です。
アメリカ黒人の陸上競技選手、ジェシー・オーエンス(ステファン・ジェームス)は、
オハイオ州立大学でコーチのラリー・スナイダー(ジェイソン・サダイキス)と出会い
オリンピックを目指して練習に励みます。

ベルリンオリンピックは、ナチスがその威力を世界に見せつけるために開かれるような大会でした。
そのため、アメリカはナチスに対抗し、
ベルリンオリンピックをボイコットしようとする機運が高まっていたのです。
それでもなんとか、米国も出場が決定。
ジェシー・オーエンスも実力で出場権を得たのですが、
黒人地位向上委員会から、出場しないようにとの要請があるのです。
ナチスの人種差別政策に反対の意向を示すためものでした。
そのことの意義はわかる。
でも、折角のチャンスでもある。
出るべきや否や。
ジェシーは苦悩します。

黒人への差別はなにもナチスだけの問題ではありません。
アメリカ国内にも当たり前にそれはあるのです。
黒人は、シャワーを使うのも白人の後。
バスには黒人専用席があって、
ホテルも裏の黒人専用出入り口から入る・・・。
そんな中で、金メダルを獲ってみせることこそが、
自分たちの存在を国内外へ知らしめることなんですね。

巨大な競技場には、ほとんどがヒトラーを偉大な総統として仰ぐドイツの人々があふれています。
ジェシーは、競技場へ踏み込むとき、緊張というよりもむしろ恐怖を感じてしまう。
しかし、競技用の靴を履き、コースの土を整えるうちに次第に心が静まってくるのが伺えます。
ただ、無心で走ればいい。
そう思い定めたようでした。
ここのシーンが凄く印象深く残っています。
実際の出来事なので、ネタばらししてしまいますが、
結局彼は100m、200m、走り幅跳び、そして、4✕100mリレーの
4冠達成という偉業を成し遂げたのです。

素晴らしく感動的な物語でした。
ところで、この時リレーには本当はユダヤ人2名が出場するはずだったのに
急遽メンバーが入れ替わり、ジェシーが出場することになったのです。
このことから、後のIOC会長であるブランデージ氏が、
反ユダヤ・親ナチと言われるようなのですが、
その真相というか、まあ、本作での解釈も面白いところでしょう。

いずれにしても、オリンピックと政治は表裏一体。
先日読んだ「街場の五輪論」ではありませんが、
結局4年後の東京オリンピックも現政権の表看板であることは否めないですね・・・。
ではありますが、実際にオリンピックの試合を見ていると、
やっぱり日本人選手たちの健闘に胸が熱くなってしまうのですが。
ところで、これも先日見た「不屈の男」のルイス・ザンペリーニも、
このベルリンオリンピックに出場しているのですよね。
え~と、5000m走で8位入賞を果たしています。
同じ選手団にいたというわけだ・・・。
そうそう、ついでにですが、映画中に気づいたのですが、走り幅跳びの表彰式シーン。
2位がジェシーに好意的だったドイツのルッツ・ロング。
で、3位の選手が日の丸をつけていたのです。
後で調べてみたら、本当に日本人の田島直人さん。
なかなか興味深い大会ですねえ。

「栄光のランナー 1936ベルリン」
2016年/フランス・ドイツ・カナダ/134分
監督:スティーブン・ホプキンス
出演:ステファン・ジェームス、ジェイソン・サダイキス、ジェレミー・アイアンズ、ウィリアム・ハート
歴史発掘度★★★★★
スポーツが呼ぶ感動度★★★★☆
満足度★★★★★

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オリンピック開催中の今、グッドタイミングの鑑賞でした。
1936年、ベルリンオリンピック時の実話です。
アメリカ黒人の陸上競技選手、ジェシー・オーエンス(ステファン・ジェームス)は、
オハイオ州立大学でコーチのラリー・スナイダー(ジェイソン・サダイキス)と出会い
オリンピックを目指して練習に励みます。

ベルリンオリンピックは、ナチスがその威力を世界に見せつけるために開かれるような大会でした。
そのため、アメリカはナチスに対抗し、
ベルリンオリンピックをボイコットしようとする機運が高まっていたのです。
それでもなんとか、米国も出場が決定。
ジェシー・オーエンスも実力で出場権を得たのですが、
黒人地位向上委員会から、出場しないようにとの要請があるのです。
ナチスの人種差別政策に反対の意向を示すためものでした。
そのことの意義はわかる。
でも、折角のチャンスでもある。
出るべきや否や。
ジェシーは苦悩します。

黒人への差別はなにもナチスだけの問題ではありません。
アメリカ国内にも当たり前にそれはあるのです。
黒人は、シャワーを使うのも白人の後。
バスには黒人専用席があって、
ホテルも裏の黒人専用出入り口から入る・・・。
そんな中で、金メダルを獲ってみせることこそが、
自分たちの存在を国内外へ知らしめることなんですね。

巨大な競技場には、ほとんどがヒトラーを偉大な総統として仰ぐドイツの人々があふれています。
ジェシーは、競技場へ踏み込むとき、緊張というよりもむしろ恐怖を感じてしまう。
しかし、競技用の靴を履き、コースの土を整えるうちに次第に心が静まってくるのが伺えます。
ただ、無心で走ればいい。
そう思い定めたようでした。
ここのシーンが凄く印象深く残っています。
実際の出来事なので、ネタばらししてしまいますが、
結局彼は100m、200m、走り幅跳び、そして、4✕100mリレーの
4冠達成という偉業を成し遂げたのです。

素晴らしく感動的な物語でした。
ところで、この時リレーには本当はユダヤ人2名が出場するはずだったのに
急遽メンバーが入れ替わり、ジェシーが出場することになったのです。
このことから、後のIOC会長であるブランデージ氏が、
反ユダヤ・親ナチと言われるようなのですが、
その真相というか、まあ、本作での解釈も面白いところでしょう。

いずれにしても、オリンピックと政治は表裏一体。
先日読んだ「街場の五輪論」ではありませんが、
結局4年後の東京オリンピックも現政権の表看板であることは否めないですね・・・。
ではありますが、実際にオリンピックの試合を見ていると、
やっぱり日本人選手たちの健闘に胸が熱くなってしまうのですが。
ところで、これも先日見た「不屈の男」のルイス・ザンペリーニも、
このベルリンオリンピックに出場しているのですよね。
え~と、5000m走で8位入賞を果たしています。
同じ選手団にいたというわけだ・・・。
そうそう、ついでにですが、映画中に気づいたのですが、走り幅跳びの表彰式シーン。
2位がジェシーに好意的だったドイツのルッツ・ロング。
で、3位の選手が日の丸をつけていたのです。
後で調べてみたら、本当に日本人の田島直人さん。
なかなか興味深い大会ですねえ。

「栄光のランナー 1936ベルリン」
2016年/フランス・ドイツ・カナダ/134分
監督:スティーブン・ホプキンス
出演:ステファン・ジェームス、ジェイソン・サダイキス、ジェレミー・アイアンズ、ウィリアム・ハート
歴史発掘度★★★★★
スポーツが呼ぶ感動度★★★★☆
満足度★★★★★